~山岳遭難・災害対応の広域連携を目指し、自治体と民間団体が一体となるネットワークが始動~

このたび、「山岳捜索連携協議会」は、山岳捜索に関する知見の全国的共有、観光・レジャー等を含む関係機関との連携体制の構築、ならびに全国的課題の解決に向けた国・県への要請を行うことを目的とし設立しました。2026年7月16日に設立総会を東京都内会場およびオンラインのハイブリッド形式にて開催いたしました。
■ 発起人代表挨拶
山岳捜索連携協議会の発起人代表として富山県南砺市の田中幹夫市長より、開会にあたり、協議会設立に向けた熱意と今後の展望が語られました。
【富山県南砺市 田中幹夫市長のコメント】
「我々はこれまで、一般社団法人国際災害対策支援機構との連携を通じ、ヘリコプターを用いた災害支援などの実績を積み重ねてきました。本年1月の能登半島地震の際にも、発災直後からヘリで現地に入り、飲料水や物資、避難者の搬送といった緊急支援を数多く実践していただきました。
近年、山岳遭難対策は地方自治体、警察、消防、そして民間団体が一体となって取り組むべき喫緊の課題となっています。お互いに山を登る人と地元自治体との関係性を向上させ、明確なルールを定めていく必要があります。遭難が起きてからの『罰則的な費用徴収』によって解決を図るのではなく、入山前の『自助(位置特定デバイスの携行や保険加入)』の仕組みを社会全体で推進し、捜索そのものを最速・最小化することで公的機関の負担を減らすという、現実的なアプローチが不可欠であると考えております。
この連携の輪を全国の山を持つ自治体等、そして都道府県へさらに広げ、地域と民間が強固に連携する体制を構築してまいります。」

発起人代表:南砺市 田中幹夫市長より開会挨拶
■ 来賓挨拶
ご来賓として出席を予定されていた富山県警察本部地域部長・中川保氏の名代として、富山県警察本部山岳安全課の柳澤警部が祝辞を代読し、警察としての心強い協力姿勢と本協議会への期待を示しました。
祝辞の中では、全国的に山岳遭難事故が増加傾向にある昨今において、自治体の首長や関係団体が緊密に手を取り合い、遭難対策のさらなる強化に挑戦される本協議会の設立に対し、極めて心強く意義深いものであると祝意が述べられました。 また、現場における山岳捜索および救助活動の迅速化・円滑化に向け、警察としても今後とも本協議会や参画関係者と一層強固な連携を図り、一体となって対策を推進していきたいとの確固たる方針が表明されました。

来賓挨拶:富山県警察本部地域部長・中川保氏(名代 柳澤警部)
■発起人紹介
自治体 (地域ブロック別、あいうえお順)
【甲信越】新潟県南魚沼市長 林 茂男
【北信越】富山県南砺市長 田中幹夫
【北信越】富山県立山町長 舟橋貴之
【関 東】長野県駒ケ根市長 伊藤祐三
【東 海】岐阜県郡上市長 山川弘保
【東 海】静岡県富士宮市長 須藤秀忠
【中 国】岡山県総社市長 片岡 聡一
民間団体
公益社団法人日本山岳会 会長 橋本しをり
公益社団法人日本山岳ガイド協会 理事長 武川 俊二
公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 会長 町田 幸男
日本勤労者山岳連盟 理事長 川嶋 高志
■ 参加首長からの問題提起とメッセージ
総会の中では、発起人メンバーである静岡県富士宮市の須藤秀忠市長から、富士山における救助現場の過酷な現状と、具体的な制度改正への要望について熱いメッセージが述べられました。
【静岡県富士宮市 須藤秀忠市長のコメント】
「富士山では外国人観光客を含む軽装登山によるトラブルや救助要請が急増しており、登山口の封鎖や通行禁止措置などの対策を講じています。しかし、遭難が発生した場合、市町村の消防・救助活動に要する多大な費用を地元自治体が負担しなければならない基本制度になっているため、救助要請の急増に伴い地元自治体の負担は限界に達しています。
私たちは決して健全な登山文化を否定するわけではありません。世界遺産である富士山を守る責任ある自治体として、これ以上の犠牲者を出したくないという強い思いから、【消防組織法などの法改正や制度見直し】、【救急搬送以外の民間専門団体等への救助委託ルールづくり】、【ルールを守らない登山者への厳正な対応】を求めています。この協議会を通じ、観光振興と安全確保の両立が全国で図られることを期待します。」

静岡県富士宮市 須藤秀忠市長
■議案審議
総会では、本協議会の本格的な始動に向けて以下の議案審議が行われ、すべての議案が滞りなく可決・承認されました。
第一号議案:会則案(協議会規約)について
本協議会の基本方針や事業内容、事務局運営を定める「山岳捜索連携協議会規約」が示され、有識者会員の定義や表現の調整、制度改善に向けた国への発信体制などの活発な意見交換を経て、満場一致で可決・承認されました。
第二号議案:会長選出および役員選任について
本協議会の設立に尽力した発起人代表である、富山県南砺市長の田中幹夫氏を初代会長に推薦する案が提示され、出席者全員の満場一致の賛成により田中氏が初代会長に選出されました。 副会長などのその他の役員選任については、田中新会長に一任されることが承認されました。


■ 勉強会 実施報告
総会終了後、最新の捜索テクノロジーと現場の事例をテーマにした2つの講演が行われました。
○ 講演1
「ココヘリ山岳捜索サービスについて」
講師:AUTHENTIC JAPAN株式会社 代表取締役 久我一総 氏
登山アプリの普及にもかかわらず遭難者が増加し続けている現状を分析。法的なハードルが高い「救助の有料化」を目指すのではなく、「位置特定(見つけるステップ)を最速にすることで救助費用そのものを最小化する」アプローチを提唱しました。 意識不明時でも電波を出し続ける受動発信機「ココヘリ」の発見率は、直近1年間の事故対応231件で100%を維持しており、民間救助網とテクノロジーの有効性についてご講演いただきました。

AUTHENTIC JAPAN 株式会社 代表取締役 久我一総氏
○ 講演2
「山岳遭難時の捜索活動について」
講師:富山県警察本部 地域部山岳安全課 柳澤警部
富山県内における山岳遭難者が令和7年に過去10年で最多を記録した現状を踏まえ、道迷い・行方不明事案への対策の重要性を報告。 令和元年にココヘリ受信機を活用し、わずか数分で位置特定・救助に成功した劇的な事例を紹介しました。 さらに、警察と民間の協定に基づき、令和8年6月1日より立山連峰エリア(室堂・剱沢・馬場島)で開始した、全国初となる「ココヘリ無料貸し出し制度」の運用の取り組みと、捜索の効率化についてご講演いただきました。

富山県警察本部 地域部山岳安全課 柳澤警部
講演後の質疑応答では、各自治体首長や民間団体を交えた活発なディスカッションが行われました。
救助コストを抑えるアプローチの重要性 ヘリコプターの出助等で高額になる救助費用を「誰が負担するか」という議論だけでなく、「捜索を極限まで早め、捜索プロセス自体のコストを最小化する」という発信機活用の考え方が重要であるという認識が共有されました。
現場の課題と多角的な連携の必要性 急増する外国人登山者への対応、保険制度のあり方、自治体負担の限界などについて現場の切実な声が上がる中、地域任せにせず国・県・市町村、そして民間が一体となって支える仕組みづくりが急務であると議論されました。




■閉会挨拶
発起人メンバーである岡山県総社市の片岡聡一市長より、閉会の挨拶とともに、本協議会がさらに大きな役割を果たすための重要な提案がなされました。
【岡山県総社市 片岡聡一市長のコメント】
「この協議会は、遭難が発生する現場を持つ自治体だけの集まりにとどまるべきではありません。総社市のように山を持たない自治体であっても、そこから山へ向かう登山者を送り出す『遭難者を輩出する側の自治体』であり、当事者です。日本全国を見渡せば、そうした自治体の方が多数を占めます。
本協議会の目的に『遭難現場を持たない自治体と、現場を持つ自治体とのネットワーク構築』を明文化することで、日本全国を包括するさらに実効性の高い有能な組織になり得ると確信しています。私たちも大切な人々の命を守るため、自分たち自身が主体となって変わる決意で、今後の活動に邁進してまいります。」
■ 今後の展望
【自治体と民間の強固なネットワーク拡大】
山岳を抱える自治体だけでなく、都市部などの登山者を送り出す側の自治体とも連携し、全国的なネットワークを構築。
【国への提言活動】
自治体単独での解決が困難な山岳遭難・救助にまつわる全国的な課題に対し、現場の実情に即した制度改正や法整備、公的支援の拡充を求めて国や県へ実効性のある要請・提言活動を積極的に行う。
■ 山岳捜索連携協議会について
山岳捜索連携協議会は、全国の地方自治体、警察、消防、そして山岳専門の民間団体が緊密に連携し、テクノロジーの導入による迅速な遭難捜索体制の整備、登山者へのルール周知、および持続可能な救助体制の構築に向けた制度改革の提言を推進する全国組織です。

山岳捜索連携協議会_概要
■ 本件に関するお問い合わせ先
一般財団法人国際災害対策支援機構内
山岳捜索連携協議会事務局
HP:https://www.unglobal.org/sangaku-sousaku/
E-mail : sangaku_sousaku@unglobal.org
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