兼松株式会社(以下、「兼松」)は、株式会社敷島ファーム(以下、「敷島ファーム」)およびdsm-firmenich AG(以下、「dsm-firmenich((ディーエスエム フェルメニッヒ)」)と連携し、敷島ファームが飼育する黒毛和牛を対象として、牛のげっぷに含まれるメタンガスを削減する飼料添加物「ボベアー(R)」(Bovaer(R))の給与実証を実施しました。本取組みは、畜肉のサプライチェーンにおける環境負荷の軽減が目的であり、黒毛和牛へのボベアー(R)の商用利用を目指した取組みは世界初となります。

飼料を採食する敷島ファームの黒毛和牛
牛など反芻(はんすう)動物のゲップに含まれるメタンガスは、温室効果ガス(GHG)の一種であり、畜産業における環境課題となっています。農研機構によると、この消化管由来メタンは国内の農林水産業において稲作に続く第二のメタンガス排出源とされ、世界のGHG総排出量の約5%を占めるとされています。日本では2025年12月、牛への飼料添加物を使用した飼料の給餌に関する新規方法論の策定がJ-クレジット制度運営委員会にて承認され、制度登録に向けた準備が進んでいます。
dsm-firmenichのボベアー(R)は、牛肉や牛乳の風味や品質を維持しながら、乳牛で平均 30%、肉牛(肥育牛)で平均 45%の消化管由来メタンを削減する飼料添加物です。欧州、米国、南米、豪州等の数百の農場で導入され、同社の試算によると、現在までにボベアー(R)の使用で削減できたメタン排出量は、二酸化炭素換算の累計で約 60 万tとなります。
兼松とdsm-firmenichは2025年7月、ボベアー(R)の活用による環境価値の創出と、同価値を付与した畜産品の販売を共同で推進する連携協定書を締結しました。本実証はその一環として、3社で黒毛和牛への最適な給与条件や方法、適切な記録手法など、将来的なJ-クレジット創出に向けた検証を行いました。
<実証内容>
●期間:2025年11月から70日間 ●場所:敷島ファーム 白老牧場(北海道)
●対象:黒毛和牛24頭 ●方法:慣行飼料にボベアー(R)を添加し、毎日同時刻に給与
実証結果は以下の通りでした。
1.ボベアー(R)は既存の飼料に添加するだけで使用でき、給与作業の大幅な増加はありませんでした。
2.実証期間中および終了後も採食状況は良好で、牛群の行動や成長、健康状態にも問題はなく、安全に終了しました。
3.今回の実証事業において削減された消化管由来メタンの量は、二酸化炭素換算で約5.5 t と試算されました。
今後も3社およびお客さまと連携し、黒毛和牛を含む畜産物由来のメタンガス削減実績の環境価値と畜産品をセットで提供するカーボンインセット※1を推進します。これにより、サプライチェーン上の敷島ファームのScope1、ならびに川下のお客さまのScope3(Category1)の削減に寄与することで、持続可能な食のサプライチェーン構築を目指して参ります。
※1カーボンインセット:サプライチェーン内で削減・除去された温室効果ガス排出量を同一サプライチェーン「内」で取り込む(生産者により組成されたカーボンクレジットの調達・償却、製品排出量の削減への活用等)仕組み。サプライチェーン「外」で創出される環境価値を取り込む「カーボンオフセット」(他のサプライチェーンに属する会社が創出したカーボンクレジットの調達等)の対義語。

◆ 兼松のカーボンインセットの取組み一覧(プレスリリース)
- 兼松、農業・食品産業における地球温暖化問題の解決に向け 農林中央金庫と連携協定を締結
- 兼松、「サステナブルな豚肉製品」の日本における普及を目指し、 デンマークDANISH CROWN社とパートナーシップ合意書を締結
- 兼松、地球温暖化の解決へ向けて「水田メタン」発生の抑制と、 環境配慮米の普及を目指し、Green Carbon株式会社と連携協定書を締結
- 兼松、グリーン&アグリテックベンチャー企業のTOWINGと共同で、 高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の国内・米国での普及拡大へ
- 兼松、森永乳業・TOWINGらと共同で、 ブラジル産コーヒー豆の持続可能なサプライチェーン構築へ
- 兼松、名大発グリーン&アグリテックベンチャー企業TOWINGに出資~国内外の持続可能な食料サプライチェーン構築を牽引~
- 兼松、dsm-firmenichと共同で、牛のメタン削減資材を活用した 畜産品の環境負荷軽減の取組み推進を開始
- 兼松、「農業・食品GX」の強化に向け、 インセッティングコンソーシアムに参画
- 兼松、すかいらーくへ国産米と環境価値のセット供給を実現 ~原材料の生産・調達に係るサプライチェーン排出量の削減取組み~

牛のげっぷに含まれるメタンガスを削減する飼料添加物「ボベアー(R)」

給与実証にて関係者一同と
● 兼松株式会社
2024 年 4 月から開始した 3 カ年中期経営計画 「integration 1.1」の主要施策にGXを設定し、その注力分野の一つに「農業・食品 GX」を掲げ推進しています。今後も、兼松が深く関わる食料サプライチェーンにおいて、環境負荷の少ない食料の創出・供給を通じて脱炭素と資源循環(サーキュラーエコノミー)に貢献し、持続可能なサプライチェーンを構築することを目指しております。
● 株式会社敷島ファームについて
栃木県と北海道を拠点に、約1万頭の黒毛和牛を「生育完全一貫生産体制」により飼育する敷島ファームでは、実質的なGHG排出ゼロ状態による生産流通=「ゼロカーボンビーフ」を目指しています。
サプライチェーンを包括したGHG削減技術の導入・開発やGX促進、循環型農業の拡大や炭素貯留固定など多角的な視点で「農業の脱炭素」「持続可能な農業」を推進しています。
ウェブサイト:https://www.shikishima-farm.jp/
● dsm-firmenich(ディーエスエム=フィルメニッヒ)について
栄養、健康、美容の分野でイノベーションをリードするdsm-firmenichは、世界の人口増加に対応し、人々の健康と生活の質を向上させるために、重要な栄養素、風味、香りを再定義し、製造し、組み合わせます。自然由来・再生可能な素材、そして世界トップクラスの科学技術力を組み合わせた包括的なソリューションを通じて、生命に不可欠なものを創造し、消費者が求める価値を提供し、地球の持続可能性に貢献しています。dsm-firmenichは、スイス・カイザーアウグストとオランダ・マーストリヒトに本社を置くスイス企業で、アムステルダム証券取引所に上場し、約60カ国で事業を展開、売上高はユーロ120億を超えています。世界中に約30,000人の多様な従業員を擁し、日々、世界中の人々の生活に進歩をもたらしています。
ウェブサイト:https://www.dsm-firmenich.com
【お問い合わせ先】
◆ 協業に関するお問い合わせ:兼松株式会社 GXビジネス推進課
Email: gx@kanematsu.co.jp
◆ プレスリリースに関するお問い合わせ:兼松株式会社 広報室
電話 : 03-6747-5000 https://www.kanematsu.co.jp/inquiry/