住友商事、東急電鉄、富士通の3社は、東急電鉄自由が丘駅(東横線・大井町線)において、今年12月から、ローカル5Gを活用した線路の異常検知および運転支援業務の高度化に関する実証実験を開始する。
同実証実験は、総務省の「令和3年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に選定されたもの。
近年、日本の鉄道業界では、少子高齢化に伴う人手不足や熟練技術者の減少が進んでおり、作業現場における自動化や省力化、安全性の向上などに必要なインフラとして、ローカル5Gの活用が期待されている。
ローカル5Gは、自治体や企業などが主体となり、限られたエリアで柔軟に5G網を構築できる無線通信システム。エリアごとにローカル5G網を構築することで、高速大容量で超低遅延かつ多数同時接続という特長に加え、外部環境に依存しない安定したネットワークを保有できる。
目視で行っていた業務を効率化・高度化
同実証実験は、2021年12月から2022年3月まで、自由が丘駅に構築するローカル5G環境下で行う。
具体的には、列車や駅のホームに設置した高精細4Kカメラで撮影した映像をローカル5Gで伝送し、AIで解析することで、目視で行っていた線路巡視業務および車両ドア閉扉合図業務の効率化・高度化を目指す。
これらの有効性の検証およびローカル5Gの性能評価などを実施し、課題の抽出や今後の実装および普及に向けた検討を行っていく。
汎用性の高いモデルの構築を目指す
住友商事は、総務省と契約した三菱総合研究所と請負契約を締結し全体の統括を担い、東急電鉄は、実施場所の提供に加えて本実証実験の有効性の検証、富士通はローカル5Gの無線ネットワーク構築と性能評価などの実証を担当する。
3社は、同実証実験において鉄道業界全体への将来的な展開を想定し、汎用性の高いモデルの構築を目指す。
また、安全性の維持や向上と業務の効率化を実現する新たなデジタルソリューションを創出し、鉄道業界のさまざまな課題解決に貢献していくという。