大分県の佐伯市観光協会は、自然の循環をテーマにした観光プロジェクト「浦100」を開始した。
100年後も豊かな浦を残すためのプロジェクト
「浦100」とは「100年後も人の営みが豊かな浦を残すための100の観光アクション」を生み出すことを目標とした、佐伯市観光協会のプロジェクト。
「佐伯の殿様浦でもつ。浦の恵みは山でもつ」そう言い伝えられるほど、佐伯寿司で有名な大分県佐伯市は豊かな山、川、海を持っている。1623年、佐伯藩は魚類の生息を守るため森林資源を残す触書を出した。SDGsの先駆けともいえる取り組みだ。
それから400年。佐伯市観光協会は「100年後も人の営みが豊かな浦を残すにはどうすればいいだろうか」という問いを立て、自然の恵みを体感できる観光プログラムの造成に取り組む。売上の一部は、山・川・海の保全活動に使われる。
山・川・海の恵みが学べる観光コンテンツを目指して
佐伯市の観光資源を見つめ直す過程で、このまま続くと水産業の継続が難しくなる可能性があると事業者は語った。
その危機感から、佐伯の環境を調査すると、浦の恵みは山や川からもたらされることもわかってきたという。
佐伯市は九州で最大規模の森林があり、一級河川の番匠川が流れ、そして豊かな漁場がある浦をもっている。400年前の魚類を守るための森林保全の御触れも知り、大昔からSDGs的な取り組みが行われていたことを学んだそう。このため、山・川・海を単体でなく面で捉えて、自然の循環がもたらす恵みを学べるような観光コンテンツをつくれないかと同団体は考えた。
2020年3月に「さいきオーガニック憲章」を制定している佐伯市。佐伯市観光協会は「さいきオーガニックシティ構想」を観光の観点から推進するプロジェクトとして「浦100」プロジェクトを展開する。
協会会員とも協力しながら観光プログラムを制作
同プロジェクトの目的は「100年後も人の営みが豊かな浦を残す」、目標は「100年後も人の営みが豊かな浦を残すための100の観光アクションを起こす」。
佐伯市観光協会は、約350の同協会会員に「応援」「アクションへの参画」の2つのアプローチでの協力を依頼している。
初年度の2023年度は、アクションに参画する事業者と共に、2024年春に展開されるJRデスティネーションキャンペーンに向けた観光プログラムをつくる。
100年後も人の営みが豊かな浦を残すアクションを、10事業者と生み出すことを目標としている。
スタート時点では、道の駅かまえ Buri Laboratory、
テントテントツアーズ、
JR佐伯駅の3事業者が参画する。
また、コンセプトとなる大漁旗をモチーフにしたグラフィックデザインは、岡崎デザイン(北九州市)の岡崎友則さんが担当。佐伯の浦を豊かにする5つの要素「伝承」「時間の流れ」「保全」「循環」「多様性」からキャラクターを抽出し、デザインに落とし込まれている。
山・川・海の恵みが体感できる観光プログラムの造成を目指す、佐伯市のエシカルな観光プロジェクト「浦100」に今後も注目しよう!
佐伯市公式サイト:https://www.visit-saiki.jp/
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