清流・四万十川のほとりに位置する小さな集落で100年以上続く超地域密着型店舗「ライフショップまつした」が、2月2日(水)、店舗を新装開店した。
高知県四万十町旧十和村地域の久保川にある松下商店「ライフショップまつした」を営むのは、3代目店主の松下洋平さんと、タイ出身のシーナンエームウィモンさん夫婦。久保川は、四万十町の中でも年々人口が少なくなっていく地域であり、限界集落と呼ばれる日も近づいている。
「Jターン」で事業を引き継いだ松下さん
松下洋平さんは高知県土佐清水市の出身。東京や大阪などで社会人として生活をしているとき、事業継承が出来ず悩んでいた親族夫婦から声をかけられ、事業を継承するため四万十町へ移住し養子入りを果たす。移住後はメインの事業である店舗の維持経営はもちろん、高齢者を中心とする買物弱者への支援として移動販売を行うなど、地域住民のインフラ的役割も担ってきた。
プライベートでは、SNSを通じて知り合ったタイ出身のシーナンエームウィモンさんと結婚。二人で移動販売と実店舗の経営をしている。
地域に合ったオリジナル店舗づくりに挑戦
今回は、そんな夫婦二人が考えた店舗づくりのアイディアが高知県の「高知新規事業チャレンジ支援事業補助金」の再構築枠で採択を受け、店舗を新装開店することに。
店舗の事業を再構築するきっかけとなったのは、地域の学生たちの「なぜこの地域にはコンビニがないのか?」という声からだったという。働き手不足はもちろん、24時間営業問題などの諸事情により田舎にコンビニができることは現実的に難しい。そこで、コロナ禍やアフターコロナでも対応できるオリジナル店舗づくりを意識し、もともと各種商品小売業として営んでいた店舗を、地域住民や観光客向けに同地域に不足しがちであった「食」の提供ができる店舗へとシフトチェンジした。
わざわざ足を運びたくなるお店へ
事業再構築後の店舗では、日本酒やワイン、国内外のクラフトビールなどのアルコールのテイクアウト・量り売りスタイルにも挑戦。
また、タイでコックの経験を培ってきたウィモンさんによる本場タイ料理テイクアウトのほか、オリジナル弁当や総菜をつくるためのキッチンを導入。キッチンは一部上部分をガラス張りにすることで料理をしている様子が来店客に見えるようになっており、そのライブ感も楽しめる。
店内には観光客や地域住民が憩いの場として使用できるコミュニティスペースも設置。フリーWIFIも完備予定だ。通路は、車椅子での来店に対応できるよう広めの通路設定にしている。さらに、壁紙や床も林業が盛んな四万十町をイメージ。随所に夫婦のこだわりを垣間見ることができる。
「住み続けられるまちづくり」を目指して
今回の事業の再構築では、地域の活性化はもちろん、県内外からの来店客やインバウンド効果も視野に入れているそう。また、SDGSの11番目の目標にもあるよう、「住み続けられるまちづくり」を目指し、この地域でつむがれていく文化や人をこの店舗で未来へつなげていけるよう活動していくという。
関連URL:https://www.town.shimanto.lg.jp/ (四万十町役場)