出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「当社」)先進マテリアルカンパニー 機能化学品部 機能材料研究所 機能化学品グループ 田村聡(たむら さとし)は、公益社団法人高分子学会※1より、フェローの称号※2を授与されました。当社グループで30年以上にわたり、ポリプロピレン(以下「PP」)をはじめとする高分子材料の研究開発と実用化を推進し、高分子科学・技術の発展に貢献してきたことが評価されました。田村がこれまで培ってきた技術・知見は、水添石油樹脂「アイマーブ(TM)︎」※3の用途開発など、当社におけるさまざまな高分子材料の研究開発に生かされています。
※1 高分子学会:高分子科学の基礎的分野から、電気、電子、情報、バイオ、医療、輸送、建築、宇宙などの応用分野まで、幅広い科学技術の発展と、それらを担う人材の育成を図る公益社団法人。
※2 フェローの称号:高分子科学の発展に顕著な業績をあげ、今後さらなる貢献が期待される会員に授与される称号。
※3 アイマーブTM:当社が独自開発した無色透明の水添石油樹脂。PPなどのポリオレフィンの性能を高める改質材として幅広く使用。台湾企業の台塑石化股份有限公司(Formosa Petrochemical Corporation)との合弁会社である台塑出光特用化學品股份有限公司(Idemitsu Formosa Specialty Chemicals Corporation)にて製造し、国内外で事業を展開中。

このたびフェローの称号を授与された田村は、高分子材料に関する幅広い技術開発に長年携わり、研究成果の実用化を推進してきました。さらに、論文発表や高分子学会での活動を通じて、高分子科学・技術の発展にも貢献しています。
当社グループで田村が携わった主な研究・技術開発は以下のとおりです。
【二軸延伸PPフィルム向けPPの開発】
食品・医薬品の包装や工業用として使用される二軸延伸PPフィルムは、PPをシート状に成形した後、縦・横の二方向に引き伸ばして製造します。田村は、このフィルムの高速生産に対応できるPPの開発に携わりました。PPの分子構造を制御するとともに、小型の実験機でPPシートを引き伸ばす際にかかる力(応力)を解析。その結果から大型の生産機での高速生産性を予測・検証し、高速生産に適したPPの開発に貢献しました。
【コンデンサ用フィルム・リチウムイオン電池用セパレータ向けPPの開発】
コンデンサ内部で電気を絶縁するフィルムや、リチウムイオン電池(以下「LIB」)内部でプラス極とマイナス極の接触によるショートを防ぐセパレータは、用途や製造方法によって原料となるPPに求められる性質が異なります。田村は、コンデンサ用フィルム向けではフィルムに求められる表面や内部の構造を実現するために適したPPの開発に、LIB用セパレータ向けでは製造方法に合わせて分子の長さや分布を制御したPPの開発に貢献しました。
【水添石油樹脂「アイマーブTM」によるポリオレフィンの高機能化】
アイマーブTMはこれまで、主にホットメルト接着剤※4の接着性を高める粘着付与剤として使用されてきました。田村は、新たにポリオレフィンフィルム※5にアイマーブTMを添加して性能を向上させる改質剤としての用途を開拓しました。これにより、これまで両立が難しかったポリオレフィンフィルムの機械物性(剛性などの機械的な性質)と、延伸性(引き延ばしやすさ)の向上を可能にしました。
当社は、今後もこうした高分子材料に関する技術・知見を生かした研究開発と実用化を推進し、社会や産業の発展に貢献します。
※4 ホットメルト接着剤:熱を加えると溶け、冷えると固まる性質を利用した接着剤。
※5 ポリオレフィンフィルム:PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などの樹脂を原料とするフィルム。包装材など幅広い用途で使用。