パンク歌手から芥川賞作家、そして唯一無二の表現者へ。町田康、はじめての自分語り!
独特な文体・語法と奇想天外な物語で幅広い読者を有し、多数のヒット作を発表してきた作家・町田康。一度読んだらやみつきになる、あの文学世界は、いかにして生まれ、進化してきたのか――。
このたび発売の『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』(NHK出版、2022年8月10日刊)では、人生初の試みという「自分語り」を幼少期から還暦を迎えた現在まで、好きだった本や作家、自身の作品解説といった文学世界はもちろん、影響を受けた民謡・浪曲・落語・ロックなどの芸能世界も取り込みながら、徹頭徹尾、町田ワールドを全開します。文芸ファンなら誰もが気になる謎について、町田康自らが内面を「暴露」する驚きの一冊です。

注目は、「町田語録」ともいうべき名文句の数々です。「あの世とこの世の間のその世」「わからんけどわかるのが詩の本質」「土俗卑俗にこそ真実がある」などは、建前と本音、高尚と低俗、ストーリーとギャグのあわいで葛藤してきた作家の本心を表すものですが、なかでも、自らの文体のキモ=「言葉を並べてええ感じにする」ために、いかに自動的な言葉を使わず、自分が配合した言葉を用いるかについて語るくだりは、町田康という表現者の凄み・特異性を際立たせます。マス言語(世の中に溢れた言葉)に抵抗して、自力で脳のバリアを突破する――それが自分のやるべきことであり、自分にとっての日本文学だと断言するのです。
町田康を知っている人も知らない人も、この本を読めば、その魅力に最大限触れられることは間違いありません。

※本書は、NHK文化センター青山教室にて、2021年10月から2022年1月にかけて行われた講座「作家・町田康が語る〈私の文学史〉」の講義をもとに加筆・修正し、編集したものです。
著者
町田 康 (まちだ・こう)
1962年、大阪府生まれ。作家。81年レコードデビュー。92年に詩集『供花』発表。96年「くっすん大黒」で作家デビューし、同作でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2000年「きれぎれ」で芥川賞、01年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年に短編「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞。近年は『宇治拾遺物語』の現代語訳や『義経記』を翻案した『ギケイキ』などにも取り組む。小社刊に、中原中也の詩に言葉を寄せた『残響』がある。
『私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?』 目次
第一回 本との出会い――書店で見つけた『物語日本史2』
第二回 夢中になった作家たち――北杜夫と筒井康隆
第三回 歌手デビュー――パンクと笑いと文学
第四回 詩人として――詩の言葉とは何か
第五回 小説家の誕生――独自の文体を作ったもの
第六回 創作の背景――短編小説集『浄土』をめぐって
第七回 作家が読む文学――井伏鱒二の魅力
第八回 芸能の影響――民謡・浪曲・歌謡曲・ロック
第九回 エッセイのおもしろさ――随筆と小説のあいだ
第十回 なぜ古典に惹かれるか――言葉でつながるよろこび
第十一回 古典の現代語訳に挑む
第十二回 これからの日本文学
読書案内
あとがき
商品情報

書名:私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?
出版社:NHK出版
発売日:2022年8月10日
定価:968円(税込)
判型:新書判
ページ数:256ページ
ISBN:978-4-14-088681-6 C0295
URL⇒https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886812022.html
Amazon⇒https://www.amazon.co.jp/dp/4140886811