トレンドニュースサイト STRAIGHT PRESS【 ストレートプレス 】

株式会社Asobica

<イベントレポート>企業やブランドに対する「推し消費」に関する調査発表会 / 物価高騰でも「推し企業」への支出は減らない?推し企業を持つZ世代の約3割が「20%以上の値上げ」を許容と回答

このエントリーをはてなブックマークに追加

「推し消費」に関する調査結果および専門家によるコメント、明治・カンロのファンづくり事例を発表

顧客のホンネデータを収集/分析するプラットフォーム「coorum(コーラム)」を運営する株式会社Asobica(本社:東京都品川区、代表取締役CEO:今田孝哉)は、物価高騰下における「企業やブランドに対する『推し消費』(※1)」に関して、全国15~59歳の男女1,035人を対象に意識調査を実施しました。それに伴い、本調査結果に関する、報道関係者向けの発表会を2025年11月27日(木)に開催いたしました。

本発表会では、「『推し企業あり層』の約5割が『推し企業の商品は値上げしても買い続ける』」「『推し企業あり層』の約3割が20%以上の値上げを許容」といった調査結果に加え、株式会社明治、カンロ株式会社による具体的な取り組み事例を発表いただきました。
また、消費者経済や「推し活消費」に精通する上智大学経済学部 新井範子教授をお招きし、「企業における推し活」の経済効果について専門的な見地からご解説いただきました。

※1:Asobica調べ(調査時期:2025年10月17日~22日、調査方法:インターネット調査、調査対象:全国15~59歳の男女1,035名)
調査および発表会実施背景
近年、記録的な物価高が続き、消費者の節約志向・買い控えが強まるなか、消費活性のドライバーとして「推し活消費」※2が注目されていることからヒントを受け、「企業やブランドに対する『推し行動』 が強力な購買ドライバーになるのではないか」という仮説のもと、「推し企業」を持つ消費者の行動実態と物価高でも選ばれる企業の特性を調査を通じて明らかにいたしました。

※2 本調査における「推し」とは、対象に対して「新商品はチェックしている」「発信情報はついつい見てしまう」「SNSをフォローしている」「家族や友人にお勧めしたことがある」といった行動と定義しています。

調査結果サマリー
1.【「推し企業」の保有割合について】
消費者全体のうち約3分の1(35.0%)が「推し企業」を持っている。なかでも若年層ほど「推し企業」を持つ傾向が顕著で、Z世代 ※3の消費者は約半数に達する。

2.【「推し企業/ブランド商品」の有無による継続購入意向について】
物価高でも「推し企業あり層」の約5割が「推し企業の商品は値上げしても買い続ける」と回答。「推し消費」は消費活性のドライバーに。

3.【「推し企業/ブランド商品」の値上げ許容度について】
「推し企業あり層」の約3割が20%以上の値上げを許容。さらに、20%以上の値上げを許容する層はZ世代が一番多い。

4.【「推される企業/ブランド」になるための活動としての企業コミュニティ】
企業主催のコミュニティやイベント参加経験者は、82.3%が「愛着・購買頻度が増えた」と回答。企業との相互コミュニケーションが実際の購買行動に結びつくという結果に。

※3 本調査における「Z世代」とは、15~29歳の若年層と定義しています。
※転載・引用時は下記の出典元・リンクの設定をお願いいたします。
(掲載例)
Asobica「企業やブランドに対する『推し消費』に関する調査」 https://coorum.jp/whitepaper/wp_vol54/

発表会当日の様子

物価高でも揺るがない「推し企業」への消費意欲

消費者の約35.0%が特定の「推し企業・ブランド」を持っていることが明らかになりました。特にZ世代(若年層)における割合が高く、ロゴ入りグッズを購入し着用することや、イベント・コミュニティへの参加など、能動的な行動をとる傾向が見られます。

注目すべきは「物価高騰下における購買行動」です。推し企業を持つ層は、そうでない層に比べ「消費にメリハリをつける(本当に好きなものには投資する)」傾向が1.5倍高く、値上げが行われても約5割が「買い続ける」と回答しました。特にZ世代においては、「20%以上の値上げも許容する」という回答が約3割にのぼり、「応援・貢献」としての消費意識の高さが浮き彫りとなりました。

専門家コメント 上智大学 新井 範子 教授

「推し消費」の正体は“自己正当化”。単なる消費から「貢献」への心理変容
「推し活」における消費行動の本質は、SNSでの発信そのものではなく、消費を行うための「自己正当化」にあると指摘します。 通常、消費は財布が痛む行為ですが、推し活においては「自分が支えなければならない」「この活動は『我々(We)』への投資である」という心理が働き、出費が正当化されます。これにより、単なる物品購入が「貢献」という意味合いを帯びることで、不況下や物価高騰時においても、むしろ「今こそ買い支えなければ」という強い購買動機が生まれるメカニズムを解説しました。

顧客関係から「人間関係」へ。値上げさえも“愛”で許容する
企業と消費者の関係性は、金銭的メリット(安さや利便性)で繋がるドライな「顧客関係」から、情緒的な繋がりを持つ「人間関係」へとシフトすることが重要であると提言しました。「顧客関係」のままでは、より安い他社製品が出ればすぐにスイッチされてしまいます(浮気される)。一方、推し活のように「人間関係(恋人や身内のような関係)」に昇華されると、ファンは企業やブランドを「自分の一部(アイデンティティ)」として捉えるようになります。 質疑応答では、「推し企業の値上げを許容する心理」について、「好きな相手(企業)に存続してもらうための必要経費、あるいは『お布施』として捉えるため、むしろ喜んで支払うという倒錯した、しかし強力な心理が働く」と解説しました。

Z世代の行動は「新しい」わけではない
Z世代がSNSを駆使して推し活を行う点について、教授は「彼らは『SNSネイティブ』であるためツールとして使いこなしているだけで、本質的な熱狂の心理は、かつての『車好き』や『オーディオマニア』が給料を注ぎ込んでいた行動と変わらない」と分析しました。 アパレルやコスメなど、Z世代にとって身近で、かつ自己表現(アイデンティティ)に直結する商材が、現代における「推し」の対象として選ばれやすくなっているに過ぎないと結論付けました。

企業によるファンづくり 事例紹介 株式会社明治

サステナビリティと共感でファンをつくる
株式会社明治 カカオマーケティング部 木原氏は、カカオ価格の高騰や生産地の課題に向き合う中で、2006年から続く現地支援活動や、「明治サステナブルカカオ豆」調達比率100%達成の取り組みを紹介しました。 また、チョコレートの製造過程で廃棄されていたカカオハスク(種皮)をアップサイクルし、衣類や雑貨として展開する「Cacao Style」など、「食べる」以外のライフスタイル全般でカカオの価値を提案しています。共感をベースにした新しいファン層の拡大についてお話いただきました。

企業によるファン化 事例紹介 カンロ株式会社

無料から「高付加価値な有料体験」へ
創業113年を迎えるカンロ株式会社は、デジタルプラットフォーム「Kanro POCKeT」を通じて顧客との直接接点を強化しています。マーケティング本部 CX推進部の武井氏は、オウンドメディアとECを統合し、開発の裏側や社員の顔を見せることで親近感を醸成している事例を紹介いただきました。リアルな場でのファンミーティング「カンロ祭り」を有料(大人1,500円)で開催したところ、募集開始10分で満席になるなど、体験価値そのものが収益化できる可能性と、熱量の高いファン化の手応えを語りました。

マーケティング本部 CX推進部 武井氏

質疑応答より:ファンコミュニティ施策のROIとインセンティブ設計

質疑応答では、ファンコミュニティの投資対効果(ROI)やインセンティブ設計について議論が交わされました。
- ROIについて: 売上向上(LTV)だけでなく、ファン同士の相互解決による「問い合わせコストの削減」や、顧客との共同開発による「ヒット商品の創出(共創)」も重要な指標となることが示されました。
- インセンティブについて: ポイントやノベルティといった機能的価値だけでなく、「誰かの役に立った」「同じ好きを持つ仲間と繋がれた」という情緒的価値(内発的動機)の提供が、コミュニティを長続きさせる鍵であると結論付けられました。

総括・まとめ
本発表会を通じて明らかになったのは、「推し消費」が一過性のブームではなく、物価高騰や市場縮小といった現代の課題を突破する「経済の防波堤」になる可能性があるということです。 新井教授が提唱した「顧客関係から人間関係への深化」や、明治・カンロ両社の事例が示すように、これからの企業には「安くて良いもの」を提供するだけでなく、「応援したくなる(推したくなる)人格やストーリー」を提示することが求められます。 顧客を単なる購入者ではなく「共にブランドを育てるパートナー」として捉え直し、関係性構築を行うことこそが、企業の持続的な成長の鍵を握っていると言えます。

【Asobicaが提供するホンネデータプラットフォーム「coorum(コーラム)」について】

コミュニティツールやリサーチツールをもとにゼロパーティーデータ(顧客の本音データ)を収集、AI分析・活用することで、あらゆるCXを改善するプラットフォームです。デジタル上の行動データだけでは分からない、商品・サービスの利用実態や、行動の背景・感情といった「顧客の本音」を収集・可視化し、商品開発・ブランド戦略・マーケティング効果の最大化を実現します。
・coorum HP:https://coorum.jp/

【株式会社Asobica概要】
会社名:株式会社Asobica
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田2-27-3 A-PLACE五反田ビル9F
代表者:代表取締役 CEO 今田孝哉
会社HP:https://asobica.co.jp
運営メディア「CXin」:https://coorum.jp/cxin/

【本リリースに関してのお問い合わせ先】
株式会社Asobica
Mail : info@asobica.co.jp
電話番号:070-8813-6265
担当:広報担当 野内(やない)

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ

最新情報をTwitterで受け取ろう!
最新情報をFacebookで受け取ろう!
前の記事
一覧へ戻る
次の記事