TDB景気動向調査(全国)― 2026年9月調査 ―

株式会社帝国データバンクは、全国2万2,095社(有効回答企業1万235社、回答率46.3%)を対象とした2026年9月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表いたしました。
■調査結果のポイント
- 026年9月の景気DIは前月から横ばいの44.6となった。国内景気は、機械関連需要や旅行需要が下支えしたものの、仕入単価の高止まりや天候不順など悪材料も多く、上向き傾向が一服した。今後の景気は、コスト高と金利上昇が勢いを抑える一方、内需の回復が下支えし、緩やかな持ち直しが続くとみられる。
- 10業界中『建設』『製造』『金融』の3業界が改善、『農・林・水産』『サービス』など6業界が悪化した。『卸売』は横ばいだった。規模別では、「小規模企業」は改善も、「大企業」「中小企業」は横ばいとなった。地域別では、『北陸』など4地域で改善、『東海』など5地域で悪化と地域によって明暗が分かれた。
- [今月のトピックス] 売り上げDIは、判断の分かれ目となる50前後で推移している。業種別では、半導体関連業種が堅調な一方、小売業では物価高などの影響により、厳しい収益環境がうかがえる
次回発表日は11月5日(木)13時30分を予定しております。
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< 2026年9月の動向 : 横ばい >
2026年9月の景気DIは前月から横ばいの44.6となった。国内景気は、機械関連需要や旅行需要が下支えしたものの、仕入単価の高止まりや天候不順など悪材料も多く、上向き傾向が一服した。
9月は、好調なAI・半導体関連を軸とした機械需要のほか、大型シルバーウィークによる旅行・レジャー需要、堅調な建設需要が好材料だった。一方で、売り上げや生産・出荷量は力強さを欠き、仕入単価の高止まりや人手不足、日銀の利上げによる金利負担への警戒、天候不順などが悪材料となった。

< 今後の見通し : 緩やかに持ち直し>
今後は、政府の成長投資や国土強靱化、企業の省力化・更新投資が内需を支えよう。飲食料品の消費税率引き下げを含む物価高対策や賃上げの定着で家計の実質購買力が改善すれば、個人消費の持ち直しも期待される。輸出の回復も下支え材料となる。一方で、人手不足や人件費上昇は企業収益を圧迫し、長期金利の上昇は設備・住宅投資の重荷となる。中東情勢や海外景気、通商政策の不透明感も残る。
今後の景気は、コスト高と金利上昇が勢いを抑える一方、内需の回復が下支えし、緩やかな持ち直しが続くとみられる。

業界別:10業界中3業界で改善、6業界で悪化した
10業界中『建設』『製造』『金融』の3業界が改善、『農・林・水産』『サービス』など6業界が悪化した。『卸売』は横ばいだった。半導体関連、災害復旧工事などの需要増加は景気を下支えした。また『金融』は、金利上昇がプラスに作用した。他方、天候不順などがマイナス材料になったほか、人件費高騰、円安、購買意欲の低下などを不安視する声も複数聞かれた。
『建設』(46.5)…前月比0.5ポイント増。4カ月連続で改善。地震や豪雨災害などによる復旧工事などが景気の押し上げ要因だった。堅調な都市再開発やデータセンターの建設など大型案件が各地で進展し、受注環境を下支えした。また、法人の新店舗やリノベーションへの需要が旺盛といった声が聞かれた。
他方、技術者不足など深刻な人手不足は受注や工事進捗の制約要因となった。資材価格や労務費も高止まりしており、採算面への懸念は根強い。
『製造』(45.9)…同0.3ポイント増。5カ月連続で改善。引き続き半導体やAI・データセンター関連などの需要が堅調に推移したことから「電気機械製造」(同1.1ポイント増)や「機械製造」(同1.0ポイント増)はそれぞれ5カ月連続で上向いた。また、医療機器や光学機器などで受注がみられ、「精密機械、医療機械・器具製造」(同0.7ポイント増)は再び50台に上昇した。
他方、「輸送用機械・器具製造」(同2.1ポイント減)は、原材料費の高止まりのほか、自動車部品製造の落ち込みが響き、5カ月ぶりに悪化した。
『農・林・水産』(39.1)…同2.1ポイント減。3カ月連続で悪化。3年7カ月ぶりに30台へ落ち込んだ。米価の下落を悪材料にあげる企業が多数あったほか、天候不順で操業できない日が多かった水産業で景況感を下押しした。さらに、農作業が滞ったほか、一部の野菜などでは低温の影響で生育不良が生じた。
他方、鶏卵価格の高値維持は好材料だった。
『サービス』(47.4)…同0.1ポイント減。4カ月ぶりに悪化。仕入れ価格や人件費上昇、外出機会の抑制などで「飲食店」(同1.6ポイント減)は3カ月ぶりに下落した。また、「教育サービス」(同2.9ポイント減)も物価高を背景とした家計の節約志向などから、2カ月ぶりに落ち込んだ。「情報サービス」(同0.5ポイント減)は50台を維持しつつも、AIの普及が従来型の業務や受注環境に及ぼす影響を懸念する声が寄せられた。
他方、「旅館・ホテル」(同2.1ポイント増)はシルバーウィークに支えられ、3カ月連続で上向いた。

規模別:3カ月連続で全規模が改善、半導体関連や荷動きの活発化が追い風
「小規模企業」が改善した一方で、「大企業」「中小企業」は横ばい。AI・半導体関連需要は引き続き好材料だった。「大企業」は設備投資意欲が低下したものの、景気DIは「中小企業」を上回り、企業規模による格差が続いている。
「大企業」(48.7)…前月比横ばい。都市再開発や大型案件の増加を背景に『建設』は7カ月ぶりに50台を回復した。
一方で、「旅館・ホテル」など『サービス』は悪化した。設備投資意欲DIは3カ月ぶりに50を下回った。
「中小企業」(43.9)…同横ばい。半導体関連需要の恩恵を受けた「機械製造」など『製造』がけん引した。
一方で、米価の下落などを背景に『農・林・水産』は2023年11月以来となる30台に落ち込んだ。
「小規模企業」(42.0)…同0.1ポイント増。4カ月連続で改善。『製造』では、AI関連需要の増加で好調な「化学品製造」など、12業種中8業種が上向いた。金利上昇を背景とした資金運用利益の増加を受け、『金融』も改善した。

地域別:4地域で改善、5地域で悪化と地域によって明暗
10地域中、『北陸』など4地域が改善した一方で、『東海』など5地域が悪化、『北海道』は横ばいだった。都道府県別では改善が29、悪化が17、横ばいが1だった。建設関連需要などを背景に、地域によって景況感の明暗が分かれた。
『北陸』(43.8)…前月比0.2ポイント増。4カ月連続で改善。「建材・家具、窯業・土石製品卸売」など『卸売』の回復が寄与したほか、米価下落によるコスト負担の軽減がみられた「飲食料品小売」など『小売』もけん引した。
『九州』(44.6)…同1.1ポイント増。2カ月ぶりに改善し、10地域中、5位から2位に上昇。地震の復旧・復興需要などを背景に持ち直しの動きがみられた。また、都市圏の建設需要が下支えしたほか、半導体関連や造船関連も堅調に推移した。
『東海』(44.1)…同0.3ポイント減。5カ月ぶりに悪化した。『運輸・倉庫』では、旅客・貨物輸送ともに需要の減少を指摘する声が聞かれ、景況感を下押しした。「静岡」は、自動車関連の停滞感などを背景に5カ月ぶりに悪化した。

売り上げDIの推移
- 売り上げDIは、判断の分かれ目となる50前後で推移している。大企業では50を上回って推移しており、中小企業との差がみられる
- この半期は、「化学品製造」「電気機械製造」などの半導体関連業種や、金利上昇を背景に資金運用利益が増加した「金融」、価格転嫁が進んだ「パルプ・紙・紙加工品製造」で売り上げDIが高い
- 一方で、小売業では物価高による買い控えや仕入価格の上昇を背景に、厳しい収益環境がうかがえる

【調査先企業の属性】
1.調査対象(2万2,095社、有効回答企業1万235社、回答率46.3%)
2.調査事項
景況感(現在)および先行きに対する見通し
経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2026年9月14日~9月30日(インターネット調査)
【景気動向指数(景気DI)について】
■TDB景気動向調査の目的および調査項目
全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万3千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI算出方法
DI(ディフュージョン・インデックス〈Diffusion Index〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測DI
景気予測DIは、ARIMAモデルと構造方程式モデルの結果をForecast Combinationの手法で算出。破線は予測値の幅(予測区間)を示している