日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、埼玉県旧都幾川村(現ときがわ町)を写真とともに紹介する。
Vol.34/埼玉県旧都幾川村(現ときがわ町)
元々、ときがわ町には訪れたことがあったのだが、そのとき「ときがわ」が「都幾川」であることには、不覚にも気づかなかった。そうか、川の流れが地名なのだと。そして、隣の旧玉川村と2006年に合併したことで、漢字ではなくひらがなの地名が生まれたのである。
都幾川は、荒川水系の一級河川である。両岸を黒く大きな岩と緑に囲まれた都幾川は、心地よい音を立てながら流れていた。
そして、慈光寺に訪れたとき、駐車場で360度あらゆる方角から、ウグイスが鳴いていた。それも、うるさく鳴くのではない。どの角度からも心が弾むような明るさを含み、のびのびと春を表現していた。「ここはウグイスの天国だ…」と冗談ではなく思ったものである。
最後には山を降りて、明覚(みょうかく)駅を訪れた。ベージュ色の可愛い三角屋根の駅舎がこぢんまりと建っていて、駅名が書かれた木の板からも懐かしさが感じられた。
こうした自然豊かな土地で過ごせば、四季を大切にできる気がした。
次回は、埼玉県旧玉川村(現ときがわ町)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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