多摩美術大学が版画教育開始から50周年を迎えたことを記念した展覧会「多摩美の版画、50年」が、1月6日(水)から多摩美術大学美術館で開催される。
多摩美ゆかりの作家たち総勢62名の版画
同展覧会では、多摩美術大学の版画教育の礎を築いた版画家の駒井哲郎・吹田文明や、李禹煥・関根伸夫・吉田克朗らの「もの派」、高松次郎、若林奮などの日本の戦後前衛美術を牽引した作家たち、日本画家の加山又造、画家の辰野登恵子、イラストレーターの和田誠のほか、デザイナー、漫画家、絵本作家など多彩な分野で活躍する横尾忠則、しりあがり寿、田中清代、小林賢太郎といった多摩美ゆかりの作家たち総勢62名の版画作品を、6つのテーマに分類して展示する。
6つのテーマに分類
「版画のコア」では、今日の多様な拡がりの起点となる版画のコアをテーマに展示。
「版画と絵画」では、同大学における版画教育が油画専攻から始まった経緯を踏まえながら、単なる複製画としてではなく、間接的な表現としての版画というメディアに画家はどのような絵画的な可能性を見出しているのかをテーマとしている。
「版画と写真」では、写真イメージを版にすることは、イメージと物質、そしてレイヤーの問題に向き合うという点に着目。写真を展開させるメディウムとしての版画の可能性とは何かを問う。
「版画ともの派」では、もの派の作家たちが、版の物質性、痕跡性に着目しながら、どのように物の関係性を表現しようとしたかをテーマとしている。
「版画と現代美術」では、1970年代以降の作家たちの多くが、物質と記号の間をめぐりながら、各作家の問題意識において、様々な版の特質に着目し、版画表現に関わってきた点にフォーカス。それらの多様な彼らの版に対するアプローチを深める。
「版画とデザイン」では、版画とデザインの親和的な関係が歴史的にあった一方で、今日ではデザイナーが版を意識的に活用することで、デザインの創造性が発揮されている、その可能性をテーマとしている。
会期は1月6日(水)〜2月14日(日)。入館料は一般300円。
6つのテーマを通して、多摩美術大学の版画とその50年を味わってみては。
■「多摩美術大学美術館」
住所:東京都多摩市落合1-33-1