~「一日一笑」をモットーとする社会福祉法人槇の実会との共同プロジェクト、地域資源の循環とハンディキャップを持った人たちの社会参画を促す~
株式会社エコグリーンホールディングス(東京都中央区、代表取締役:石井光暢)傘下で、山林の伐採・造林・維持管理を手掛ける株式会社EG Forest(千葉県富里市、代表取締役:寺島広高、以下「EGF」)が、社会福祉法人槇の実会(千葉県香取郡多古町)との林福連携プロジェクト(以下「本プロジェクト」)を本格的に開始しました。両者が共同で製造している「千葉の薪」は県内のキャンプ場などで販売されているほか、千葉県富里市の「ふるさと納税返礼品」として正式に採用され、取り扱いが開始されています。
本プロジェクトは、千葉県内の森林で深刻な問題となっているスギの「溝腐(みぞくされ)病」による被害木を「地域資源」として有効活用すると同時に、福祉施設への経済的循環や施設利用者の作業を創出する「林福連携(林業×福祉)」の持続可能なモデルです。
千葉県内の多くの地域において、溝腐病と呼ばれるスギの病害が広がっており、深刻な課題となっています。溝腐病に感染したスギは、根元から腐朽(腐敗)が進行するため、木材としての強度が著しく低下します。そのため、従来の建築材などとしての利用が難しく、伐採されても廃棄処分されるか、山林に放置されて隣地残材となり森林の荒廃を招きます。また台風などの災害時にはこれらが風倒木などにもなり、被害を拡大する一因にもなっています。

溝腐病により腐朽したスギ

腐朽した木は風倒木などとなり災害時に被害の拡大につながる
EGFでは、これらにより荒れた森林の再生を目指し、適切な伐採・造林・維持管理を推進しています。その際伐採した病害木について、従前から行っているバイオマス発電への燃料利用に加えて、適切に加工してしっかりと乾燥させることで薪としての利用を進めています。こういった木材も病害が進みすぎていなければ薪としての燃焼性能には全く問題がなく、むしろ適度に乾燥したスギ材は「火付きが良く、初心者でも扱いやすい」という、近年のキャンプ需要や薪ストーブユーザーのニーズに合致する特長を持っています。
EGFはこれら木材を「地域資源」として販売することで、森林の更新(健全化)と資源の有効活用を同時に達成する本プロジェクトを本格化させました。
■ 槇の実会との「林福連携」:互いの強みを活かした薪製造
「千葉の薪」の製造を拡大するにあたり、EGFは自社での直接製造から、地域社会と深いつながりを持つ福祉施設への製造委託へと舵を切りました。そこでパートナーとなったのが、千葉県香取郡多古町を中心に、障がいのある方向けのグループホームや通所施設などを運営する「社会福祉法人 槇の実会」です。同会は「一日一笑(いちにちいっしょう)」をモットーに、利用者と職員が生き生きと活動できる福祉・交流活動を展開しています。
両者の連携による槇の実会の通所施設である久賀福祉センターでの薪製造作業は、スタートから約1年が経過しました。ここにはEGFが山林から伐採・搬出した、長さ約30センチメートルにカットした伐採木が運び込まれ、以下のような役割分担によって製品化されています。

職員が割った薪を利用者が詰める
【具体的な製造工程と役割分担】
実際の製造工程、両者の役割は下記の通りです。
1.木材の伐採・加工(EGFが担当):病害木などの木材の伐採と基本的な加工。伐採木の中から薪に
適したものを選定し、巻き割り機のサイズに合わせ加工・調整します。
2.薪割り(槇の実会職員が担当): 運び込まれた木材を、安全に配慮しながら専用の機械を使って割
って薪にしていきます。
3.箱詰め・結束・運搬(槇の実会利用者が担当): 割られた薪を、利用者が針葉樹(3/5キログラ
ム)、広葉樹(5/7キログラム)の規格に合わせ、その後結束バンドで頑丈に固定し、施設内にある
専用の倉庫へと運び、出荷まで大切に保管します。
上記の工程について槇の実会の職員は「利用者の方にはそれぞれ得意な作業、そうでない作業があり、一人ひとりの特性を丁寧に見極めながら最適な作業を担ってもらうよう判断しています」と話しています。

薪をバンドで結束する

結束した薪を倉庫で保管
■ 「外に出る楽しさ」と「社会的意義」
従来は、室内での軽作業が中心となるケースが多く見られましたが、薪製造は「外に出て、自然の木に触れながら身体を動かす作業」です。現場の職員からは「外に出て身体を動かす作業であることから、利用者の皆さんは楽しんで作業に臨んでいます。この作業であれば、自ら進んでやるという利用者の方も多いです」との声が上がっています。
実際に作業にあたる利用者からも
「手を動かしてものづくりをすることが楽しい」
「自分のやった作業が、しっかりと形になって返ってくることにやりがいを感じる」
などの声に加え、キャンプ経験のある利用者からは
「大好きな木に触れられる時間が楽しい」との声もありました。
さらに本プロジェクトで製造された薪が「富里市のふるさと納税返礼品」に選ばれていることや、伐採木を利用して薪を作り、有効活用することが森林再生につながることを理解している利用者もいます。 「『自分たちの仕事が社会的に認められる、意義のある仕事だ』と理解し、誇りを持って取り組む利用者もいます。これは労働へのモチベーション向上になります。なお、この作業の積み重ねによって得られた成果は、利用者の皆さんによる「食事会」などにも使用され、次のステップへの大きな楽しみにつながっています。
■ 今後の展望
EGFと槇の実会は、この「地域経済の循環モデル」をさらに広く発信し、更に強固なものにしていきたいと考えています。
槇の実会の地域支援部・部長の秋山昭二さんは、今後のさらなる展望について次のように述べています。「今後は、キャンプ場などでの薪の販売などの営業活動の場にも、利用者の皆さんに同行してもらう計画を進めています。一緒に外回りをし、地域社会の方々と直接触れ合うことで、身近にこのようなハンディキャップを持った人々が暮らしていることへの『地域の理解』を草の根から深めていきたいと考えています。本人たちにとっても、外の世界と新しいつながりができることは非常に重要です。その関わりの中で、本当の意味での人と人とのつながりが生まれていくのだと思います」
廃棄されることが多い森林の被害木を「地域資源」へと変え、林業の持続可能性を高めるとともに、福祉を通じた地域共生社会を実現する--。EGFと槇の実会は、これからも森林と社会に新たな価値を見出し、地域に笑顔の循環を生み出す取り組みを推進してまいります。

槇の実会のみなさんと