日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、群馬県旧粕川村(前橋市)を写真とともに紹介する。
Vol.86/群馬県旧粕川村(前橋市)
前橋市はかつて、5つの市町村に分かれていた。前橋市の市街地からぐんと東に進み、最も東側に位置する旧粕川村に向かう。赤城山を源流とする粕川は、旧粕川村を通過して伊勢崎市で広瀬川と合流し、最後は利根川と合流する。赤城山から流れ出た水が、利根川と合流して千葉の銚子まではるばるやってきて、最後は太平洋に運ばれていくなんて。長くて壮大な旅だ。
快晴に恵まれた朝だった。粕川は周囲が緑の草に覆われていて、青と緑の調和に自然のやさしさを感じられる。穏やかな住宅街を通り抜けて粕川駅に向かうと、駅舎と広々した空に心が躍った。写真を撮り終えたときに一台の車がやってきて、野球部のユニフォームを着た中学生ぐらいの男の子が出てきた。今日は日曜日。これから練習試合だろうか。車のどんっ、という音だけが響く。もしかしたら思春期かもしれない。かつての自分のように思える。それでも車の音が、行ってきますの合図。
次回は、群馬県旧大胡町(前橋市)を写真とともに紹介予定。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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