株式会社JTBは、東京大学工学系研究科 中尾研究室とタッグを組み、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)で実施している ASPIRE プログラム(先端国際共同研究推進事業)*1の支援を得て、産官学連携による次世代通信人材育成プログラムを2026年2月20日より開始します。世界最大の通信展示会MWC(3月2日~5日、バルセロナ)を実践フィールドとした国内初の試みで、今年度は企業3~4社と学生3名が協働で海外展示会視察・調査・レポート作成を実施。2028年には参加企業10社・学生30名への拡大を目指し、グローバルな最新技術の体感と実践的なプロジェクト推進スキルの習得により、2030年に最大80万人不足予測のIT人材問題解決と日本の国際競争力強化に貢献します。
背景と目的
総務省の調査(2023年)によると、日本企業の50%以上がデジタル化を未実施であり*2、AI・データ解析の専門家が在籍する企業はわずか21.2%にとどまっています*3。また、経済産業省の推計では2030年までにIT人材が最大80万人不足するとされています*4。日本の通信業界における国際競争力の低下は、経済成長の鈍化や社会インフラの脆弱化に直結する重要な課題です。本プログラムは、世界最大の通信関連見本市であるMWC Barcelona2026(以下、MWC)を実践フィールドとして、産官学が連携した体系的な人材育成システムを構築し、企業の新規事業創出、学生のグローバルキャリア形成、そして日本社会のデジタル化推進に貢献することを目的としています。
提携の概要
名称:
次世代通信の羅針盤、イノベーションリーダー育成プログラム
~産官学連携で挑む、世界最先端の学びと実践~
連携事項:
- MWCを活用した実践的な通信業界人材育成プログラムの共同開発・運営
- 企業と学生による協働型海外展示会視察・調査・レポーティング
- 事前・事後ワークショップによる体系的な学習機会の提供
体制と役割:
- JTBがプログラム設計・造成・提供(プラットフォーム機能)を担当
- 東京大学中尾研究室と長谷川史樹氏(三菱電機)がプログラム価値と質の担保を担当
- 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が支援機関として参画
なお、2026年はトライアル実施として位置づけ、初回プログラムには参加企業3~4社、参加学生3名を予定しています。
提供価値と差別化ポイント
- エンドユーザー便益:グローバルな最新技術・ビジネス動向の体感、企業との深い相互理解によるマッチング精度向上、実践的なプロジェクト推進スキルの習得
- 企業メリット:体系的なオープンイノベーション推進、優秀な若手人材との接点構築、社員の士気向上と周辺社員への刺激効果、新規事業創出のヒント獲得
- 競合優位点:海外展示会を活用した産官学連携による人材育成は国内初の試みです。従来の「行くだけ」の展示会参加から、目標設定・協働調査・成果共有という体系化されたプログラムへの転換を実現

プログラムの内容
【渡航前】
・ 事前オリエンテーションでの企業・学生混成グループによる共通目標・テーマ設定
【渡航中】
・ MWC現地での協働ブースツアー・技術セミナー参加・現地企業との交流
【渡航後】
・ 企業の新入社員研修や中堅社員のグローバル視野拡大研修としての活用
・ 学生の就職活動を見越した深い企業理解と自身の活躍イメージ構築機会
・ 共同レポート作成を通じた実践的なビジネス提案スキル・プレゼンテーション能力の向上
各社・関係者コメント
【株式会社JTB ビジネスソリューション事業本部 第二事業部長 清水徹也】
「本プログラムは当社が推進する『交流創造事業』の具現化として、人材交流を通じて日本の通信業界発展に貢献する社会課題解決型の取り組みです。産官学の強力な連携により、次世代を担うグローバルリーダーの育成と日本企業の国際競争力強化を支援してまいります」
【東京大学大学院工学系研究科教授 中尾彰宏氏】
「本プログラムは、世界最大級の通信展示会MWCを実地で体験することにより、学生が次世代通信技術とグローバルな産業動向を自らの目で捉え、研究と社会実装を結び付けて考える力を養う極めて意義深い取り組みです。産官学連携の枠組みの中で、技術・ビジネス・政策が交差する現場に触れる経験は、将来の研究テーマ設定やキャリア形成に大きな示唆を与えます。本学から世界へ挑戦する志を持つ人材が育つことを強く期待します。」
【長谷川史樹氏 三菱電機株式会社 通信システムエンジニアリングセンター】
「本プログラムは、近年深刻化している IT 人材不足の中でも、特にワイヤレス分野に焦点を当て、次世代リーダーの育成を目指す取り組みです。グローバルの最先端技術に触れることで、世界や日本の現在地を正しく把握し、今後の活動の大きな一歩となるきっかけを得ていただけることを期待します。」
長谷川氏:XGMFプロジェクトリーダー(※1)や5G-SDC運営委員長(※2)を務める
(※1) https://xgmf.jp/project/
(※2) https://5g-sdc.jp/about/
今後の展望
JTBは、2035年ビジョンとして掲げる「『新』交流時代のフロンティア企業」の実現に向け、本プログラムを重要な一歩と位置づけています。
「交流創造事業」を推進するJTBだからこそ創造できる価値を大切に、産官学の連携をさらに深化させ、本プログラムを単なる人材育成に留まらない、サステナブルな社会貢献へと昇華させていく決意です。
具体的には、2028年には参加企業10社・学生30名への拡大を目指し、より多くの企業と学生がグローバルな最新技術に触れ、実践的なスキルを習得できる機会を提供していきます。また、本プログラムで得られた知見やネットワークを活かし、日本のデジタル化を加速させる新たな事業創出や、地域社会の活性化にも貢献してまいります。
JTBは、これからも「人」と「情報」の交流を促進することで、未来を担う次世代IT人材の育成を支援し、日本の国際競争力強化、ひいては持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
引用・注釈情報
*1 先端国際共同研究推進事業(ASPIRE:Adopting Sustainable Partnerships for Innovative Research Ecosystem)は、我が国の科学技術力の維持・向上を図るため、政策上重要な科学技術分野において、国際共同研究を通じて我が国と科学技術先進国・地域のトップ研究者同士を結び付け、我が国の研究コミュニティにおいて国際頭脳循環を加速することを目指す事業。
*2 総務省「令和5年版 情報通信白書」各国企業のデジタル化の状況(2023年) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd24b210.html
*3 総務省「令和5年版 情報通信白書」各国企業のデジタル化の状況(2023年) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd24b210.html
*4 厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(2024年3月) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf引用文献