貴重な文化財をデジタルデータで残す技術とともに、その価値を多くのひとへ届けるためのコンテンツ制作や展示企画などの事業を展開している「とっぺん」は、大分県無形民俗文化財に指定されている民俗芸能「辻間楽」の楽打の動きをデジタルアーカイブ化する取組を、大分県日出町と実施した。
存続の危機に直面している「辻間楽」
「辻間楽」は、集団によって奉納する「楽打(がくうち)※」の民俗芸能で、毎年、旧暦9月9日(10月10日前後)から始まる八津島神社(日出町豊岡)の境内で行う大祭などで奉納しており、大分県無形民俗文化財に指定されている。しかし現在は関係者の少子高齢化が進み、後世へ伝統や誇りを伝える継承者が不足しているため、存続の危機に直面している。
楽打の動きをモーションキャプチャで記録
そんな背景から、とっぺんは「辻間楽」を後世へ伝える取組として日出町の委任を受け、関係者が実演した太鼓を叩きながら舞う「楽打」の動きを佐賀大学芸術地域デザイン学部と連携しモーションキャプチャで記録した。
これまで人伝えで継承されてきた無形文化財の伝承情報を、動きをデジタルアーカイブ化することで、文化財の史料データとしての価値だけでなく、「辻間楽」の舞いを任意の角度から視聴できる継承ツールとして活用することも可能となった。
「辻間楽」をしっかりと後世に繋ぐ
とっぺんの常務取締役・村上浩明氏は、今回アーカイブしたデータを使って、より分かりやすく伝えられるもの、若い人たちでも楽しみながら学べるようなもの、さらに一歩進んでこれまで興味がなかった層にも訴求できるような仕掛けを今後日出町と一緒に考えていけたらと思っているという。具体的には、まずはより多くの人たちに知ってもらう、興味を持ってもらうための映像コンテンツ、そして、VR/AR/MRといった技術を使ってゲーム感覚で楽しみながら学べるコンテンツなどへの展開を考えているそう。
存続の危機にある貴重な民俗芸能を今回の事業でしっかりと記録保存できたことで、今後はこの貴重なデータを使って、民俗芸能「辻間楽」をより多くの人に知ってもらい、しっかりと後世に繋いでいくような仕掛けを作っていきたいとしている。
なお、記事の内容は発表時のものであり、その後予告なしに変更されることがある。
無形文化財を「カタチ」あるものにしていく「とっぺん」の取り組みに、今後も注目だ。
大分県無形民俗文化財「辻間楽」記録の様子:https://youtu.be/rfnzoIer4c4
とっぺん:https://www.toppen.jp/
※「楽」とは太鼓のことで、「楽打」とは太鼓踊りの事を指す。