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公益財団法人日本ユニセフ協会

世界で5,000万人にのぼる“ふるさとを奪われた”子どもたち 【プレスリリース】

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2,800万人が紛争で自宅を追われる、 移民・難民危機に関するユニセフ包括的レポート発表

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文と添付資料のPDF版は、http://bit.ly/2crIbIU からご覧いただけます。
※本報告書のPDF版、及び、関連する動画・画像は http://weshare.unicef.org/Package/2AMZIFQP5K8 からダウンロードいただけます。

【2016年9月7日 ニューヨーク発】
世界全体で、5,000万人近くの子どもたちがふるさとを奪われてきました。そのうち2,800万人が紛争によって自宅を追われ、さらに何百万人もが、より良く、より安全な生活への希望をもって移民となっています。その人々は、紛争や暴力によってトラウマを負うこともしばしばで、それらから逃れるために移動する中、さらなる危険に直面します。海を渡る際の溺死、栄養不良、脱水症、人身売買、誘拐、レイプ、さらには殺される危険さえあります。最終目的国において、またその国へたどり着くまでに通過する国々において、外国人に対する嫌悪や偏見にも晒されます。

ユニセフ、報告書を発表

本日発表された、ユニセフの新たな報告書「Uprooted: The growing crisis for refugee and migrant children(ふるさとを奪われた子どもたち:拡大する難民・移民危機)」は、世界で拡大している子どもの移民・難民の現況や地域別のデータ(一部図表を添付)、様々な視点で分析した難民の動向によって、何百万人もの子どもたちと家族が直面している生活や状況の驚くべき実態を描き出しています。これらのデータがあらわす人々は、自宅に留まるよりも、非常に危険な旅にすべてを賭ける方が安全だと感じるほど、暴力的な紛争や他の危機の影響を受けているのです。

ユニセフ事務局長のアンソニー・レークは、「海で溺れ遺体となって海岸に打ち上げられたアイラン・クルディくんや、ビルの瓦礫から救出され、傷つき血の付いた顔で救急車の中の椅子に座っていた幼いオムラン・ダグニシュくんという、子どもたちの痛ましい姿は、世界に衝撃を与えました」と述べました。「しかし、それぞれの写真、そこに写る一人ひとりの子どものうしろには、何百万人もの危険の中で生きる子どもたちがいるのです。私たちは、目にした子どもたちに寄せた深い同情を、すべての子どもたちのための行動に結びつけていかなければならないのです」

報告書では、次のようなデータが示されています。
・国外で難民申請をする人々のうち、子どもが占める割合が過度に大きく、増加を続けています。世界の人口のうち子どもが占める割合は約3分の1、一方ですべての難民のうち子どもが占める割合はおよそ半数です。2015年に、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の保護を受けた子どもの難民のうち約45%が、シリアとアフガニスタン出身でした。

・2,800万人の子どもたちが、自国内の、またときに国境を越える暴力と紛争によって、避難を強いられています。そのうち、1,000万人が難民、100万人が難民認定を待つ難民申請者、そして推定1,700万人が自国内で避難民となっています。こうした子どもたちは、人道支援や、必要不可欠なサービスへのアクセスを切実に必要としています。

・ますます多くの子どもたちが、単独で国境を越えています。2015年、おとなの同伴のない未成年10万人以上が、78カ国で難民申請をしました。この数は2014年に比べ3倍に上ります。おとなの同伴のない子どもたちは、密航業者や人身売買業者によるものも含め、搾取や虐待の高いリスクに晒されます。

・さらに約2,000万人の子どもの移民が、例えば極度の貧困や、ギャングによる暴力など、様々な理由で自国を去っています。こうした子どもたちは正式な書類を持たず、法的身分が不安定であり、見過ごされている子どもたちの健康や福祉を適切に追跡・モニタリングするシステムが整っていないことから、特に虐待や拘留のリスクに晒されています。

中東・アジア地域の子どもたち

報告書によると、最近難民となった人々の最大の受け入れ国であるトルコは、世界でも最も多くの子どもの難民を

受け入れています。国人口に対する受け入れ難民数の割合が世界最大であるレバノンでは、およそ5人に1人が難民です。その割合を比較すると、英国が受け入れている難民は国民約530人に1人、米国では国民1,200人に1人です。しかしながら、難民の受入国を所得水準で見てみると、コンゴ民主共和国、エチオピア、パキスタンに大きな負担がかかっています。 
 
        
          この資料のPDF版は http://bit.ly/2bVTlHo からご覧いただけます 

安全で合法的なルートがあれば、移民は子どもたちにとっても、受け入れるコミュニティにとってもより良い機会になると、報告書は主張します。高所得国において移民がもたらす影響に関する分析によると、移民は受け取る金額よりも多くの税金や社会的費用を納めたこと、労働市場において高いスキルを必要とする仕事とそうでない仕事の双方で足りない労働力を埋めたこと、そして、受入国における経済発展やイノベーションに貢献していたことが分かっています。

教育の機会を逃す子どもたち

しかし、 極めて重要なことには、自宅を離れたり、避難を強いられたりする子どもたちは、教育など、移民の潜在的利益となる機会を逃しています。教育は、多くの子どもたちや家族が移住を選択する主要な要因です。子どもの難民は、難民でない子どもと比べ、学校に行っていない割合が5倍に上ります。仮に、難民の子どもたちが学校に通うことができたとしても、差別に遭遇し、不公平な扱いやいじめにあったりもします。

教室の外では、法律が障壁となって、難民・移民の子どもたちがその国の子どもたちと同様のサービスを受けることができません。最悪のケースでは、外国人への嫌悪が増大し、直接的な攻撃となります。ドイツだけをみても、2015年に難民保護施設に対する攻撃は850件に上ります。

「もしこうした難民・移民の若者に教育や普通の子ども時代を過ごす機会を提供できなければ、世界はどのような代償を払うことになるのでしょうか。彼らはどのようにして、自分たちの社会に前向きな貢献をすることができるのでしょうか。もしそれができなければ、彼らの未来が荒廃するだけでなく、社会も同様に衰退していくでしょう」(レーク事務局長)

子どもたちを守るための6つの行動

報告書は、避難民・難民・移民の子どもたちを保護し、支援する6つの具体的な行動を提示しています。
・特におとなの同伴のない子どもの難民・移民を、搾取や暴力から保護すること
・問題解決につながる様々な代替策を提示することによって、難民認定や移住を求める子どもたちの拘留を終わらせること
・子どもを保護し、法的身分を与えるための最善の方法として、家族を一緒にすること
・すべての難民・移民の子どもたちに、学ぶ機会や、保健、その他の質の高いサービスへのアクセスを提供すること
・難民・移民の大規模な動きの根底にある原因を解決するための行動を強く求めること
・外国人に対する嫌悪、差別、社会的排斥と闘う対策を促すこと
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

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