- 新たな調査により、顧客がサービス提供者にAIを活用した価値提供を期待する中、米国だけで約1,430億米ドルの収益がリスクにさらされていることが判明
- 企業・事務所がAIの価値を十分に提供できない場合、今後2年以内に人材の24%を失う可能性あり
- しかしその一方で、弁護士、会計士、コンプライアンス専門家の3分の1が未承認のAIを利用しており、組織が監視・管理できない見えないリスクを生み出している
トムソン・ロイター (Nasdaq/TSX:TRI)、 グローバルなコンテンツおよびテクノロジーの提供企業であるトムソン・ロイターは本日、法務、税務・監査、リスク分野の専門職において、AIを効果的に導入できないことによる財務的コストについて警鐘を鳴らす「2026 Future of Professionals Report」を発表しました。世界の専門家1,800人を対象とした調査に基づく同レポートは、AIに対する顧客の期待とサービス提供の実態との間に広がる「実行ギャップ」を明らかにしています。このギャップは、もはや抽象的な課題ではなく、米国だけ*でも約1,430億米ドルの顧客からの収益がリスクにさらされる可能性があるほか、人材の流出リスクにもつながるなど、重大な影響を及ぼし始めています。
トムソン・ロイターの社長兼CEOであるスティーブ・ハスカーは、次のように述べています。
「AI活用において明確な分岐点が生まれつつあります。AIを業務に有効活用している企業・事務所は先行し、そうでない組織は、顧客、人材、財務パフォーマンスの各面で実質的なリスクを抱え始めています。この実行ギャップを解消することは、専門サービス企業にとって今や事業上の必須課題です。」
AIの導入自体が問題なのではありません。専門家の74%は、すでに日常的にAIツールを利用しています。しかし、組織はその利用を実際の価値創出へと転換することに苦慮しています。実際、専門家の91%が、自組織はAIがもたらし得る価値を十分に実現できていないと考えています。その結果として、弁護士、会計士、コンプライアンス専門家の3分の1が未承認のツールを使用していると回答しており、見えない、管理されていないリスクが生じています。
また、AI戦略が存在する場合であっても、その実行は遅れています。専門家の35%は、組織のAIに関する方針や意欲が日々の業務に反映されていないと回答し、約5人に1人は、自組織にはいまだ明確な戦略がないと述べています。こうした期待と現実のギャップは、人材面にも影響を及ぼし始めています。さらに、約4人に1人は、期待する価値が見えない場合、今後2年以内に退職を検討すると回答しています。顧客も同様の結論に至りつつあります。すなわち、現在、顧客(本調査では、外部の専門サービスを購入する立場にある企業内部門の回答者を指します)の78%がAIによる品質向上を不可欠または非常に重要と考えている一方で、AIによってサービスの品質が実際に高まったと実感できている顧客はわずか6%にとどまります。その結果、約3分の1の顧客が今後12か月以内にサービス提供者との関係を見直す準備を進めています。
こうした課題は、多くのリーダーが認識している以上に速いスピードで高まっており、相互に関連する以下の3つの領域で顕在化しています。
シャドーAIがリスクを拡大
弁護士、会計士、コンプライアンス専門家の3分の1が、所属組織に承認されていないAIを使用しており、自組織のAI対応が遅すぎると感じている人々の間では、その割合は41%に上ります。組織が把握・管理できない見えないリスクを生んでいます。その背景には、承認済みツールへの不満があります。専門家は、96%が機密データの保護を、94%が検証済みの権威あるコンテンツを、90%が説明・弁明可能なアウトプットを必須と回答しています。しかし、こうした基準を満たすプロフェッショナル向けAIツールにアクセスできない専門家は41%に上り、これがシャドーAIの温床となっています。
離れつつある人材
AIテクノロジーが実現可能なことと、自組織が提供していることとの間にギャップを感じている専門家のうち、約4人に1人(24%)が今後2年以内の退職を検討しており、13%は今後12か月以内の退職を検討しています。しかし、シニアリーダーの約半数は、人材面で意味のある圧力が生じるのは少なくとも3年先だと考えています。62%は、プロフェッショナル向けAIへのアクセスが、転職を判断する際の判断要素になると回答しています。また、すでにそうしたAIを利用している人々の間では、約3人に1人が、AIツールが整備されていなければオファーを断ると回答しています。
即時対応を求める顧客
AIで実現可能なことと自組織が提供していることとの間にギャップを感じている専門家のうち、約4人に1人(24%)が今後2年以内の退職を検討しています。しかもその多く、対象者全体の13%は、12か月以内というさらに早い時期での退職を視野に入れています。今後12か月以内に、企業顧客の32%が、AI活用で後れを取っていると感じる取引先(サービス提供者)との関係を見直す予定です。関係を見直すとした顧客のうち3分の1は、自社がその取引先に委託している年間100万米ドル超の業務が見直しの対象になると見ており、これを米国の法律・会計分野に当てはめると、AI活用の提供状況を理由として、提供者が顧客から得ている収益のうち合計で約1,430億米ドルが再検討の対象となりうることを意味します。提供者側から見れば、それだけの収益が失われるリスクにさらされていることを意味します。
トムソン・ロイターの社長兼CEOであるスティーブ・ハスカーは、次のように述べています。
「AIはどれも同じではありません。実質的な責任を伴う専門職の分野では、基準ははるかに高くなければなりません。AIの出力が法的判断、規制関連の提出書類、顧客への助言に影響を与える場合、『ほぼ正しい』では不十分です。だからこそ当社は、専門家が検証でき、信頼でき、最終的に責任を持てるテクノロジー、すなわち当社が"Fiduciary-Grade AI(受託者責任品質のAI)"と呼ぶAIを構築しているのです。」
「Future of Professionals report 2026」はこちらよりご覧いただけます
テクノロジーの準備は整っています。課題は実行することにあり、今や基準となるのは説明責任です。トムソン・ロイターはこれを「Fiduciary-Grade AI(TM)」と定義しています。これは、権威ある分野特化型コンテンツ、厳格なプライバシー・セキュリティ対策、専門的な知識、透明性および検証可能な出力、そしてリアルタイムの人的サポートを基盤として構築されたAIです。
トムソン・ロイターについて
トムソン・ロイター(TSX/Nasdaq:TRI)は、人々や組織が適切な意思決定を行うために必要な、信頼性の高いコンテンツとテクノロジーを結び付けることで、進むべき方向を示します。当社は、法律、税務、会計、コンプライアンス、政府、メディアの各分野の専門家にサービスを提供しています。その製品は、高度に専門化されたソフトウェアとインサイトを組み合わせ、専門家が十分な情報に基づいた意思決定を行えるよう、データ、インテリジェンス、ソリューションを提供します。また、正義、真実、透明性を追求する機関を支援しています。トムソン・ロイターの一部であるロイター通信は、信頼されるジャーナリズムを提供する世界有数の報道機関です。詳細については、トムソン・ロイターのウェブサイトをご覧ください。
「Future of Professionals Report 2026」について
トムソン・ロイターの「Future of Professionals Report」は、今年4年目を迎えるテクノロジーが専門職の働き方をどのように変革しているかを調査する年次レポートです。2026年版レポートの調査結果は、2026年3月から4月にかけて実施された、法律、税務、監査、会計、コンプライアンス、リスク、グローバルトレード分野の専門家1,816人を対象とするグローバル調査に基づいています。回答者は、62か国にわたる民間の事務所、ならびに企業内および政府機関内の部門に所属しています。詳細については、以下をご覧ください。 http://www.thomsonreuters.com/en/institute/future-of-professionals-2026/report.
* Future of Professionalsのデータによると、今後12か月以内に企業顧客の32%が専門サービス提供者との関係見直しを予定しています。そのうち約3分の1は、年間100万米ドル超の業務委託がリスクに直面すると見ています。こうした動きを米国の法律市場およびCPA市場に当てはめると、実に約1,430億米ドルに上る顧客収益が再検討の対象となる可能性があります。