日時:2026年3月26日(木) 場所:神田明神ホール
一般社団法人日本昔ばなし協会は、2026年3月26日(木)に神田明神ホールにて「海ノ民話フォーラム2026」を開催しました。2025年度に制作した海ノ民話アニメーションの披露や、民話と音楽や俳句・学術を掛け合わせた新たな価値創造を目的としたものです。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として実施しました。

【第一部】海のむかしばなしアニメ上映会
午前中の第一部では、多くの子どもたちが来場し、アニメ上映と体験型ワークショップを通じて民話の世界に触れました。
全国各地の海の物語をアニメーションで鑑賞
2025年度に制作された最新作から、「クジラとイノシシ」(高知県室戸市)や「織姫塚」(茨城県大洗町)など、全国の海の物語を上映しました。上映前には沼田心之介監督が登壇。このあとアフレコ体験があることにも触れ、「日本にはたくさんの海の昔ばなしが残っています。おじいちゃんやおばあちゃんよりもっと前の人たちが、どんな風に海と関わってきたのか、アニメを通じて知ってもらえると嬉しいです。これまで100作品以上作ってきましたが、声優2名で1000近くのキャラクターを演じてもらっています。声優さんの演じ分けにも注目して見てほしいです。」と、作品に込めた願いを子どもたちに語りかけました。

プロの声優に学ぶ!ドキドキのアフレコ体験
上映後には、声優の四宮豪氏と冨田泰代氏を講師に迎え、アフレコ体験を実施しました。子どもたちは、実際のアニメ映像に合わせてマイクの前でセリフを言う本格的な体験に挑戦。プロのアドバイスを受けながら、一生懸命、役になりきる姿に、会場は笑顔に包まれました。「難しかったけど、やってみたらできた!」「緊張したけど、楽しかった」との体験者の声に、温かい拍手が送られました。

【第二部】スペシャルセッション ~民話から創造する新たな世界~
午後の第二部では、ゲストにタレント・俳優・ミュージシャンなど多方面で活躍されている、つるの剛士氏を迎え、民話を多角的に掘り下げるセッションを行いました。
伝統の「語り」と現代の「アニメ」の共演
鳥取県岩美町の語り部・片村俊子氏が登壇し、民話「海の神様」を披露しました。生の声による迫力と温かい語りに続き、その物語を映像化したアニメーションを上映。伝統的な継承の形と、現代的な表現が融合する瞬間を会場全体で共有しました。

民話×オペラ・ラップ:新たな表現への昇華
「海ノ民話」をテーマに、異ジャンルのアーティストが共演。オペラグループ「Trio99(トリオツーナイン)」は、アニメ「くじらの夫婦」を題材に、力強い歌声で物語の情緒を表現しました。続いて、現代の語り部としてラッパーの眞魚氏が登場。アニメ「河童の恩返し」のリリック(歌詞)を刻む斬新なパフォーマンスを披露し、民話が持つ現代的なエンターテインメントとしての可能性を示しました。

海ノ民話俳句コンテスト&言葉の深化
国際俳句協会会長の星野高士氏を迎え、民話と俳句の親和性についてトークを展開。言葉による表現、自然との関わり、地域性、そして想像力を喚起する力は共通していると語られました。あわせて、全国から寄せられた「海ノ民話俳句コンテスト」の入賞作品を発表しました。参加者それぞれの瑞々しい感性で詠まれた句の一つひとつに、星野氏による丁寧な講評が添えられました。

学術的視点から探る「海ノ民話学」
終盤には、池ノ上真一氏、飯倉義之氏、下田元毅氏の、3名の専門家が登壇。「海ノ民話学」として、民俗学だけでなく、建築や防災、社会課題の解決に民話がどう寄与できるかを議論しました。「民話は単なる昔ばなしではなく、地域文化、防災、環境問題、そして現代の表現方法と結びつくことで、未来を考えるための貴重な資源となる」という新たな視点が提示されました。

つるの氏は、大人になって改めて民話に触れたことで「子ども向け」という先入観が覆されたと告白。「桃太郎のような誰もが知る物語にも、原型には当時の人々の切実な願いやロマンが隠されている。民話は知れば知るほど奥深い」と感銘を受けた様子で語りました。
また、自身が移住した藤沢市の民話「五頭竜と弁天様」を例に挙げ、「民話を知ることで、その土地の歴史や海との付き合い方が見えてくる。民話はまさに、その土地を深く知るための『入り口』」であると強調。今後は仕事で訪れる先々の民話を調べてみたい、と声優としての参加にも意欲を見せ、会場を沸かせました。
沼田監督は、現在117作品まで到達した「海ノ民話アニメーション」を、将来的に日本全国すべての自治体で展開したいという壮大な目標を掲げました。 「日本人が世界から賞賛される整然とした行動や精神性の根源には、幼少期に触れた民話の教訓があるはず。忘れ去られつつある『日本人の心』を、民話を通じて呼び覚ましたい」と力強く宣言。今回挑戦したラップやオペラ、俳句とのコラボレーションについても、「異分野との相乗効果が民話の可能性を広げ、相互に火をつけ合う関係になれる」と確信を述べました。 監督は最後に、子どもたちが成長の過程で繰り返し民話に触れ、その時々で異なる気づきを得られる環境を作っていく決意を語り、フォーラムを締めくくりました。

<イベント概要>
[表: https://prtimes.jp/data/corp/161057/table/590_1_ce9bb2eebe60cfec9dea4b71c3667867.jpg?v=202603300545 ]
<団体概要>
団体名称:一般社団法人日本昔ばなし協会
URL:https://www.nippon-mukashibanashi.or.jp/

日本財団「海ノ民話のまちプロジェクト」
「海ノ民話のまちプロジェクト」は、海と深く関わりを持つ日本という国の「海とのつながり」と「地域の誇り」を子どもたちに伝え、未来につなぐことを目的に、日本各地の無形文化財である海の民話の中から、海の学びを内包する価値の高い話を選出して「海ノ民話アニメーション」として有形化し、次世代のためにアーカイブします。
また、それらの海の民話を語り継がれてこられた地域を「海ノ民話のまち」と認定し、ともにPRや活用促進を図ります。
公式サイト https://uminominwa.jp/
公式YouTube https://www.youtube.com/@uminominwa
X(旧Twitter)https://x.com/uminominwa

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/