身近な仕事を入口に、初めての実践を支援。20件の主要参考文献と研究の適用範囲を整理した学術補論10ページを付け、全23ページのPDFを無料公開
980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織行動科学(R)の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑 智康)は、組織で働く人が、日常の仕事からアート思考を試すための入門資料「はじめてのアート思考」を無料公開しました。
本リリースでは、表紙を含む本編13ページをすべて掲載します。添付PDFには、本編に加えて、実践の背景にある研究と、その研究から言える範囲を整理した学術補論10ページを収録しています。
今回の資料は、アート思考の理論を学び終えた人だけを対象とするものではありません。興味を持ったものの、何から始めればよいかわからない人に向けて、読む途中から、自分の仕事に置き換えて考えられる入口として構成しました。

アート思考に興味を持った、その次の一歩をつくる
当社はこれまで、アート思考の操作的定義、実装・検証の構造、国内外研究の現在地、仕事や組織学習への接続を、4つの資料で公開してきました。今回の資料は、その内容を単に短縮したものではなく、初めて使う人の立場から、実践への入口を組み直したものです。
導入で重視したのは、「新しい考え方を知った」という発見と、「自分の仕事でも確かめてみたい」という関心をつなぐことです。
そのため、専門用語の説明からではなく、日常の仕事で立ち止まる場面から始めています。アート思考を学ぶための特別な課題を用意する前に、読者がすでに経験している仕事を、今回の資料と結び付けられる構成にしました。

成功事例の正解ではなく、考え直す途中をたどる
最初に取り上げるのは、提案が採用に至らなかった一件です。
ここで紹介するのは、断りの言葉を採用へ変える営業話法ではありません。うまく進まなかった仕事について、担当者が、何を確認済みとみなしていたのかを捉え直す過程です。
事例は、実践の働きを説明するための架空例です。特定の返答から、相手の意図や、不採用の原因を断定するものではありません。

この場面を読むときには、担当者の確認不足を見つけるだけでなく、自分が同じ立場なら、どこまでを「わかっている」と考えていただろうか、と重ねてみてください。
次のページでは、その担当者が再び相手と接することで、何を確かめたいと思うようになったかを追います。

相手から得た一つの発言を、別の仕事にも使える正解として持ち帰ることが目的ではありません。別の相手、別の場面なら、確かめる内容も変わります。
この事例から取り出したいのは、特定の対処法ではなく、それまで当然としていた仕事の捉え方を、どのように見直したかです。

事例を読む側から、自分の仕事を扱う側へ
ここからは、読者自身の仕事で試すためのページへ進みます。事例と同じ課題や、提案が失敗した場面を探す必要はありません。
うまくいったものの、その理由を十分に説明できない仕事や、まだ扱えていない良さを感じる場面も、題材として考えられます。重要なのは、大きなテーマを掲げることより、自分が実際に関わった場面を出発点にすることです。

最初に残したものは、完成度を採点するための提出物ではありません。あとから見比べるための出発点です。
次のページでは、つくったものの出来栄えではなく、それを見ている自分の注意が、どこへ向いたかに目を向けます。

自分だけでは違いを見つけにくいときには、別の捉え方と並べてみる方法もあります。次の1枚では、その補助としてAIを位置づけています。
AIを使うこと自体を実践の条件にはせず、使った場合にも、読者自身が何を確かめたいと考えたかが残る構成にしています。

「なるほど」と思った瞬間を、実践の終点にはしません。
納得できる説明を得た後に、何がまだ未確認なのかを扱うため、次のページへ進みます。AIの案に限らず、自分の解釈や、誰かから聞いた説明にも、この確認を向けます。

確かめた結果が、最初の考えに合わなかったときも、そこで実践が失敗したと決める必要はありません。
その違いを受け取った後、次に描く仕事の姿へどう反映するか。確認のために現実へ戻ることと、自分の考えを形にし直すことを、ここでつなげています。

個人の気づきを、組織の仕事へ持ち込む前に
探索の途中では、考えを決め切らずに扱うことを重視しています。一方、実際に誰かの仕事を変える段階では、未確認のことや影響を、そのままにして進めるわけにはいきません。
次のページは、この二つの場面を区別しながら、探索の結果を実際の選択へ渡すために置いています。

実践を終えた後に残したいのは、「今回はこうすればよかった」という結論だけではありません。別の仕事で使おうとする人が、条件の違いを考えられるようにすることも大切です。
そのため、最後の実践ページでは、報告のために資料を増やすのではなく、次の仕事へ何を渡すかという観点から、記録を扱います。

ここまで読んで、「なぜ、これをアート思考と呼ぶのか」という疑問が残るかもしれません。
最後の1枚は、その疑問と、ここまでの実践を結び付けるためのページです。芸術制作と仕事の見た目を似せるのではなく、両者の間で何を共通する働きとして捉えているのかを示します。

実践の背景を確かめるために、学術補論10ページを収録
本編を、初めての人が読み進めやすい構成にする一方で、実践の根拠を確認できるよう、添付PDFには学術補論10ページを収録しています。
学術補論は、著名な研究者や理論の名称を並べるだけのものではありません。各研究について、研究方法・対象・主要知見、本編の実践との対応、適用範囲と限界を分けて整理しています。
本リリースでは、その中から、今回の導入に特に関わる研究を紹介します。文献番号は、添付PDFの主要参考文献に対応しています。
関心は、実践の前だけでなく、その途中でも育ち得る
Hidi & Renninger(2006)は、関心の発達を、状況的な関心の喚起と維持から、より持続的な個人的関心へ至る四段階の理論モデルとして整理しています。今回の資料では、深い関心を最初から要求するのではなく、対象との関わりを通じて関心が生まれ、続く条件を考える背景として参照しています。教育場面を中心とした関心の研究を、職場の実践へそのまま一般化するものではありません。
自分のスケッチに、描いたときには意図していなかったものを発見する
Suwa・Gero・Purcell(2000)は、一人の建築家の設計過程を分析し、自分のスケッチから予期しなかった特徴を発見することと、新たな設計上の課題や要求を生み出すこととの双方向の関係を報告しています。今回の資料が扱う「自分が出した形から、自分も学ぶ」働きを考える重要な研究です。ただし、単一の建築設計事例であり、一般の職場での効果を保証するものではありません。
相手の立場を想像することと、相手から情報を得ることを分ける
Eyal・Steffel・Epley(2018)は、25の実験を通じて、他者の立場を想像するよう指示するだけでは、理解の正確性が一貫して高まらなかったことを報告しています。一方、最後の実験では、会話を通じて相手の視点を直接得ることが、理解の正確性を高めました。本資料では、想像した内容を結論にせず、相手から確かめることを重視する背景として参照しています。
経験を増やすだけでなく、経験から何を学んだかを扱う
Tannenbaum & Cerasoli(2013)は、46サンプル・計2,136人を統合したメタ分析で、構造化された振り返りを行う条件が、統制条件より平均的に高い遂行成績を示したことを報告しています。本資料では、最初と最後の結論だけでなく、考え直した経緯を振り返る設計の背景として参照します。この研究は、本資料の記録方法そのものを検証したものではありません。
芸術を用いた学習の有望な報告と、長期的な検証課題を分ける
Sandberg(2024)は、芸術を用いたリーダー育成に関する31件の実証研究を質的メタサマリーとして整理しています。省察や認知的・対人的な能力に関する有望な報告がある一方、長期的な効果を確かめる、より厳密な研究の必要性も示しています。これは効果量を統合したメタ分析ではなく、今回のアート思考の実践と同一の方法を検証したものでもありません。
これらに加え、学術補論では、外化と設計過程、未来の具体化、問題形成、認知負荷、学習支援、組織の注意、心理的安全性、Art Thinkingの概念研究などを整理しています。20件の主要参考文献の書誌情報と、各研究の詳しい位置づけは、添付PDFをご参照ください。
研究が支える部分と、今回の実践として統合した部分
今回の導入では、これまで組織行動科学(R)の文脈で扱ってきた、相手の反応差を次の関心と事実確認へつなぐ実務上の仮説と、外に出した形から考えを見いだす研究を接続しています。
この導入全体が、一つの方法として効果実証されたという意味ではありません。
本資料は、先行研究と実務上の観察を基に構成した、実践・記録・検証のための内容です。アート思考一般に共通する唯一の定義や、効果が実証済みの標準手法を主張するものではありません。
読むこと、実際に試すこと、判断の前提が変わること、仕事の結果が変わることを区別し、実践の記録から、導入の使いやすさや適用条件を確かめていく位置づけです。
全23ページのPDFを無料公開
- 資料名:はじめてのアート思考
- 構成:本編13ページ+学術補論10ページ、全23ページ
- 形式:PDF/無料
本編は、一人で読みながら自分の仕事を振り返る入口として、また、同僚や上司と仕事の捉え方を話し合う材料としてご利用いただけます。学術補論は、社内での導入検討や、実践の背景を確認する際にご参照ください。
d68315-233-e8f91f6290ea1ed2d295363cd77197d5.pdf関連する4つの研究公開
今回の資料は、以下の研究公開を踏まえて、初学者が実践を始めるための入口として構成しています。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/68315/table/233_1_bdac8ea923fdb26bfb3f396586e002ad.jpg?v=202609051545 ]

組織行動科学(R)について
組織行動科学(R)は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から明らかにし、より善く再現するための研究・実践体系です。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、企業で働く成人の研究と教育開発を行っています。


リクエスト株式会社について
リクエスト株式会社は、組織行動科学(R)を基盤に、企業で働く人の行動、判断、経験形成、組織学習に関する研究と実践支援を行っています。
代表取締役の甲畑智康は、2003年に東京藝術大学美術学部を卒業後、企業の人材育成・組織開発に20年以上携わってきました。芸術における創造の過程と、企業における判断形成の双方を背景に、AI時代の「判断デザイン」「判断経験設計」「判断構造設計Pro」の体系化を進めています。

会社名:リクエスト株式会社
代表者:代表取締役 甲畑 智康
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
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