持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングスの仏国子会社であるAstroscale France SAS(以下、アストロスケールフランス)は本日、パリで開催されたフランス大統領府主催の「International Space Summit」において、Exotrail、Eutelsatおよびアストロスケールフランスが共同で取り組む軌道離脱実証ミッションが、国家投資計画「France 2030」の「In-Orbit Services - Mobility(軌道上サービス-モビリティ)」プログラムに採択されたことを発表いたします。本ミッションはフランス国立宇宙研究センター(CNES)との契約のもと実施される予定であり、2029年から2030年にかけて、Eutelsat OneWebの衛星を対象とした軌道離脱(デオービット)サービスの実証を行います。
今回採択されたことで、各社はこれまでの事前検討フェーズからミッションの実行段階へ移行します。本ミッションは、2026年4月に東京のアストロスケール本社にてフランスのエマニュエル・マクロン大統領および高市早苗総理大臣らの立会いのもと締結されたExotrailとアストロスケールフランスとの戦略的パートナーシップから生まれた初の具体的な案件です。2030年までにEutelsat OneWeb衛星の運用終了時の軌道離脱を実証する本プロジェクトは、軌道上サービスの将来を切り拓く主要な宇宙国家として、フランスの存在感を高めるものとなります。
本プログラムでは、低軌道上において事前に捕獲の準備がされた衛星への接近・ドッキングを行い、結合した状態で大気圏へ再突入する軌道へ移送した後、分離・パッシベーションを行い、最終的に自然に再突入させる一連の運用能力をフランス国内に確立します。これにより、フランスおよび欧州において繰り返し提供可能な衛星運用終了時サービスの初の実運用事例を構築します。
パートナーシップからエンドツーエンドミッションへ
フランスでマルチ軌道・マルチミッション対応衛星の設計・製造・運用を手がけるExotrailは、本ミッションの主契約者として、次世代宇宙サービス機「Spacevan」の設計・開発・製造・組立・試験・運用を担当します。また、モビリティサービスの全体の設計・提供を主導します。
アストロスケールフランスは、RPOD(Rendezvous, Proximity, Operations, and Dockingの略称。ランデブ・近傍運用・ドッキング)に関する技術や知見を提供します。これまでのアストロスケールのフライト実績を活用するとともに、関連する技術・設備・産業連携をフランス国内に根付かせます。
Eutelsatは、ミッション対象として運用中のOneWeb衛星を提供します。また、ミッション要件やインターフェース仕様を提供し、共同運用計画の策定や対象衛星の選定にも協力します。
主権性・レジリエンス・将来サービスを支える「Team France」の能力構築
Exotrail、アストロスケールフランス、Eutelsatの3社に加えFrance 2030およびCNESの支援のもとで実施される本プログラムは、サービス機、RPOD技術、コンステレーション運用までを包含するフランスの産業チームを形成します。これにより、欧州域外のエンドツーエンドソリューションに依存することなく、宇宙の持続可能性向上に資する複雑な衛星運用を計画・実施するフランスの能力強化につながります。
本実証は、推進剤枯渇やシステム不具合などにより、自力で運用終了時の軌道離脱マヌーバを実施できなくなった衛星に対する、自立的かつ競争力のあるサービスの実現に向けた道筋を示すものです。低軌道市場の主要事業者であるEutelsatは、責任ある宇宙運用とスペースデブリ低減をサステナビリティ戦略の中核に据えています。Exotrailとの技術協力を通じて、OneWebコンステレーションの運用実態に適した主権的かつ競争力のある運用終了時サービスの確立を支援するとともに、デオービットサービスを継続的な衛星群管理ソリューションとして実現するための技術的・経済的基盤構築に取り組みます。
また、本プログラムの意義は初回実証にとどまりません。RPODや高機動軌道制御といった技術は、衛星点検、寿命延長、宇宙物流、重要宇宙インフラ保護などの共通基盤技術です。これらが軌道上で実証されることで、将来の商業ミッションや政府ミッションを支えるだけでなく、レジリエンス、セキュリティ、防衛分野への応用にもつながる技術基盤となります。本OneWebミッション自体は民生用途の運用終了時実証ですが、主権的能力の向上に大きく寄与するものとなります。
具体的な成果として実を結ぶ日仏協力
本ミッションは、2026年4月に東京で示された日仏協力を具体的なプロジェクトとして実現するものです。Exotrailのミッション統括力、宇宙機および運用能力と、アストロスケールの実証済みのRPO(Rendezvous and Proximity Operationsの略称。ランデブ・近傍運用)技術を組み合わせるとともに、フランス国内からミッションを遂行するために必要な人材、インフラ、産業基盤の構築を進めます。
アストロスケールフランスは現在、トゥールーズ拠点の拡張を進めており、人員体制やクリーンルーム能力の強化に取り組んでいます。本Exotrail主導プログラムおよび今後の活動を通じて、この地域産業基盤は国際的な経験を持続可能なフランスおよび欧州の能力へと転換する役割を果たします。その目標は単一ミッションの遂行に留まらず、欧州の商業事業者および公共機関の増大する需要に対応できる、拡張性の高い軌道上サービス能力を構築することにあります。
Exotrail CEO、ジャン=リュック・マリア氏のコメント
「今年4月、私たちは技術的なシナジーを迅速に実運用可能な主権的能力へと発展させることを約束しました。今回のFrance 2030プログラムへの採択により、これまでのケーススタディを実際の取り組みへと発展させ、世界の軌道上サービス分野の最前線に立つための大きな一歩となります。Exotrailは主契約者として、次世代spacevan(TM)を中心としたサービス全体をアストロスケールフランスおよびEutelsatとともに推進します。本実証は、運用終了時サービスにおけるフランス初の具体的な実績となるだけでなく、フランスおよび欧州が宇宙インフラの持続可能性、レジリエンス、安全保障を高めるために必要とするRPOやドッキングの重要技術を成熟させるものになるでしょう。」
アストロスケールフランス マネージングディレクター、フィリップ・ブラットのコメント
「本プログラムは、能力開発フェーズから実ミッション提供フェーズへの移行を象徴するものです。Exotrail主導のミッションのもと、アストロスケールフランスはアストロスケールの実証実績に裏付けられたRPOの知見を提供するとともに、フランス国内でミッションを遂行するために必要な人材、設備、パートナーシップの強化を引き続き進めていきます。私たちはともに、商業・民生市場のみならず、将来的には安全保障・防衛分野にも対応できる、フランスおよび欧州の将来ニーズを支える実運用基盤を構築していきます。」
Eutelsat Chief Engineering Officer、フレデリック・ピロ氏コメント
「Eutelsatはこれまでも、責任ある運用終了時管理が宇宙環境保全に不可欠であるとの考えのもと、軌道上サービス技術の開発と実証を支援してきました。本ミッションはその取り組みをさらに前進させるものです。OneWeb衛星の提供と運用面での知見を通じて、コンステレーション事業者の実際のニーズに基づいた欧州独自のデオービットサービスの実現に貢献できることを嬉しく思います。Exotrailおよびアストロスケールフランスと協力し、この能力を実運用ミッションへと発展させていくことを楽しみにしています。」
アストロスケール について
アストロスケールは、軌道上サービスの世界的リーダーとして、安全で持続可能な宇宙開発に取り組んでいます。当社は故障機や物体の観測・点検、衛星の寿命延長、修理・アップグレード、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去、既存デブリの除去など、多様で革新的な軌道上サービスソリューションを提供します。2021年3月以降、アストロスケールはELSA-dやADRAS-Jのミッションにおいて軌道上でRPO技術を実証し、軌道上サービスのリーダーとしての地位を確立してきました。アストロスケールの宇宙機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や防衛省、米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsat OneWeb等との先駆的なミッションに採用されており、循環型宇宙経済の可能性が広がり、より持続可能な宇宙の未来が開かれつつあります。本社・R&D拠点の日本をはじめ、英国、米国、フランス、イスラエルとグローバルに事業を展開しています。
アストロスケールウェブサイト:https://astroscale.com/ja/