大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)の栄養科学研究所(佐賀研究サイト)は、国立大学法人東北大学(以下「東北大学」)と「水分代謝とトータルコンディショニング共同研究講座」を4月に開設しました。8月より地域住民約3,000名を対象とした水分代謝の測定を開始します。
当研究では地域住民を対象に水分状態について「水分代謝回転量」を指標として測定し、各種身体状態を表すコンディショニング指標(健康アウトカム)との関連性を調査します。当研究を通じ、日本人における個人差を考慮した水分管理の科学的基盤を確立し、脱水・熱中症・乾燥などへの対策や健康維持に資する知見を得ることを目指します。
■研究背景
成人の体内水分量は体重の約60%を占め、脱水状態は心血管イベント、腎機能障害、認知機能低下などの健康リスクを高めることが報告されています¹。さらに、近年の猛暑日の増加に伴い、高齢者を中心とした熱中症搬送者数が増加傾向にあることから、年齢や環境の変化に対応した適切な水分管理は、公衆衛生上の喫緊の課題となっています。

水分代謝回転量(イメージ)
「水分代謝回転量」は、“人体の水の出入り”、すなわち飲料や食品から身体に入る水(摂取量)と、尿や汗などで身体から出る水(排泄量)の1日の量を示すもので、人の水分状態の指標として用いられています。現在は東北大学大学院医工学研究科所属の山田陽介教授らの研究により、人の水分代謝回転量は性別、体重、身体活動レベル、気温、湿度、標高などの内的・外的因子によって約4割が説明されることが報告されています²。しかし、残り約6割の決定因子や、コンディショニング指標となる健康アウトカムとの直接的関連は不明でした。そこで当研究では、地域住民を対象に水分代謝回転量の測定を行い、各健康アウトカムとの関連性を調査します。さらに、日本人の特性を考慮した水分代謝回転量の簡易予測モデルを構築することで、個別化された水分管理の科学的基盤を確立し、健康維持に資する知見の取得を目指します。
■研究の概要
対象:地域住民(宮城県在住、18歳から90歳までの成人男女約3,000名)
方法:安定同位体を用いた標識水法により体内の水分代謝回転量を測定します。併せて、血液・尿成分などの水分状態指標、体組成、生活習慣等の健康関連指標を評価し、それらと水分代謝回転量との関連を解析します。
期間:2026年4月~2029年3月(測定開始は2026年8月)
■東北大学の水分代謝回転に関する研究
東北大学大学院医工学研究科 山田陽介教授らの研究グループは、23カ国に住む生後8日の乳児から96歳の高齢者までの男女計5,604人について調査を行い、人の体における1日の水分の出入り(代謝回転)を予測する計算式を世界で初めて発明し、2022年11月の『Science』誌に掲載されました。また、2024年度の日本学術振興会賞を受賞した「ヒトの生涯における水とエネルギー代謝の変動要因の解明」など、当分野の研究を数多く実施しています。
■大塚製薬 ニュートラシューティカルズ関連事業の研究開発
当社のニュートラシューティカルズ関連事業では、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、人々の健康の維持・増進と社会全体のウェルビーイングを目指し、健康・社会課題の解決につながる科学的根拠に基づいた独創的な製品の研究開発に取り組んでいます。現在「栄養科学研究所(佐賀研究サイト・大津研究サイト)」および「先端科学研究所」で、飲料・食品関連の研究開発を行っています。
大塚製薬は、今後もOtsuka-people creating new products for better health worldwideの企業理念のもと、人々の健康維持・増進に貢献してまいります。
1 Dmitrieva NI et al., Long-term health outcomes associated with hydration status. Nat Rev Nephrol. 2024; 20(5): 275-294.
2 Yamada Y et al., Variation in human water turnover associated with environmental and lifestyle factors. Science. 2022; 378(6622): 909-915.
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jpをご覧ください。