日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:パトリック・ジョンソン、以下「日本イーライリリー」)は、本日、選択的JAK1/JAK2阻害剤「オルミエント(R)錠 4mg、同2mg」(一般名:バリシチニブ、以下「オルミエント(R)」)を「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として、新発売いたします。
オルミエント(R)は、1日1回経口投与の選択的JAK1/JAK2阻害剤であり、本年7月3日に厚生労働省より国内における製造販売承認を取得し、8月30日に薬価収載されました。単剤、又はメトトレキサートと併用におけるオルミエント(R)の有効性及び安全性は、日本人371名を含むさまざまな治療歴のあるリウマチ患者さん2890名を対象とした完了済みの4つの試験を含む第III相臨床試験において、確認されました。
日本イーライリリーは、オルミエント(R)がより安全かつ有効に使用されるために、製造販売後、投与症例全例を対象に、3000例を目標とした観察期間を6ヵ月とする特定使用成績調査(全例調査)を実施するとともに、本調査に登録された全患者について重篤な有害事象及び特別な有害事象を3年間観察することにより、日本人における実臨床下での長期安全性を評価し、本剤の適正使用に取り組んでまいります。
今回の発売に際し、日本イーライリリーの筋骨格事業本部長 兼 自己免疫事業本部長、バレット B. マドリガルは、次のように述べています。「日本イーライリリーは、既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者さんの関節破壊の抑制のみならず、日常生活における痛み、倦怠感、朝のこわばりの改善を介して、日本の関節リウマチ患者さんのより良い生活の実現に貢献したいと願っております。社員一同、適正使用の推進と全例調査の実施を通じて、オルミエント(R)が適切に関節リウマチの向上に貢献できるよう真摯に尽力して参ります」。
本開発に中心的に関わった慶應義塾大学医学部リウマチ内科教授の竹内勤先生は、「関節リウマチ治療はこの10年間で大きく発展しましたが、いまだ多くの患者さんがデータや関節所見に現れない主観的な症状(痛み、倦怠感、朝のこわばり)を訴えており、リウマチ治療のさらなる進化が求められています。選択的JAK1/JAK2阻害という新たなプロファイルを持つオルミエント(R)は、臨床現場で有効性・安全性が検証できれば、将来的にリウマチ治療の有力な治療選択肢となる可能性があります。」と述べています。
また同じく、産業医科大学医学部第1内科教授の田中良哉先生は、以下のように語っています。「関節リウマチは、関節痛に加えて身体機能の低下、日常生活における困難など、患者さんに多くの負担を強いる疾患です。オルミエント(R)は、経口薬として初めて生物学的製剤を上回る疾患活動性の抑制効果を示すと共に、生物学的製剤と同様に関節破壊の抑制効果を示しました。さらに関節痛・倦怠感・朝のこわばりなどの症状は1週目より改善傾向がみられました。オルミエント(R)の臨床現場での適正使用を通じて、リウマチ患者さんのQOL向上がもたらされることを期待しています」。
<参考情報>
製品写真

製品概要
販売名 オルミエント(R)錠 4mg、同2mg
一般名 バリシチニブ
効能・効果 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
[効能・効果に関連する使用上の注意]
過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の
抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな
症状が残る場合に投与する。
用法・用量 通常、成人にはバリシチニブ1回4mgを1日1回経口投与する。
なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。
製造販売承認取得日 2017年7月3日
薬価収載日 2017年8月30日
発売日 2017年9月1日
薬価 オルミエント(R)錠 4mg: 5,223.0円
オルミエント(R)錠 2mg: 2,694.6円
製造販売元 日本イーライリリー株式会社
オルミエント(R)について
オルミエント(R)は1日1回経口投与の選択的JAK1及びJAK2阻害剤であり、現在、炎症性疾患、自己免疫疾患を対象とした臨床試験が行われています。JAK酵素として、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類が知られています。JAK依存性サイトカインは多くの炎症性及び自己免疫疾患の病因と関連しており、このことからJAK阻害剤が、関節リウマチを含む広範囲の炎症状態を示す疾患の治療に有益である可能性が示唆されます。
2009年12月、イーライリリー・アンド・カンパニー(以下リリー)とインサイト・コーポレーション(以下インサイト)は、炎症性及び自己免疫性疾患の治療のために、バリシチニブ及び特定の後続化合物の開発・製品化について、世界規模の独占的なライセンス及び共同研究に合意したことを発表しました。2016年第1四半期に米国、欧州連合、日本の規制当局に対して、関節リウマチを適応としたバリシチニブの販売承認申請が行われました。2017年2月に欧州でオルミエント(R)の製造販売が承認されました。2017年4月に、米国食品医薬品局(FDA)が、オルミエント(R)の新薬承認申請(NDA)に対して、コンプリートレスポンスレターを発行しました。2017年6月にはスイスとクウェート、2017年7月には日本で、関節リウマチ治療薬として、オルミエント(R)の製造販売が承認されました。
関節リウマチについて
関節リウマチ(RA)は関節の炎症及び進行性損傷を特徴とした自己免疫疾患ですi,ii。世界的には2,300万人以上が関節リウマチに苦しんでいますiii。患者数は男性よりも女性の方が約3倍多くみられます。日本での患者数は、70~80万人と推定されていますiv。関節リウマチに対する現在の治療法には、非ステロイド性抗炎症薬、現在の標準療法であるメトトレキサートのような経口の従来型疾患修飾性抗リウマチ薬(cDMARDs)、及び関節リウマチの病因に関連すると考えられている選択的メディエーターを標的とした注射剤である生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬 (bDMARDs)がありますv。現在の治療選択肢にも関わらず、患者さんの多くは治療の目標や持続的寛解を達成していませんvi。患者さんの全人的ケアを向上する新たな治療法に対して依然重要なニーズが存在しています。
インサイト・コーポレーションについて
インサイトはデラウェア州ウィルミントを拠点とし、先発医薬品の発見、開発、商品化に重点を置くバイオ製薬会社です。インサイトに関する詳細についてはwww.incyte.comをご参照ください。
ツイッター(@Incyte): https://twitter.com/Incyte
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー社は、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー社は、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー社の従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
http://www.lilly.co.jp
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i American College of Rheumatology, Rheumatoid Arthritis,
http://www.rheumatology.org/practice/clinical/patients/diseases_and_conditions/ra.asp (Accessed: September 15, 2016)
ii Hand Clinics, Advances in the Medical Treatment of Rheumatoid Arthritis, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3135413/pdf/nihms305780.pdf (Accessed: September 15, 2016)
iii WHO Global Burden of Disease Report, (table 7, page 32) 2004, http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/GBD_report_2004update_full.pdf
(Accessed: May 16, 2017)
iv Report from Study Committee on Rheumatoid Arthritis and Allergy http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001nfao-att/2r9852000001nfdx.pdf (Accessed on June 13, 2017)
v Arthritis Foundation, Rheumatoid Arthritis Treatment, http://www.arthritis.org/about-arthritis/types/rheumatoid-arthritis/treatment.php(Accessed: May 16, 2017)
vi McWilliams DF, Kiely PDW, Young A, Walsh DA. Baseline factors predicting change from the initial DMARD treatment during the first 2 years of rheumatoid arthritis: experience in the ERAN inception cohort. BMC Musculoskeletal Disorders. 2013;14:1-7.