
大阪府貝塚市に本社を構える「つぎと」は、新たなホテルブランド「NAE(なえ)」を、9月8日(火)に立ち上げる。そして同日、岐阜県美濃市にて、「NIPPONIA 美濃商家町」からリブランドする「NAE 美濃」を第1号施設としてスタートする。
第1号施設「NAE 美濃」
「NAE」の第1号施設「NAE 美濃」では、美濃の町に受け継がれてきた暮らしや文化を単に紹介するだけではなく、宿での滞在そのものを通じて感じられるような取り組みを進めている。
そのひとつが、美濃を代表する伝統文化である美濃和紙。ユネスコ無形文化遺産に登録された本美濃紙をはじめ、1300年以上の歴史を持つ美濃和紙の産地にある「NAE 美濃」では、壁紙として美濃和紙を取り入れるほか、地域の手すき和紙職人と連携した美濃和紙のアートワークを制作する。
また、施設内には美濃和紙の専門店「Washi-nary」があり、客室の外でも地域の暮らしを体験することができる。
建物の意匠として地域文化を取り入れるだけではなく、その背景にある人や仕事、町との接点までを滞在体験につなげる。「NAE 美濃」では、こうした取り組みを通じて、ホテルを入口に地域の暮らしへ触れる体験をつくっていく。
新ホテルブランド「NAE」


「NAE」のブランドコンセプトは、「土地に根づく関係とゲストを綯い合わせる宿」だ。
つぎとがホテルをつくる地域には、建物だけではなく、そこに暮らす人、手仕事、自然などさまざまな要素が折り重なっている。それらをホテルの中だけで体験するのではなく、ゲストが実際に町へ出て、人に出会い、地域の日常に触れることで、その土地との関係を少しずつ育てていく。

「NAE」は、ホテルと地域を切り離すのではなく、地域そのものを滞在体験の一部として捉えるブランド。一般的な旅では、その地域との関係は「訪れる」と「帰る」で完結するが、つぎとが「NAE」を通じてつくりたいのは、その間にある、もっと自由な地域との関わり方だという。
移住する必要はない、毎週訪れる必要もない、けれど、行きたいときには行くことができる。ゲストそれぞれが心地よい形で楽しむことが、地域との大切な関わり方だと、同社は考えている。
「NAE」での滞在をきっかけに、これまで単なる「旅行先」だった地域が、その人の暮らしの中にゆるやかに存在するようになる。それが同社が目指すホテルの姿だという。
「NAE」という名称は、「綯え(なえ)」という言葉から名付けられた。「綯う」とは、藁や糸など複数のものをより合わせ、1本の縄やひもにしていくこと。「NAE」が一方的に地域の魅力を“提供する”のではなく、地域とゲストの間に立ち、双方の関係を少しずつ綯い合わせていく存在でありたいという想いが込められている。
ブランド立ち上げの背景
地域には、それぞれ異なる環境の中で長い時間をかけて育まれてきた、固有の暮らしや営みがある。一方で、人口減少や生活様式の変化、経済合理性や効率性の追求によって、こうした地域ごとの違いは少しずつ失われつつある。
つぎとは、「文化多様性のある世界を未来に継承する」ことをMissionに掲げている。同社が守りたいと考えているのは、歴史的な建物の形だけではない。
同社はこれまで、古民家の建築設計や、地域資源を活かした不動産開発を中心に事業を行ってきた。一方で、建物や事業を立ち上げるだけではなく、地域に継続的に関わり、その土地の暮らしや営みを未来へつないでいくためには、自ら運営にも関わる必要があると考えるようになったそう。その考えから生まれたのが、ホテルブランド「NAE」だ。
「NAE」のMission
「NAE」は、つぎとがこれまで各地域で続けてきた古民家活用と地域事業を、ホテルという形でより多くの人へ届けるためのブランド。

「NAE」が掲げるMissionは、「均質・合理化されていない、日本の暮らしや営みの豊かさを守る」こと。そのために、古民家を文化財として保存するだけではなく、再び人が使い、泊まり、町を歩き、地域の人と関わるための場所として活用していく。
ホテルという比較的気軽な入口から、その奥にある地域の暮らしへ。古民家の空間に泊まり、土地の食を味わい、地域の人と言葉を交わし、手仕事に触れ、町を歩く。そうした体験によって、観光地として眺めているだけでは分からなかった、その地域ならではの豊かさに気づいてもらう。
そして、一度きりの旅行で終わるのではなく、再び訪れたり、地域のことを気にかけたり、いつか暮らしの拠点の1つとして選んだりする人が増えていく。その先に、地域の文化や営みを受け継ぐ人が増えていく未来を描いている。
今後の展開
今後は、「NAE 美濃」を皮切りに、つぎとが運営に関わる各地域の宿泊施設へ順次ブランドを展開していく予定とのこと。
今後も同社は、建築設計やディベロップメント、ホテル運営に加え、Mission・Visionの実現につながる新たなプロダクトを開発していく考え。それぞれの事業を通じて、地域の魅力を知る人、関わる人、そしていつかその営みを支える「担い手」を増やしていくこと。それが、「NAE」を含むつぎとの事業全体で目指している未来だという。
古民家宿を入口に、地域との新しい関係を育てるホテルブランド「NAE」をチェックしてみては。
(Higuchi)