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公益財団法人スプリックス教育財団

日本の保護者、子どもへの期待に海外と明確な差。「大学院進学」を望む割合、子の希望を大きく下回る ~10か国調査で見えた保護者の子どもへの価値観と期待する学歴の関係~

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スプリックス教育財団 基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025

                                       2026年1月15日

 概要

公益財団法人 スプリックス教育財団(本部:東京都渋谷区/代表理事:常石 博之)は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」を実施しました。今回は、子自身が将来希望する学歴と保護者の期待の国際比較の結果を報告します。

本調査では、日本を含む世界10か国の小中学生とその保護者に「将来希望する学歴」について質問しました。その結果、以下のとおり、日本の子ども達の学歴への意識が海外と大きく異なることが明らかになりました。
調査結果のポイント

(1) 子自身の希望する学歴:「未定」が多く、「大学院進学」の希望が少ない日本の小学生
日本の小4が自身に希望する学歴は、最多が「未定(44%)」で、海外(10%)と比べて極端に多いことがわかりました。また、「大学院まで」を希望する割合も5%と、海外(31%)と比べると低い傾向にあります。ただし、「未定」を除くと「大学まで」は53%、「大学院まで」は9%であり、実際の日本の進学率と大差ない現実的な希望であることがわかりました。

(2) 保護者が子に期待する学歴:「大学進学」の期待が強いが「大学院進学」の期待は極端に低い日本の保護者
日本の保護者は「未定」を除き「大学まで」を期待する割合が77%と、日本の小4の希望(53%)や海外の保護者の期待(44%)を上回りました。しかし、「大学院まで」を日本の保護者が期待する割合は2%と極端に低く、子の希望(9%)をも下回っていました。

(3) 学力と希望する学歴:学力が高いほど高学歴を希望するも、日本の子どもは海外と比べると控えめ
計算テストの正答率上位/下位と比較したところ、いずれの国でも学力が高いほど高学歴を希望する傾向が見られました。日本でもその傾向はみられたものの、学力が高い層であっても大学や大学院への進学を希望する割合(76%)は、海外(89%)と比べると低い傾向がありました。

(4) 保護者の価値観との関係:身近な交友関係を重視する保護者は高学歴を期待しない傾向
日本の保護者は海外と比べて、子どもの将来に「他人に迷惑をかけない」「友人を大切にする」など身近な交友関係を期待する割合が高いです。こういった身近な交友関係を重視している保護者は、重視していない保護者に比べて大学や大学院への進学を期待する割合が10ポイント以上低い傾向にありました。

 調査の背景

日本は「大学全入時代」を迎え、大学進学率は約6割に達しています。一方で、大学院進学率は主要先進国と比較して低い水準にとどまっています。科学技術・学術政策研究所の調査によると、人口100万人あたりの修士号取得者数は、日本が約570人であるのに対し、アメリカは約2,500人、イギリスは約3,700人と大きな開きがあります。大学進学が当たり前になりつつある中で、その先の高度な専門教育への関心はなぜ高まらないのでしょうか。

本調査では、子ども自身の学力・進学希望と、子自身の学力、保護者が子に期待する学歴を国際比較することで、進学希望と本人の学力や保護者の意識の影響を明らかにすることを目的としています。

 調査方法

[表: https://prtimes.jp/data/corp/152428/table/16_1_9bd97da0f8d877fb553fbb373fbaa37a.jpg?v=202601161245 ]

表:小4の国別回答者数。中2は付録のPDFをご参照ください。

留意事項
・ 学校調査(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール、日本)では、回答者はランダムに抽出されたものではありません。そのため、便宜上「国名」として記載していますが、特定の地域や学校の結果であることにご留意ください。
・ 本報告では、小学4年生の結果を日本とインターネットパネル調査の5か国合計(以下パネル5か国と記載)および日本を除く学校調査の4か国合計(以下学校4か国と記載)との比較を中心に報告しています。国別の回答、および中学2年生の結果については、付録のPDFをご参照ください。
・ 日本の小学4年生の調査は、都市部と地方の小学校数校を対象に実施したものです。進学率は日本では地域により大きく異なるため、日本を代表した数字ではなく傾向を示すものであるとご認識ください。
・ 学校調査の小学4年生、中学2年生のデータは、「子どものみ回答している」人数も含みます。また、学校調査では計算テストは一部の生徒のみで実施しました。
・ 本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「スプリックス教育財団調べ」と明記してください。

 調査結果

(1) 子自身の希望する学歴:「未定」が多く、「大学院進学」の希望が少ない日本の小学生
日本の子どもはどのような進学希望を持っているのでしょうか。図1-1に、「あなたは、どの学校まで進学するつもりですか」という質問に対する各国の小学4年生の回答を示しました。


「あなたは、どの学校まで進学するつもりですか」という質問に対する各国の小学4年生の回答。

国によってさまざまな特徴がありますが、日本の小学生は未定が多い(日本44%、海外10%)という特徴が目立ちます。日本の特徴に注目するため、本報告では、日本、パネル調査の5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国。以降パネル5か国と記載)、日本以外の学校調査の4か国(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール。以降学校4か国と記載)の3グループに分けて分析を見ていきます。

なお、パネル調査と学校調査では調査方式が異なる(前者はインターネットによる親子調査、後者は1か国あたり1~数校での学校での調査)ため、国を代表した数字ではなく傾向を示すものであることをご留意ください。

図1-2に、「子自身が希望する最終学歴」の、日本、パネル5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)、学校4か国(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール)の3グループでの比較を示します。

「あなたは、どの学校まで進学するつもりですか」という質問に対する3グループの小学4年生の回答。グラフ右横の数字は、「未定・わからない」を除いて大学まで・大学院までと回答した割合を算出した。

日本の小学生は「未定」が突出して多いほか、日本の小学生が大学や大学院への進学を希望する割合が一見少ない(大学30%、大学院5%)ように見えます。しかし、「未定・わからない」を除くと日本の小学生が大学以上への進学を希望する割合は62%(大学53%、大学院9%)で、2024年時点の日本の大学進学率(59%)と大きな差はありませんでした。しかし、パネル5か国86%(大学50%、大学院36%)や学校4か国60%(大学29%、大学院31%)と比較すると特に大学院への進学希望が低く、「現実的で控えめ」な進学希望を日本の小学生が持っていることが示されました。
(2) 保護者が子に期待する学歴:「大学進学」の期待が強いが「大学院進学」の期待は極端に低い日本の保護者
では、日本の保護者が子どもに対してどのような学歴を期待しているでしょうか。保護者に「お子様を、どの学校まで進学させたいとお考えですか」と尋ねた結果を図2-1に示します。日本、パネル5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)、学校4か国(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール)の3グループにまとめています。

「お子様を、どの学校まで進学させたいとお考えですか」という質問に対する小学4年生の保護者の回答。グラフ右横の数字は、「未定・わからない」を除いて大学まで・大学院までと回答した割合を算出した。

まず、日本の保護者は「未定・わからない」が23%と海外(パネル5か国2%、学校4か国4%)と比べるとやはり多い傾向にありました。これは、日本において小学生のうちは親子ともに進学への意識形成が進んでいないか、あるいは将来を柔軟に考えている可能性を示唆していると考えられます。

「未定・わからない」を除いて比較すると、子に大学まで進学することを期待する日本の保護者は77%で海外(パネル5か国47%、学校4か国31%)と比べると多い一方で、子に大学院まで進学することを期待する日本の保護者は2%で、海外(パネル5か国41%、学校4か国52%)と比べると非常に少ないことがわかりました。

この日本の保護者の大学院進学への期待の低さはどこから来ているのでしょうか。保護者の大学院進学率が影響している可能性を検証しました。図2-2に保護者の最終学歴と、子の希望と保護者の期待の比較を示します。保護者の最終学歴には、回答者である保護者またはその配偶者のいずれかが「大学院まで」と回答した割合を使用しています。子の希望と保護者の期待はそれぞれ図1-2、2-1の「未定」を除いて「大学院」と回答した割合を使用しています。

最終学歴に関する3つの質問に対する3グループの小学4年生とその保護者の回答。保護者の最終学歴(保護者または配偶者のいずれかが「最終学歴は大学院」と回答)と、子の希望(子ども自身が「最終学歴は大学院まで」希望すると回答)と保護者の期待(保護者が子に「大学院まで」期待すると回答)の比較。「未定・わからない」と無回答は除く。

海外では保護者の最終学歴よりも子の希望、さらに保護者の期待が高くなる傾向が見られます。これは、「自分の親と同等か高い学歴がいい」と思う子ども、「子どもが思っているよりももっと高い学歴を目指してほしい保護者」と捉えると自然な傾向に見えます。しかし、日本では保護者の最終学歴(8%)と子の希望(9%)がほぼ同水準である一方、保護者の期待(2%)は大きく下回っており、日本では大学院進学については保護者の方がより控えめな傾向が見られました。
(3) 学力と希望する学歴:学力が高いほど高学歴を希望するも、日本の子どもは海外と比べると控えめ
以降は「未定・わからない」および無回答を除いて集計しています。
子が大学進学を希望する割合を「大学希望率」、大学院進学を希望する割合を「大学院希望率」、と記載します。また、両者を合計した大学または大学院進学を希望する割合を「大学以上希望率」と記載します。
同様に、保護者についても「未定・わからない」および無回答を除き、「大学期待率」「大学院期待率」「大学以上期待率」と記載します。

パネル調査と学校調査では調査形式が異なるため単純な比較はできないものの、日本の小学4年生の計算テストの正答率は海外と比較しても標準的な水準でした(第5回のニュースリリース参照)。そのため、日本の小学生が大学や大学進学について控えめな回答を示すのは、相対的な学力不足のせいではないと考えられます。

では、子どもが希望する学歴は、学力と相関はないのでしょうか。図3で、大学以上希望率(大学または大学院進学を希望する割合)と、計算テストの正答率の関係を比較しました。日本、パネル5か国(アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)、学校4か国(ペルー、エジプト、インドネシア、ネパール)の各グループ内において正答率により四分位に分割し、下位25%/中位50%/上位25%でそれぞれ子ども自身が大学以上の進学を希望する割合を示しています。

「あなたは、どの学校まで進学するつもりですか」という質問に対して、各国の小学4年生が、大学または大学院と回答した割合(大学以上希望率)を各グループ内で正答率により四分位に分割。N数は、「未定・わからない」と無回答は除き、計算テストとアンケートでともに有効な回答があった数。

日本を含む3グループすべてで、学力が高いほど大学以上希望率が高い傾向が見られました。しかし、日本は学力上位層でも大学以上希望率が76%にとどまり、パネル5か国の上位層(96%)を大きく下回りました。学力下位層でも同様の傾向があり、日本(50%)はパネル5か国(74%)と比べると低い結果となりました。

学力が高いほど高学歴を希望する傾向は日本にもあります。しかし、成績上位層(上位25%)においてもおよそ1/4は大学や大学院への進学を希望しておらず、海外と比べると低いことがわかりました。
(4) 保護者の価値観との関係:身近な交友関係を重視する保護者は高学歴を期待しない傾向
日本の保護者が子に大学院進学を期待しない理由として、第6回のニュースリリースで報告した「保護者が子の将来に期待することの違い」が影響している可能性を検証します(第6回ニュースリリース参照)。図4に、(a)日本の保護者が多く選ぶ項目と、(b)日本以外の保護者が多く選ぶ項目での大学以上期待率(保護者が子どもに大学または大学院進学を期待する割合)の差を示しました。大学院進学を期待する日本の保護者が2%と非常に小さいため、ここでは大学進学も含めた大学以上期待率で検証しています。

図中では、大学以上期待率の差がプラスだと「その項目を選んだ保護者は、選ばない保護者よりも大学や大学院への進学期待が高い」ことを示します。例えば、「自分の考えをしっかりもつ人」を選んだ保護者の大学以上期待率は82.8%、選ばなかった保護者の大学以上期待率は70.4%で、その差が12.4ポイントです。「自分の考えをしっかりもつ人」を選んだ保護者のほうが、大学や大学院への進学を期待する割合が12.4ポイント高いことを示します。

日本の小学4年生の保護者について、「子の将来に期待すること」で各項目を選択した保護者と、選択しなかった保護者の間での大学以上期待率(大学または大学院への進学を保護者が期待する割合)の差(ポイント)。プラスは選択した保護者のほうが期待率が高く、マイナスは低いことを示す。項目下の割合は、各項目を選択した割合。

保護者が「子の将来に期待すること」で選んだ項目によって、大学以上期待率に違いが見られました。日本の保護者が多く選ぶ上位3項目のうち、「他人に迷惑をかけない人」(日本の保護者の44%が選択)「友人を大切にする人」(同39%)を選択した保護者は、選択しなかった保護者に比べて大学以上期待率が10ポイント以上低い傾向がありました。

一方、海外の保護者がより重視する「社会のために尽くす人」(日本の保護者の7%が選択)や「リーダーシップのある人」(同5%)を選んだ保護者は、選ばなかった場合に比べて大学以上期待率が高い傾向にありました。この傾向は海外の保護者でも同様の傾向がありました。海外の保護者の項目選択率と大学以上期待率の関係の詳細は、添付のPDFをご参照ください。

「他人に迷惑をかけない」「友人を大切にする」といった身近な交友関係を子どもに期待する保護者は、期待しない保護者に比べて学歴を重視しない傾向がありました。一方で、「社会のために尽くす」「リーダーシップ」といった社会的な役割を子どもに期待する保護者は、期待しない保護者に比べて学歴を重視する傾向がありました。身近な交友関係の重視は日本の保護者に多い意識で、社会的な役割の重視は海外の保護者に多い意識です。こういった日本と海外での保護者の家族観の違いが、子どもに期待する学歴とも関連がある可能性が示唆されました。

 まとめ

本調査から、日本の小学生とその保護者の学歴観について以下の特徴が明らかになりました。

まず、日本の子どもの「未定」の多さが特徴的ですが、保護者の「未定」も多く、日本においては親子ともに進学への意識形成が早い段階では進んでいないか、あるいは将来を柔軟に考えている可能性を示唆しています。

日本の子どもの学歴観は現実的なようです。日本の小学4年生が大学や大学院を希望する割合は62%で、現在の日本の大学進学率(59.1%・2024年文部科学省調査)とほぼ一致しています。大学院を希望する割合も9%と保護者の最終学歴(8%)と同程度であり、子どもは学歴に対して現実的な見通しを持っていると言えます。学力との相関も見られ、海外と比べると控えめではあるものの極端ではありません。

一方、日本の保護者が子どもに大学までの進学を期待する割合は高い一方(77%)で大学院までの進学を期待する割合は突出して低く(2%)、子ども自身が大学院を希望する割合(9%)を下回っています。これは海外では見られない日本特有の傾向です。

日本の保護者は子どもに「他人に迷惑をかけない」「友人を大切にする」といった身近な交友関係を重視する傾向があります。こういった価値観がある保護者は、子どもに大学や大学院への進学をあまり期待しない傾向がある可能性が示唆されました。社会的な役割よりも身近な交友関係を重視する日本の価値観が、日本で大学院進学率が伸びない一因となっているのかもしれません。

なお、付録の「調査の詳細」に中学2年生の結果を掲載しました。基本的な傾向は小学4年生と一致していますが、いくつかの相違点も見受けられました。図4の「子の将来に期待する項目と大学以上期待率の関係」については、海外の数値も付録に示しています。ご参照ください。

本報告は、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」に基づく第7回目の報告です。今後もスプリックス教育財団では、子どもの進路選択に及ぼす学力や保護者の意識の影響について、詳細な分析を進めてまいります。

調査の詳細は下記よりご確認ください。
調査の詳細(PDF)

 <補足>計算テストの内容

本調査で実施した計算テストは、参加方法によって内容が異なります。
- 教室または自宅で参加したグループ:学校の教室において、国際基礎学力検定TOFASの計算テストを受験しました。TOFASは受験する学年・レベルによって問題数や難易度が異なります。
- インターネットパネル調査のグループ:TOFASの問題を一部抜粋した短縮版(全32問)を実施しました。

そのため、両グループ間で正答率を直接比較することはできません。
出題される問題は、学年に応じた基礎的な計算問題です。例えば、小学4年生では「43×2」、中学2年生では「(5x−9)−(−x−4)」といった内容が含まれます。

なお、TOFAS(国際基礎学力検定)の詳細は下記よりご確認ください。
TOFAS - 国際基礎学力検定
■公益財団法人スプリックス教育財団 概要
公益財団法人スプリックス教育財団は、社会的支援を必要とする学生に対して奨学金の支給を行うほか、教育に関する調査研究を行いその成果を広く一般に公表し、もって青少年の健全な育成に寄与することを目的としています。

名  称:公益財団法人スプリックス教育財団
設  立:2023年4月
代表理事:常石 博之
事業内容:奨学金の支給、調査研究
財団HP :https://sprix-foundation.org/

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