三井住友トラスト・資産のミライ研究所が金融教育に関するアンケート結果を公表
三井住友信託銀行株式会社が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(所長:丸岡 知夫)(以下、ミライ研)は、1万人(全国の18-69歳)を対象とした独自アンケート調査を2026年1月に実施しました。この調査をもとに、国内における金融教育の浸透と、その内容に関する分析を行いました。
1.はじめに
近年、日本では金融教育を取り巻く環境が大きく変化しています。学生世代では学校教育における金融教育の充実が進み、社会人世代では資産形成やライフプランニングへの関心が高まるなど、金融リテラシー向上の必要性に対する認識が広がっています。
2024年には、日本銀行金融広報中央委員会、全国銀行協会、日本証券業協会を発起人とした金融庁所管の認可法人である「金融経済教育推進機構(J-FLEC)」が設立され、官民一体で金融教育を推進する体制が本格的に始動しました。
果たして、国民に金融教育は浸透しているのか、金融教育で学んだ内容は何か、学んだ内容は家計行動に結びついているのか、ミライ研では2026年1月に全国1万人規模の調査を行い、金融教育の実態を明らかにしました。
2.金融教育は18-29歳で約半数が経験。20代前半では約6割
金融教育の受講経験率は全年代でおよそ3割でした。特に、若年層ほど高い傾向となり、18-29歳では49.4%と顕著に高い結果となりました(図表1)。
【図表1】年代別 金融教育受講経験率

※ 金融教育の受講経験者は、「あなたは、これまでに学校や職場でお金についての授業・教育を受けたことはありますか。受けたことのある時期をすべてお選びください。」に対し「これまでにそのような授業・教育を受けたことはない」以外の回答をした人
(出所)特に出所を示していない場合、ミライ研「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)よりミライ研作成
18-29歳に絞ると、25-29歳の受講経験が約4割に対して、18-24歳は約6割と大きな差がありました(図表2)。特に18-22歳で顕著に高い傾向にあり、18歳では9割に上ります。これは、2022年の学習指導要領改訂により、高校での金融教育授業が拡充した影響と推察されます。学校での金融教育が今後も進めば、国民の金融教育受講率は大きく高まっていくものと思われます。
【図表2】年代別 金融教育受講経験率(18-29歳)

3.社会人における金融教育受講経験に大きな差はない
金融教育を受けた時期について複数回答で聴取したところ、やはり若年層における学生時代の受講経験が高い結果となりました(図表3)。一方で、社会人における受講経験率はおよそ15%であり、年代による大きな差はありません。
【図表3】年代別 金融教育受講時期 ※複数回答可

さらに、社会人で受講経験がある人に対し、どの時期に金融教育を受けたい/受けたかったのかを聴取すると、どの年代も圧倒的に18-29歳が1位となりました(図表4)。また、「必要なし」との回答はどの年代も1-2割程度であり、受講経験者において「金融教育は必要である」との意識が強いことが分かります。
【図表4】年代別 金融教育を受けたい(受けたかった)年齢 ※対象:社会人における金融教育受講経験者

4.学んだ内容は、1位:家計管理、2位:資産形成、3位:ライフデザイン
金融教育の受講経験者はどのようなことを学んでいるのでしょうか。
受講経験者全体では、1位:家計管理、2位:資産形成、3位:ライフデザインとなり、それぞれ3割程度が経験していることが分かりました(図表5)。
20代も「家計管理」「ライフデザイン」に関するテーマが上位となりましたが、「お金の借り方」「お金の使い方、金融トラブル」「経済の仕組み」に関する学習経験割合が他の年代に比して高い傾向となりました。これらの内容は、家庭科や公民科などでの学習経験が背景にあるものと推察されます。
一方で、30-40代では「資産形成」、60代では「公的年金」の学習経験割合が、他の年代に比して高い結果となりました。
【図表5】年代別 金融教育受講内容(対象:金融教育受講経験ありと回答した人) ※複数回答可

5.金融教育を受けた人は、それぞれの内容を家計の実践に活かしている
では、金融教育を受けた人はその内容を自身の家計に活かしているのでしょうか。
ここからは、金融教育で学んだ内容のトップ3である「家計管理」「ライフデザイン」「資産形成」について、学んだ人と学ばなかった人における家計行動の差をみてみます。
まず、家計管理について学んだ経験がある人のうち半数以上は家計管理(世帯の1ヶ月の収入額と支出額の把握)を実践していることが分かりました(図表6)。学んでいない人は4割程度であり、学習経験の有無による差は約14ポイントとなりました。
【図表6】家計管理に関する教育の受講経験有無別、家計管理ができている人の割合

ライフデザイン(経済計画および、仕事や学業、家庭生活、余暇生活、老後の生活など)を学んだ経験がある人の約半数はライフプランを立てており、学習経験の有無による差は約24ポイントとなりました(図表7)。また、50-60代においては約30ポイントとなりましたが、この層は、セカンドライフに関するライフプランニングの実践効果と考えられます。
【図表7】ライフデザインに関する教育の受講経験有無別、ライフプランを立てている人の割合

最後に、資産形成です。資産形成について学んだ経験がある人のおよそ半数は積立投資を実践、特に30代では6割以上が実践していることが分かりました(図表8)。学習経験の有無による差は約30ポイントです。
【図表8】資産形成に関する教育の受講経験有無別、積立投資を実践している人の割合

6.まとめ
金融教育の受講経験率は全年代で3割ですが、特に2022年の学習指導要領改訂により若年層の受講経験者が顕著に増加しています。今後も、若年層が牽引するかたちで国民の金融教育は浸透していくと思われます。
一方で、「受講経験者数」だけでなく、「学習した内容」ならびにその「結果」まで捕捉する必要があります。現在、学習内容のトップは「家計管理」「資産形成」「ライフデザイン」が占めており、またこれらの教育が家計行動に一定の効果をもたらしていることが示唆されます。
今後も、時代の変化や人生の各ステージに応じ、必要なテーマに対応した教育機会の提供が、国民の金融リテラシー向上に不可欠といえるでしょう。
◆上記の記事に加え、より多くのデータをまとめたミライ研のアンケート調査結果
「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)より
すそ野が広がる金融教育 ー金融リテラシーが高い人ほど教育ニーズあり!?ー
を資産のミライ研究所のHP(https://mirai.smtb.jp/category/report/4007/)に掲載しています。
是非、ご覧ください。

【本件調査概要】
(1)調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2026年)
(2)調査対象:全国の18~69歳 ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く
(3)調査方法:WEBアンケート調査
(4)調査時期:2026年1月
(5)サンプルサイズ:11,135
(6)端数処理の関係上、割合については合計で100%とならない場合があります
■記事内容、アンケート結果に関する照会先
三井住友信託銀行 三井住友トラスト・資産のミライ研究所(清永)
E-MAIL:mirai@smtb.jp