世界人権デーに、「家からはじまる平等」に向けた対話の場を提供

左から東京大学学生・株式会社Whins代表取締役社長 森環奈氏、国連人口基金駐日事務所 所長 成田詠子氏、内閣府特命担当大臣の黄川田仁志氏、外務省 国際協力局 国際保健戦略官の喜多洋輔氏、駐日スウェーデン大使ヴィクトリア・フロード=リー氏、イケア・ジャパンよりCFO 小山公三子、マーケットマネジャー Anders Renvert、パブリック・アフェアーズ 李ファミ
「より快適な毎日を、より多くの方々に」をビジョンとするスウェーデン発祥のホームファニッシングカンパニー、イケアの日本法人イケア・ジャパン株式会社(本社:千葉県船橋市、代表取締役社長 兼 Chief Sustainability Officer:ペトラ・ファーレ)は、産学官と共に家での平等を考える「Life at Home 2050」プロジェクトの取り組みの一環として、12月10日(水)の「世界人権デー」に合わせて開催された国連人口基金(UNFPA)『世界人口白書2025』発表記念イベントに、IKEA原宿を「対話の場」として提供しました。当日はイケア・ジャパン CFO 小山公三子が登壇し、イケアが大切にする家での暮らし(Life at Home)の価値や、ジェンダー平等・インクルージョンに向けた取り組みについてスピーチを行いました。
イケアは「家」を安心・尊重・帰属意識を得られる場所として捉え、家での暮らしの向上に取り組んできました。すべてのコワーカー(イケアの従業員)とお客さまが自分らしく、価値ある存在として尊重される社会をめざし、人権尊重・公平性・平等・インクルージョンを事業の中心に据えていることも、イケアの一貫した姿勢です。ジェンダー平等は人権ですが、なかでも日本では、家庭や職場に存在するジェンダーギャップに着目し、重要なテーマの一つとして取り組んでいます。
2024年にスタートした「Life at Home 2050」プロジェクトでは、家からはじまるジェンダー平等をテーマに、固定概念を学びほぐすきっかけをつくること、そしてこの取り組みを広く社会に届けることを目指しています。その一環として2025年には、家庭内の役割や価値観を見つめ直すための絵本を制作し、対話を促すツールとして展開しています。多様な家族や個人がこの絵本を通じて対話を深め、暮らしや家庭内の平等について考える第一歩を踏み出すことを期待しています。イケアは、対話こそが変化を生み出す原動力であると考えています。互いの違いを理解し、思いやりを持って支え合うことで、新たな気づきや価値観が生まれ、よりよい暮らしにつながります。

こうしたイケアの考え方は、今年の『世界人口白書2025』が示す問題意識とも通じています。白書では、日本のように少子高齢化が進む国のみならず、合計特殊出生率が2.1を上回る国々も対象に、「出産をめぐる真の課題」を多角的に分析しています。14カ国の意識調査からは、国や地域を問わず、多くの人が望む家庭を築けていない現状が明らかになりました。UNFPAはこれを「生殖をめぐる自己決定権」が十分に保障されていない状況と捉え、人口課題を「人権」の視点で理解する重要性を指摘しています。本イベントでは、こうした課題を共有し、若い世代を含む多様な声を通じて、よりよい未来のあり方を共に考えるための対話の場として企画されました。

本イベントには、内閣府特命担当大臣の黄川田仁志氏、外務省 国際協力局 国際保健戦略官の喜多洋輔氏が登壇し、スピーチを行いました。


黄川田大臣は「『世界人口白書2025』が掲げる生殖に関する自己決定権は、結婚や出産といった人口の根幹に関わる事柄を個人の選択として尊重するうえで極めて重要です。経済的・社会的基盤が整った社会の中で、個々人の選択肢が確保され、ウェルビーイングが満たされることが何より大切です」と述べました。また、「少子化対策においても出生率といった数値にとらわれるのではなく、まず子どもや家庭が安心して暮らせる環境を整えることが先決です」と強調しました。
喜多氏は「『世界人口白書2025』の発表を心よりお祝い申し上げます。本イベントは、UNFPAをはじめ、イケア・ジャパン、駐日スウェーデン大使館、関係団体の皆さまのご協力によって実現したものであり、国境を越えて価値観や経験を共有し、人々の行動変容につながるソフトパワーの重要性を改めて示すものです」と述べました。さらに、「日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進む課題先進国であり、その経験を国際社会と共有することは、日本の新たなソフトパワーになり得ます。複雑化する地球規模課題に対しては、政府、国際機関、企業、市民社会が強みを持ち寄る『Collective Impact(協働による大きな変化)』こそが、真の変化を生み出す原動力になると考えています」と強調しました。
続いて人権課題に関して、国連人口基金(UNFPA)、駐日スウェーデン大使館、イケアの各代表者は次のように述べました。
国連人口基金 人道支援局長 新垣尚子氏
「『世界人口白書2025』は、世界の多くの人々が望むように家族を築けていないという現実を示しており、これは生殖に関する自己決定権という人権の問題です。こうした課題に向き合うためには、社会全体で対話を広げていくことが欠かせません。世界人権デーに、イケア・ジャパンの皆さまが対話の場を提供してくださったことに心より感謝いたします。」
駐日スウェーデン大使ヴィクトリア・フロード=リー氏
「今年の世界人口白書は、出生率や数そのものにとらわれるのではなく、女性・男性を問わず自由な選択のもと自らの未来を形作ることができる、人権を尊重する社会の構築に取り組むべきだということを示しています。子どもに優しい社会の実現やジェンダー平等の推進は、女性のみの課題ではなく、社会全体が取り組むべきことです。女性の権利は人権であり、それが尊重されることによって、男性も子どももともに恩恵を享受することとなります。本日のイベントが、ジェンダー平等と環境の持続可能性を重視してこられたIKEAにおいて開催されますことを嬉しく思います。政府、企業、市民社会が連携することで、真の変革を生み出すことができます。」
イケア・ジャパン CFO 小山公三子
「家は単なる4つの壁と屋根で構成されたものではなく、安心や尊重、そして帰属意識を育む場所であり、誰もが『この家が好き』と感じられる場であるべきだと考えます。イケアは多様な人々の誰もが歓迎され、尊重される環境づくりを大切にしています。ジェンダー平等の実現に向けては、固定概念を“学びほぐす”こと、対話を通じた気づきが重要です。こうした考えのもと、Life at Home 2050 プロジェクトでは、家から始まる意識変革や、多様な家族や個人が対話を深めるきっかけを後押ししています。この取り組みを通して、UNFPAさまとのご縁にもつながり、賛同の輪が広がっています。イケアの8つのバリューのひとつである『連帯感(Togetherness)』を大切に、産学官の枠を越えて対話を続けることが、より平等でインクルーシブな未来を築く原動力になると信じています。」
UNFPAによる白書解説や若い世代による発言では、家庭環境や生殖をめぐる課題について多様な視点が共有され、会場では活発な対話が行われました。参加者からは「自分の価値観や当たり前を見直すきっかけになった」「家族や周囲の人と話したいテーマが増えた」などの声が寄せられました。

イケアは、国際的な記念日のみならず、日々の実践としてインクルージョンを推進しています。これからも、職場と家庭の両面で平等な機会の創出に取り組むとともに、地域社会との協働を通じて、すべての人にとってのよりよい家での暮らしの実現を目指します。
■イベント概要(参考)
UNFPA「世界人口白書2025」発表記念イベント
日時:2025年12月10日(水)19:00~21:00
会場:IKEA原宿
主催:UNFPA駐日事務所
特別協力:イケア・ジャパン株式会社
後援:在日スウェーデン大使館
協力:公益財団法人アジア人口・開発協会、国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)
イケア・ジャパン 公式HP
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イケア・ジャパン ニュースルーム
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