「JTB交流文化賞」は、地域に根ざした持続的な交流の創造と各地域の魅力の創出、地域の活性化に寄与することを目的として、2005年に創設されました。2015年8月~9月に募集した「第11回JTB交流文化賞」は、地域の組織・団体を対象とした「組織・団体部門」と、一般の旅行者を対象とした「一般体験部門」、小中学生対象の「ジュニア体験部門」の3部門で厳正な審査を行い、この度、受賞作品を決定しました。
今回は、「組織・団体部門」に81作品、「一般体験部門」に75作品、「ジュニア体験部門」に1178作品、合計数で過去最高の応募をいただきました。
選考の結果、「組織・団体部門」は、NPO法人 英田上山(あいだうえやま)棚田団(岡山県美作市)『元快集楽(げんかいしゅうらく)歓交立克(かんこうりっこく)―世界棚田連邦をめざして―』をはじめ3作品、「一般体験部門」は、大久保 泰裕(おおくぼ やすひろ)さんの『ユンヌの海』をはじめ3作品が選ばれました。
また、「ジュニア体験部門」は、小学生の部:尾関 文亮(おぜき ぶんりょう)君(小学校5年生)の『ロケットが教えてくれたこと』をはじめ8作品、中学生の部:牧野 はるか(まきの はるか)さん(中学校1年生)の『バッハに近づけた春』をはじめ10作品が選ばれました。
本受賞結果は、1月21日のJTB新春経営講演会にて発表し、授賞式を開催しました。
受賞作品の全文はこちらをご覧ください。 ⇒ http://www.jtb.co.jp/chiikikoryu/koryubunkasho/
JTBグループは、事業パートナーやお客様とともに、地域が本来持ち合わせている自然や文化、歴史などの価値を損なうことなく、地域の特性を存分に活かした持続的な「交流」の創造、活性化へ寄与していきたいと考えています。そのため、事業領域を「交流文化事業」と定め、あらゆる交流の場を「創造、演出、サポート」する企業へと進化を目指しています。
これからも、JTBグループは長年の努力や斬新なアイデアに満ちた様々な交流事業を表彰し全国へ発信すると共に、観光を基軸とした地域活性化を推進するため、「持続可能な観光」と「双方向型の観光」の実現を目指してまいります。
◆第11回 JTB交流文化賞の受賞作品の概要
1.受賞作品の概要
(1)組織・団体部門
★最優秀賞
作品名:『元快集楽(げんかいしゅうらく)歓交立克(かんこうりっこく) ―世界棚田連邦をめざして―』
団体名:NPO法人 英田上山棚田団(岡山県美作市)
講 評:
美作市上山に定年後移住した元商社マンとその息子らが、かつての棚田を手作りで再生。村人の協力の輪も
広がり、ブランド米販売や活動記録出版、祭りの復活、台湾の棚田との提携など進化を続ける。交流、定住
人口の増加や、景観の再生や文化の継承にも繋がっている。棚田の復興だけでなく、ブランド米や酒などの
商品づくり、環境に配慮した二次交通や宿の整備など、ダイナミックで質の高い取組みで、移住した人が
子供を産むなど「田舎」の復活に繋がっており、移住促進の成功事例として、評価できる。
★優秀賞
作品名:『留学生スキーインストラクター「おもてなしスノーレンジャー」育成プロジェクト』
~北海道のスキー文化の発展とローカルスキー場の存続と活性化のために~
団体名:NPO法人 おもてなしスノーレンジャー(北海道札幌市)
★優秀賞
作品名:『漁師が帰りたくなる港へ-気仙沼つばき会による女性目線の観光・まちづくり』
団体名:気仙沼つばき会(宮城県気仙沼市)
(2)一般体験部門
★最優秀賞
作品名:『ユンヌの海』
受賞者:大久保 泰裕(おおくぼ やすひろ)さん
講 評:
与論島の小学校との交流で友人ができた筆者。数年後、父が余命3か月と診断され、家族の思い出旅行にと
与論へ。島を挙げた温かい歓迎で貴重な思い出に。昨年13回忌で再び与論へ旅立つ。余命いくばくもないと
宣告された父との旅。与論の人々に歓迎されて、旅先での思い出と父とのことが印象的に書かれている。
読みやすい文章で、最後は、爽やかに締められている。
★優秀賞
作品名:『障害があっても旅は楽しめる!「旅を楽しむための6箇条」』
受賞者:西本 幸司(にしもと こうじ)さん
★優秀賞
作品名:『真っ赤な招待状がくれたもの』
受賞者:土松 真理子(つちまつ まりこ)さん
(3)ジュニア体験部門
<小学生の部>
★小学生の部 最優秀賞
作品名:『ロケットが教えてくれたこと』
受賞者:尾関 文亮(おぜき ぶんりょう)君
講 評:
宇宙の話が大好きな筆者一家。種子島にロケットの打ち上げを見に行く。宇宙センターの見学や天候待ちの
間にも期待は高まる。打ち上げの瞬間は一生忘れない。楽しみに待つ間に悪天候で順延が重なり、帰る日に
なってしまって落胆したり、父が予約を取り直して滞在を延ばしてくれたり、話の展開が面白く、読ませる。
暗くなる中ロケットに光が集まるといった視覚の描写、打ち上げのカウントダウンが小さな声からだんだん
大きな声に変わり、ロケットの地響きに変わっていく音の描写、そして打ち上げの瞬間の昂揚感など感情の
描写、それぞれがいきいきと伝わって上手く表現されている。
★小学生の部 優秀賞2名
作品名:『ぜったいわすれないよ』 受賞者:嶽 きらら(だけ きらら)さん
作品名:『ばあちゃんのずんだもち』 受賞者:佐藤 優宙(さとう ゆうき)君
★小学生の部 入選5名(氏名のみ)
藤井 大我君、藤木 麻衣さん、西沢 郁輝さん、岡田 知紗さん、松本 智さん
<中学生の部>
★中学生の部 最優秀賞
作品名:『バッハに近づけた春』
受賞者:牧野 はるか(まきの はるか)さん
講 評:
幼少からヴァイオリンを弾いている筆者は、バッハが音楽監督を務めた教会でオーケストラの演 奏を聴き、
音楽が暮らしに根付いていることを知る。バッハの時代にタイムスリップしたような体験を通して、自信を
もって演奏に臨むことができるようになった。実際に現地を訪ねてバッハと「交流」できたことが、演奏の
自信につながっており、旅というものの価値がよく伝わる内容だった。筆者がバッハの気持ちになれたことが
読み取れる、「バッハにとって作曲は日記を書くような自然な営み」という描写が素晴らしい。筆者にとって
貴重な良い旅になった。タイトルも良いと感じた。
★中学生の部 優秀賞 2名
作品名:『旅行の笑顔は未来に続く』 受賞者:西本 朱里(にしもと あかり)さん
作品名:『もうひとつの母国』 受賞者:タルノフスカヤ 藤原 瑛令奈
(たるのふすかや ふじわら えれな)さん
★中学生の部 入選7名(氏名のみ)
大杉 明日香さん、上路 有音君、浦野 千夏さん、内山 はる香さん、本常 夢月さん、
三原 黎香さん、竹田 紗良さん
2.選考委員(敬称略 順不同)
安島 博幸 (跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部教授)
政所 利子 (株式会社玄 代表取締役)
森 まゆみ (作家・谷根千工房主宰)
松平 定知 (京都造形芸術大学教授 国学院大学客員教授)
見城 美枝子 (青森大学副学長、教授・エッセイスト・ジャーナリスト)
久保田 穣 (株式会社ジェイティービー常務取締役)