マックスマーラは2022年2月24日、ミラノファッションウィークにて2022年秋冬コレクションを発表しました。
モダニストの魔法（Modernist Magic）
マックスマーラは、何十年もの間、その多くの作品が見過ごされてきたクリエイティブで博識な女性にオマージュを捧げます。建築家、ダンサー、テキスタイルデザイナー、画家、彫刻家として活躍したゾフィー・トイバー＝アルプの魅力を再発見するコレクションです。トイバー＝アルプは、ごくありふれた日常的なものにも魔法をかけ、神秘性を与える才能をもった稀有なモダニストでした。チューリッヒのキャバレー・ヴォルテールには、トイバー＝アルプのほか、ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、ジョルジョ・デ・キリコ、マックス・エルンスト、ギョーム・アポリネールら前衛芸術家が夜毎集い、活動拠点としました。こうした芸術家たちによるパフォーマンスや出版物、リサイタル、朗読から、驚くほどに斬新な芸術運動、ダダイズムが生まれました。トイバー＝アルプは即興で舞台衣装を制作しており、彼女が代表作『キングスタッグ』のためにデザインしたマリオネットには、喜びに満ちたエネルギー、今にも動き出しそうなスピリット、そして舞台の上から視線を集める華やかさがあふれています。おとぎ話の完璧なキャラクターとして、ロボットと動物の中間のような不思議な魅力を持ったマリオネット。本コレクションでは、マックスマーラのパワフルで驚きに満ちたシルエットが、そのマリオネットと同じような冷静さをもって見事に表現されています。トイバー＝アルプのタペストリーに見られる色彩の中に、ミニとマキシ、マイクロとマクロ、スキニーとアウトサイズなど、遊び心あふれるコントラストを探ります。ブーツとレギンスを組合わせたようなクレープソールのニットキュイサールには、身体構造を考慮したキルティングが施され、モヘアセーターも同様に、袖部分にマリオネットのような関節構造が施されています。キルティングナイロンのマイクロスカートには、ブーツをペアリングして新しい動きを表現。サイハイと好対照をなすベルシルエットのフルレングススカートが、スキニーなタートルネックやバラクラバと抜群の相性を見せます。パンツも今シーズンは大幅にボリュームアップ。かつてない程ワイドなシルエットのパンツは、ウィンターホワイトをベースに、キャバルリーツイルのテーラードとジャージ裏地のテクノナイロン素材での展開です。ゾフィー・トイバー＝アルプのマリオネットをじっくりと観察してみると、平凡で無機質な人形を彼女がいかに詩的な高みへと昇華させているかがわかります。マックスマーラが本コレクションに魔法をかけるタリスマンとして選んだのは、ペールマットゴールドのジッパー。ジッパーポケットやサイドスプリットが思いがけない場所に現れ、テーラードジャケットやマニッシュなカポチーノにダブルファスナーを組み合わせることで、スタイルがダダイズム的な次元に到達しています。もちろん、マックスマーラを代表するコートたちは今シーズンも主役級。フォルム、機能、仕上げ、すべてにおいて完璧で、おとぎ話のクイーンやキングにふさわしい出来栄えとなっています。ロングやショート、バラエティ豊かなコートにはどれも、コレクションの新しいスタイルが強調されています。夢がつまったテディベアコートのファブリックも、新鮮な表情を見せています。コートはもちろん、チュニックや床まで届きそうなフルレングスのスカート、大胆不敵なショートパンツにさえテディベアファブリックが登場し、予想外の驚きをもたらします。アルプスのふもとにあるトイバー＝アルプの故郷は冬の間とても寒くなるため、マックスマーラは、テディベアコートの上にオーバーサイズのパファコートを重ね、寒い季節でも温かく過ごせるようにしました。パファコートの中綿は、テディベアコートを作る際に出る廃棄物を再利用したアップサイクル素材。ニットは印象的なモチーフをオーバーサイズに膨らませて抽象化したチャンキーニットが主役。マックスマーラが約束する洗練されたモダンな着こなしに、かつてキャバレー・ヴォルテールにあふれていた旋風のような激しい創造性と魔法の粉をひと振りしたような、すべての魅力が集約されたコレクションに仕上がっています。
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