履行保証保険の導入事例が見られ、申込棟数は累計209棟に到達 日新火災海上保険株式会社の財務審査を通過した90社が参画し、管理組合における検討対象の一つとなっています
一般社団法人マンションあんしんセンター(東京都渋谷区)は、同センターが保険代理店として取り扱っている日新火災海上保険株式会社(以下、日新火災)マンション大規模修繕工事向けの「履行保証保険」について、2026年3月31日時点の利用実績を公表しました。
2026年3月末時点における履行保証保険の累計申込棟数は209棟となり、対象となる修繕工事会社は90社へ拡大しています(同センター代理店加入集計データ)[1]。
現在のマンション大規模修繕工事業界においては、施工業者の工事完了能力に関する情報把握が難しい場合もあり、慎重な検討が求められる場面があります。その要因としては、建設資材価格や人件費の上昇、建設業界における事業環境の変化などが考えられます。
また、近年、修繕工事に関連する談合問題について報道が見られます。こうした状況を踏まえ、保証制度の仕組みについて検討が行われるケースもあります。このような中、第三者である損害保険会社が施工業者の財務状況を一定の基準に基づいて審査した上で提供される履行保証保険は、大規模修繕工事における選択肢の一つとして取り扱われています。
大規模修繕工事は資産維持を目的とした重要な取り組み
マンションの大規模修繕工事は、建物の維持・保全を目的として、長期間にわたり積み立てられた修繕積立金を活用して実施されます。近年では、建設コストの上昇に加え、建物規模や修繕内容の変化などの影響により、1件あたりの工事費用が数億円規模となるケースも見られます(当センター取扱案件ベース)[1]。
工事内容には、外壁補修、防水工事、鉄部塗装、シーリング更新、仮設足場工事など複数の工程が含まれ、管理組合にとって慎重な検討が求められる取り組みです。
一方で、施工会社の経営状況に関する情報把握が難しい場合もあり、契約後のリスクについて十分な検討が行われないケースもあります。建設業界においては、資材価格や人件費の変動、工期の変動などが企業の資金繰りに影響を与える可能性があります。
施工業者の経営状況が工事に与える影響
施工会社の経営状況が変化した場合、工事進行に影響が及ぶ可能性があります。例えば、工事の中断や工程変更、新たな施工会社の選定が必要となる場合も考えられます。
その際には、仮設設備の維持費や再調整費用など、追加的なコストが発生する可能性があり、当初計画との差異が生じるケースもあります。
また、管理組合が施工会社の財務状況を評価することは専門的知識を要するため、判断材料が限定される場合もあります。
価格とリスクのバランスに関する考え方
修繕工事においては、コスト面の検討とともに、施工体制や経営の安定性など複数の観点を考慮する必要があります。
近年は、資材価格や人件費の変動など外部環境の影響が大きく、価格のみを基準とした判断が難しいケースもあります。施工会社の選定においては、こうした複合的な要因を考慮することが重要と考えられています。
日新火災の履行保証保険の特徴
こうした背景のもと、日新火災が提供する履行保証保険は、大規模修繕工事におけるリスク対策の1つとして利用されています。
履行保証保険は、施工会社の倒産により工事の継続が困難になった場合に発生する追加工事費用等について、一定条件のもとで補償を行う制度です[2]。
本制度の特徴として、保険引受にあたり施工会社に対して財務状況の審査が行われる点が挙げられます。これにより、管理組合は第三者機関による評価結果を参考情報の一つとして活用することも可能です。
※財務状況の審査は、将来の経営状況を保証するものではありません。
2026年3月末時点で、この審査を通過した修繕工事会社は90社となっています[1]。
(代理店 マンションあんしんセンター 履行保証保険ホームページ:https://mansion-anshin.com/repair-company/)
保証制度に対する認識の変化
修繕工事に関する報道などを踏まえ、保証制度の仕組みについて検討が行われるケースもあります。履行保証保険は損害保険会社が引受主体となるため、その点が評価要素の一つとして挙げられています。
利用実績の概要
2026年3月末時点での累計申込棟数は209棟となり、エリア別では首都圏130棟(約62%)、関西圏56棟(約26%)が大半を占めています【資料1】[1]。
また、工事金額別では1億円超案件が132棟(約63%)を占めており【資料2】[1]、比較的高額な工事において利用されている事例が見られます。
導入経緯としては、設計事務所からの提案が102棟(49%)、管理組合からの要望が80棟(38%)となっています【資料3】[1]。当センターの取扱案件においても、保証制度や財務審査に関する関心が見られるケースがあります[中島2] 。
今後の動向
建設業界では、資材供給や価格動向、国際情勢など複数の要因が事業環境に影響を与える可能性があります。特に原材料価格や物流状況の変動は、工期やコストに影響を与える要素となっています。
施工会社の経営環境についても、これら外部要因の影響を受けることが想定されるため、管理組合としては各種リスクを踏まえた検討が求められています。
【資料1】

●出典:マンションあんしんセンター調べ (2022年4月~2026年3月末 当センター取扱案件、分母209棟)
※エリアは対象マンション所在地ベースで分類
※エリア区分は当センター基準によるもの(首都圏:1都3県、関西圏:主要府県)
※割合は四捨五入のため合計が一致しない場合があります
【資料2】

●出典:マンションあんしんセンター調べ(2022年4月~2026年3月末 当センター取扱案件、分母209棟)
※工事金額は当初契約金額(税抜)ベース
※割合は四捨五入のため合計が一致しない場合があります
【資料3】

●出典:一般社団法人マンションあんしんセンター調べ (2022年4月~2026年3月末までの取扱案件、有効回答数:209棟)
※「設計事務所提案」はマンションあんしんセンターからの提案により導入された案件
※「管理組合リクエスト」は管理組合側から加入要望があった案件
※「その他」には施工会社提案等を含む
※割合は四捨五入のため合計が一致しない場合があります
情報提供の重要性
マンション管理組合の役員は輪番制であることが多く、専門知識を持たないまま意思決定を行うケースも見られます。そのため、施工会社の経営リスクや保証制度の仕組みなどについて、分かりやすい情報提供をすることが重要と考えられています。
履行保証保険は、修繕積立金の活用を伴う大規模修繕工事において、リスク管理の一手法として位置付けられています。
一般社団法人マンションあんしんセンターでは、今後も情報発信や制度の普及を通じて、管理組合が適切な判断を行える環境整備に取り組んでいくとしています。
【参考文献】
[1]代理店 一般社団法人マンションあんしんセンター
「履行保証保険 同センター加入実績データ(2026年3月末時点)」
*期間は、2022年4月~2026年3月末に保険料を受理した契約の集計です。
*当資料は、加入契約全棟について、都道府県・加入経緯・工事費等を集計したデータです。
[2]代理店 一般社団法人マンションあんしんセンター
履行保証保険制度説明
https://mansion-anshin.com/system/
【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人 マンションあんしんセンター
(履行保証保険 共同開発者・保険代理店)
広報担当:渋谷貴博
TEL:050-3479-1551
営業時間:平日10:00~17:00
Email:shibuya.anshin@gmail.com
URL:https://mansion-anshin.com/
日新火災海上保険株式会社
マーケット開発部 戦略マーケットグループ
東京都墨田区太平4-1-3 オリナスタワー16階
TEL:03-6705-2436
営業時間:平日9:00~17:00
URL:https://www.nisshinfire.co.jp/
※本保険は、日新火災海上保険株式会社が保険引受を行い、マンションあんしんセンターが共同開発者および保険代理店として提供しています。詳しい資料や申込方法、審査基準等については、上記連絡先までお気軽にお問い合わせください。
作成時期:2026年5月 文書番号:2605-0009