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Spectrum Instrumentation GmbH

スペクトラム社、PXIe形式AWGカードで原子時計の高精度化を実現

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デジタイザなどの計測機器メーカであるスペクトラム・インスツルメンテーション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ/以下、スペクトラム社)は、ドイツ国立物理工学研究所(Physikalisch-Technische Bundesanstalt/以下、PTB)が運用する世界最高水準のセシウム原子泉時計に、スペクトラム社のAWGカードが採用されていることを発表しました。
世界各地では、国際原子時(TAI)を決定するため、数百台の原子時計が継続的に比較されています。ドイツでは、PTBが世界最高水準の2台のセシウム原子泉時計を運用し、国際原子時の決定に貢献しています。これらの原子時計を稼働させ続けるには、レーザーを用いて原子集団を数マイクロケルビンまで冷却し、ラムゼー分光法を行う高度な技術が必要です。スペクトラム社のAWGカードは、これらの最新の原子時計システムにおいて重要な役割を果たしています。PTBが運用するセシウム原子泉時計「CSF1」と「CSF2」は、ドイツの国家標準時系「UTC(PTB)」の基準となっており、PTBが提供する時刻サービスおよびドイツ全土の法定時刻の基盤を構成しています。これにより、時計や鉄道から航空交通、通信、放送、コンピュータシステムに至るまで、社会を支えるさまざまなシステムの時刻同期に貢献しています。


PTBの2台のセシウム原子泉時計は、ドイツ連邦共和国全土の法定時刻の基準となっています。(写真提供:PTB)

PTBで運用されているものをはじめとするセシウム原子泉時計は、セシウム原子の量子的な挙動を利用しています。1秒は、セシウム133原子の基底状態にある2つのエネルギー準位間の遷移に相当する放射線の「9,192,631,770周期の持続時間」として定義されています。真空チャンバー内では、極低温に冷却されたこれらの原子集団がラムゼーマイクロ波共振器を2回通過した後、レーザー誘起蛍光分光法を用いて最終状態が測定されます。

セシウム原子の冷却方法
PTBの時間・周波数部門に所属するヨハネス・ラーム博士は、次のように説明しています。「測定を行う前に、極低温の原子集団(原子雲)を捕捉する必要があります。これは、磁気光学トラップ(CSF1)または光モラセス(CSF2)を用いて実現されます。いずれの場合も、特定の幾何学的配置に設定されたレーザーの周波数を、セシウム133の光学遷移周波数よりわずかに低く調整します。原子の残留熱運動に伴うドップラー効果によって、このレーザー光は遷移周波数にシフトします。その結果、レーザーの光子を吸収し、運動量保存則により、原子集団内の原子の運動が減速することで、冷却されます」

セシウム原子泉時計の動作サイクル

蛍光を発するセシウム原子集団が見える真空チャンバーの赤外線写真 (写真提供:Mareike Bernien)

まず、レーザー間にわずかな周波数差を設けることで、ボールを空中に投げ上げるように原子集団を上方へ押し上げます。これにより噴水効果(fountain effect)が生じ、原子は上昇時にラムゼー共振器を1回通過し、その後、重力によって下降する際に再び通過します。ラムゼー共振器を2回目に通過した後、蛍光分光法を用いて遷移確率を測定します。ラムゼー共振器を通過するたびにマイクロ波パルスが照射され、このパルスの周波数は、遷移確率が約50%となるように調整されます。原子の捕捉、打ち上げ、ラムゼー相互作用、検出、および各段階の間の自由落下(弾道飛行)から構成される噴水サイクル(foutain cycle)ごとに、マイクロ波周波数の離調の符号を反転させ、対称な遷移確率構造の左側と右側をそれぞれサンプリングします。真の遷移周波数は、遷移確率が50%となるように制御された2つの周波数の平均値として求められます。約1.2秒後に測定が完了すると、再びサイクルが開始され、この動作が24時間継続されます。

原子時計の進化

24時間連続稼働するセシウム原子泉時計を点検するヨハネス・ラーム博士(写真提供:PTB)

セシウム原子泉時計では、レーザーを精密に制御する必要があります。当初、この制御には、PTBの前世代のエンジニアや科学者が開発したカスタムのアナログ回路が使用されていました。しかし、このような複雑なシステムを長期にわたって維持することは、次第に困難になってきています。そのため、実験そのものと同様に、それを支える電子機器も進化させる必要があり、ラーム博士はアナログシステムをデジタル方式に置き換える方法の検討を始めました。
その結果、ラーム博士はスペクトラム社のPXIe形式のAWG(任意波形発生器)カードをシステムに組み込むことにしました。これらのカードは、音響光学変調器(AOM)を介して、レーザー周波数を操作し、原子の冷却、打ち上げ、検出を行うために必要なRF周波数を生成します。

スペクトラム社の迅速なサポート対応

スペクトラム社のPXIe形式の任意波形発生器(AWG)カード「M4x.6622」(写真提供:スペクトラム社)

しかし、実装の過程で課題が生じました。M4x.6622-x4 AWGカードは精度の要件を十分に満たしていたものの、利用可能な信号生成モードのいずれも、PTBが必要とする特殊な要件には適合していませんでした。セシウム原子泉時計のサイクルを効率的に設計するには、各レーザーに対して、サイクル内の特定のタイミングで特定の波形セットを生成する必要があります。そこでラーム博士は、設計エンジニアが直接対応するスペクトラム社のサポートに問い合わせました。わずか2日で、ソフトウェアエンジニアは「Sequence Restart Mode(シーケンス・リスタート・モード)」と呼ばれる新機能を開発しました。ラーム博士によるテストも成功し、新しいモードは想定どおりに動作しました。
その後、スペクトラム社はSequence Restart Modeを、65xxおよび66xxシリーズのすべてのAWGを対象とした無償アップグレードとしてリリースしました。最新のドライバーをインストールするだけで、新しいモードを簡単に有効化できます。

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することで250種類を超えるデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は35年以上にわたり、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com をご確認ください

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