2007年4月に刊行された『本能の力』(戸塚宏・著)の増刷が決定しました。本書にとって初めての増刷です。『本能の力』は刊行から19年経ち、紙の本は長らく「品切れ」が続き、電子書籍のみで流通していました。しかし一昨年頃からその電子版の売り上げが急伸したことを受け、今回、紙の本も増刷に至りました。発売から20年近く経ってからの「2刷」はかなり異例のことです。

いわゆる「戸塚ヨットスクール事件」でコーチらと共に傷害致死の罪に問われた戸塚宏氏は、懲役6年の実刑判決を受けましたが、1986年に保釈され、スクールを再開。以来、戸塚ヨットスクールでの教育を続けると、共に自身の教育論を世に問うてきました。
体罰を否定しない、その主張は世の常識からかけ離れた暴論のように受け止められるかもしれません。しかし本書『本能の力』では、その真意を戸塚氏の視点で丁寧に説明しています。
「体罰とは、相手の進歩を目的とした有形力の行使、力の行使である」――そう定義したうえで、「軍隊式の体罰は間違いだ」と断じます。本来は赤ちゃんの時に危険な場所に近づいた際、「お尻を撫でる程度に叩いて注意する」そんな「体罰」ともいえぬしつけをしておけば、以降の体罰はほとんど不要になる、とも説きます。
一方で子どもが成長するにあたっては、一定の不快感が必要だというのが、戸塚氏の結論です。
こうした意見は現代では異端扱いされています。そのため戸塚氏の主張が地上波のテレビや新聞で扱われることはありません。しかし、戸塚氏が出演した配信番組やヨットスクールの動画、そしてそれらの切り抜き動画はネット上で数多くの視聴者を獲得しています。
それらが話題を呼んだ影響か、戸塚氏の教育論を基本から解説した1冊である『本能の力』電子版はロングセラーとなり、特に近年、売上を伸ばしてきました。2025年は前年の2倍以上、そして今年はすでに半年で前年度の一年分に匹敵する部数で電子版が売れています。ネット書店では古書が高価な価格で出回る事態が続いています。
こうした関心の高まりを受けて、今回の増刷が決定しました。
■書籍内容
生気のない顔つきの子供がなぜ増えたのか。無気味な少年犯罪が連続するのはなぜなのか。現代日本の歪みは、すべて「本能の力」を軽視したことのツケである。「不快感が子供を育てる」「体罰は進歩のためにある」「非行と不良は別物」「“正しいいじめ”には意義がある」「脳幹を鍛えよ」等。建前論を排し、安易な復古主義にも与せず説く。徹底的に経験に基づいて作り上げた戸塚理論の精髄がここにある。
■著者紹介:戸塚宏(とつかひろし)
1940(昭和15)年生まれ。戸塚ヨットスクール校長。名古屋大学工学部卒。1975年、沖縄海洋博記念「サンフランシスコ―沖縄単独横断ヨットレース」優勝。1976年、愛知県美浜町に戸塚ヨットスクールを開校。これまでに600人以上の情緒障害児を更生させる。
■書籍データ
【タイトル】本能の力
【著者名】戸塚宏
【発売日】2007年4月20日
【造本】新書
【定価】946円(税込)
【ISBN】978-4-10-610212-7
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/610212/