アナログとデジタルの融合により実現した有機的空間デザインが国際的に評価
VUILD株式会社(本社:神奈川県厚木市/代表:秋吉 浩気、以下VUILD)は、コクヨ株式会社(本社:大阪市/社長:黒田 英邦、以下コクヨ)との共創により、コクヨ新本社「KOKUYO HQ」が入居するグラングリーン大阪 パークタワー2Fのオフィスロビー向けにデザイン・設計した大型ベンチ「GGO Biomorphic Lobby Furniture」が、イタリアの国際デザイン賞「A’ Design Award & Competition 2026」のFurniture Design部門において、金賞(Gold Award)を5月に受賞したことを、お知らせします。
本作品においてVUILDは、コクヨが手がけた基本設計・粘土模型をもとに、実施設計(コクヨと共同)および制作を担当。全長約16mにおよぶ有機的な造形を、自社のデジタルファブリケーション技術によって実現しました。

大型ベンチ「GGO Biomorphic Lobby Furniture」 (C)Hayato Kurobe
●受賞概要
受賞名:A’ Design Award & Competition 2026 Furniture Design部門 Gold Award
受賞作品名:「GGO Biomorphic Lobby Furniture」
受賞者:VUILD株式会社、コクヨ株式会社
受賞発表URL:https://competition.adesignaward.com/180101
●受賞作品「GGO Biomorphic Lobby Furniture」について
「GGO Biomorphic Lobby Furniture」は、グラングリーン大阪の直線的で静謐なオフィスロビー空間に対し、自然環境と連続する生命感や躍動感をもたらすことを目的としてデザインされた、大型ベンチ・植栽一体型の空間造作です。
人が本能的に心地よいと感じる有機的形状を追求するため、手捏ねによる粘土模型を起点に造形を検討し、その形状を3Dスキャンしてパラメトリックに最適化するアナログとデジタルを融合させたアプローチを実践しました。全長約16mにおよぶ造形(全長16mと8mの2台のベンチ、植栽ポッド1台で構成)は、国産のナラ集成材から切り出した6,120個のパーツで構成されています。
VUILD独自の生産設計技術による高精度なデジタルファブリケーションと、職人による手仕上げを組み合わせることで、精緻さと温かみを両立した空間体験を実現。単なる家具ではなく、人々の自然な滞在・交流・回遊を促す「場」の機能を担う空間装置として機能することを目指しました。

(C)Hayato Kurobe
● 技術的背景|6,120個の木製パーツを実現したデジタルファブリケーション
本作品の最大の特徴である全長約16mの滑らかな曲面と6,120個に及ぶ特注パーツは、従来の手作業中心の設計・加工手法では現実的に成立し得ない規模でした。VUILDは設計・エンジニア・加工/施工の各チームが密に連携し、プロセスそのものを再設計することで、限られた工期の中での高精度なものづくりを実現しています。
粘土模型から設計データへ──処理の自動化
コクヨが制作した粘土模型を3Dスキャンし、設計データを立ち上げるところからスタートした本プロジェクトでは、手作業のスキャンで生じる微細なノイズや歪みを補正するため、プログラミングツール「Grasshopper」を用いて、スキャンデータから必要な断面を抽出し補正処理を自動化するアルゴリズムを開発。6,000を超える膨大なデータを短時間でモデリング可能な形へ整えました。さらに、3Dモデルから約8割の図面を自動生成しPDF出力する独自ツールを開発することで、クライアントの承認工程を大幅に高速化し、設計形状をぎりぎりまで調整できる柔軟なプロセスを構築しました。


硬いナラ材に挑む加工の最適化
使用した国産のナラ集成材は、ヒノキや杉と比べて非常に硬く、加工時には刃物の破損や「逆目ぼれ(ささくれ)」のリスクを伴う素材です。270枚の板材から6,000点超のパーツを切り出すにあたり、一点ずつ加工条件を調整するのは非現実的であったため、素材特性を前提としたパラメーターをテンプレート化して一括適用できるツールを開発。加えて、刃物の入り方や削る深さを1層ごとに数値管理し、現場の感覚と照らし合わせながら微調整を重ねることで、仕上げ工程に過度に依存せず、切削の段階から滑らかで美しい仕上がりを実現しました。
ネスティングの高速化
パーツを板材に効率よく配置する「ネスティング」は、通常1枚あたり30分ほどを要する場合もあり、膨大な板を扱う本プロジェクトではボトルネックとなりかねない工程でした。VUILDはGrasshopper上で独自の高速化ツールを開発し、処理時間を5~10秒にまで短縮。意匠とコストのバランスを見ながら配置を調整する、柔軟でリアクティブな設計・加工プロセスを確立しました。


ユニット化による高精度な施工
加工した膨大なパーツは、あらかじめ工場で長さ600~900mmのユニット(計47本)として組み上げ、現場へ搬入・設置する方法を採用しました。直線と曲線の接合部ではわずかなズレが全体の印象を損なうため、ライン同士のつながりに細心の注意を払いながら一本ずつ歪みを確認して組み上げています。25mm厚の板を積層する構造の隙間には受け材を仕込み、小物の落下を防ぐとともに全体のラインをより滑らかに見せる工夫も施しました。これらの技術的取り組みは、VUILDが培ってきた生産設計技術によって支えられています。


技術プロセス詳細:
デジタルプロセス編 https://note.com/vuild/n/naf0224ec9862
加工・施工編 https://note.com/vuild/n/nfbabeadc925b
●「A’ Design Award & Competition」について
「A’ Design Award & Competition」は、イタリアで開催される世界最大級の国際デザイン賞の一つです。建築、プロダクト、家具、グラフィック、サービスなど多様な分野を対象とし、世界各国のデザイナー、企業、建築家による作品が応募されています。デザイン性に加え、革新性、社会性、機能性など多面的な観点から審査が行われ、優れたデザインを国際的に顕彰するアワードとして広く認知されています。
●クレジット
基本設計:コクヨ株式会社
実施設計:VUILD株式会社、コクヨ株式会社
制作:VUILD株式会社
●VUILD株式会社について
VUILDは、デジタルテクノロジーによって建築産業の変革を目指す設計・ものづくり集団です。デジタルファブリケーションを軸に、複雑かつ大規模な木製構造物の設計・製作から、多様な素材・形状への対応、短納期での高精度加工まで、幅広いニーズに応える技術基盤と経験を有しています。設計者・デザイナーの自由な発想を形にするパートナーとして、ものづくりの可能性を広げる取り組みを続けています。
会社概要
会社名:VUILD株式会社
本社所在地:神奈川県厚木市下依知1丁目7−24
代表者:代表取締役 秋吉 浩気
事業内容:建築設計、建築施工、木製品開発・製造及び加工、CNCルーターの販売、デジタル人材育成、事業開発支援、ITサービス開発
本件に関するお問い合わせ先
VUILD株式会社 広報担当
E-mail:press@vuild.co.jp