第5回 建築AI経営研究会は会場・オンライン合わせて約130名が参加。テーマは「AI×組織浸透」。AIを“個人の効率化”で終わらせず、会社全体の生産性に変えるための考え方と実装を公開。

第5回建築AI経営研究会は東京品川で開催された。オンラインとの同時開催が実施され約130人が参加した。
生成AIの活用が「文章を作るAI(チャット)」から「作業を担うAI(エージェント)」へと移るなか、建築・住宅業界でもAIを実務に組み込む動きが加速しています。一方で、AIツールを導入した企業の多くが「一部の社員しか使わない」状態で止まり、組織全体の生産性向上に結びついていない、という新たな課題も浮かび上がっています。
株式会社LIFEFUND(静岡県浜松市、代表取締役:白都卓磨)が主催する経営者向けコミュニティ「建築AI経営研究会」は、その第5回を2026年8月3日に開催しました。会場に約90名、オンラインに約40名(合計約130名)、北海道から沖縄まで全国の建築・住宅事業者が参加。今回のテーマは「AI×組織浸透」で、現役の工務店(LIFEFUND・白都氏)と、塗装業から総合建設業へ展開する建設会社(株式会社アスムコーポレーション・山口博城氏)の2社の代表取締役が自社での事例を共有しました。
■ 開催概要
[表: https://prtimes.jp/data/corp/160136/table/90_1_9bd03c747f06d52449dcde07f6bc872a.jpg?v=202608182345 ]
「建築AI経営研究会」は、LIFEFUNDが2025年11月に発足させた、建築・住宅業界の経営者向けコミュニティです。2か月に1回のペースで開催し、一般的なDX研修とは異なり「現役の建築会社が、自社の現場で実際にどうAIを使っているか」という生の事例を共有する点が特徴です。
当日のプログラムは、1.主催講演、2.ゲスト講演、3.パネルディスカッション、4.コミュニケーションタイム(名刺交換)、5.事例ワークショップの5部構成で、終了後には懇親会も行われました。
■ 第一講座:株式会社LIFEFUND 代表取締役 白都卓磨氏
LIFEFUND代表取締役の白都卓磨氏は「AIをどう使うか」ではなく「AIを組織にどう根付かせるか」をテーマに講演しました。

第1講座に登壇し、基調講演を行う株式会社LIFEFUND代表取締役・白都卓磨氏。
冒頭、白都は会場に現状を尋ねました。「全社で標準的にAIを使えている」と手が挙がったのはごく一部にとどまり、多くの企業が「一部の社員だけが使う」段階で止まっている実態が共有されました。
そのうえで白都は、AI経営を5段階(1.個人利用 → 2.特定部署 → 3.全社標準化 → 4.独自データ(コンテキスト)接続 → 5.AIエージェント活用)で整理し、多くの企業が土台(1.~2.)を飛ばして3.に進むために「浸透しない」ことを指摘しました。

図は「AI経営5段階」の概要。浸透を止める3つの壁が存在すると白都氏は指摘する。
浸透を止める“3つの壁”として挙げたのは下記です。
(1) 土台がない(クラウド化・権限・ガイドライン未整備)
(2) 利益相反(頑張ってAIで早く終わらせても報われないと社員が感じる構造)
(3) ゴール不在(経営者が到達点を描けない)
講演では、ほかにも下記について話されました。
「AIはIQ130の“新卒社員”」:
頭は良いが自社のことは知らない。だからまず、会社固有の情報(=コンテキスト)を教える“新人教育(オンボーディング)”が必要。※IQ130は講演上の比喩表現
AIの成果=モデルの賢さ × コンテキスト(掛け算):
どれだけモデルが賢くなっても、自社の情報に接続できていなければ成果はゼロに近い。ゆえに「会議はすべて録音し、文字起こししてAIが読める場所に貯める」など、コンテキストを蓄積する“文化”を今日から始めるべき。
組織浸透には“順番”がある:
LIFEFUNDは10ステップの段階を作り、一連を約6か月で回し、「組織に浸透した状態」を実現しました。なお、会社が標準AIを用意しないと、社員が個人・無料アカウントで業務情報を入力してしまい、情報漏えいのリスクが高まることにも言及しました(シャドーAI)。法人アカウントの配布と、個人・無料アカウント使用禁止の明示が必要と白都氏は話しました。

図は「AIの組織浸透」の10ステップ。LIFEFUNDは6カ月間で段階を踏み、社内浸透している状態に落とし込んた。
白都氏は、これらの取り組みで「LIFEFUNDでは半年間で有効なAI活用事例が896件集まった」と自社の数値も共有しました。
■ 第2講座:株式会社アスムコーポレーション 代表取締役 山口博城氏

第2講座に登壇し、事例紹介を行う株式会社アスムコーポレーション代表取締役・山口博城氏。
続いて、福岡県を拠点に塗装業から総合建設業へと事業を広げる株式会社アスムコーポレーションの代表取締役・山口博城社長が、社内へのAI浸透について講演しました。
山口社長は「以前はパソコンで資料も作れなかった」と自らを語ったうえで、AIで事業計画資料を短時間で作成できるようになった経験を紹介。急ぎの提案資料をAIで作って商談を成約させた“成功体験”が、社内のAIへの向き合い方を変えたきっかけになったと振り返りました。その後、社員一人ひとりに「いま何に困っているか(ペイン)」をヒアリングし、業務フローの見直しから着手したといいます。
同社の核にあるのは、「AIを使わざるを得ない仕組み」です。指示はすべて使い慣れた「LINE」から行い、成果物やタスク・進捗は一つのダッシュボードに集約。キーワードは「楽かどうか」で、「覚える量が少ない・迷わず使える・考えずに済む」を徹底し、誰が指示しても会社として同じ品質の成果物(見積書など)が返る設計にしたと説明しました。「LINEさえ使えれば、AIリテラシーの高低や年齢を問わず全員が恩恵を受けられる」という考え方が紹介されました。
具体的な活用として、図面からの数量拾い・見積書の自動生成、過去事例との比較、カタログからの最適材料提案、外壁塗装のカラーシミュレーション、顧客管理・ガントチャートによるタスク可視化、資金繰りの予測などが共有されました。ツールに依存しすぎないよう、モデル(Claude/ChatGPT/Gemini 等)を用途やコストに応じて切り替えられる設計にしている点にも触れられました。
■ パネルディスカッション:白都卓磨氏×山口博城氏×田中鉄朗氏

第2講座終了後に、各講座の登壇者によるパネルディスカッションを実施。各社から挙がった質問に答えた。
第1・第2講座の登壇者に、アスムコーポレーションのAI推進担当・田中鉄朗氏を加えたパネルディスカッションを実施。会場・オンラインの参加者からの質問に答えました。
主なテーマは次のとおりです。
社長の視座と現場のギャップをどう埋めるか:
経営目線(資金繰り等)と現場の関心のズレに対し、情報の一部公開や、経営者が“AI・新規事業・お金”に時間を集中させる工夫が共有されました。
内製アプリか、コンテキスト運用か:
保守・改善を担う推進体制を置ける会社は内製アプリも有効。置けない場合は、コンテキストを整えてAIエージェントが参照できる形にする方が生産性を上げやすい--という“使い分け”の考え方が示されました。
導入で避けたい失敗:
「もっと早く全社員へ法人アカウントを配ればよかった(シャドウAIを防げた)」「人事評価と早期に連動させたのは良かった」「段階を踏みすぎず、早めにAIエージェントに触れさせた方がよい」など、両社の“反省”が率直に語られました。
費用・権限とセキュリティ:
従量課金のAPI連携は申請を一本化して承認制にする、AIガイドラインは国が公開する資料(AI事業者ガイドライン等)を基に自社版を整備する、といった運用が紹介されました。
■ アンケートが示す参加者の反応

東京品川会場には多くの建築業界経営者が参加しました。
第5回終了後のアンケート(回答66件)では、研究会全体の総合満足度が5点満点中4.42(「4:満足」以上が92.4%)となり、前回・第4回(4.21)を上回りました。
参加者からは、次のようなコメントが寄せられました(一部抜粋)。
- 「社内普及について悩んでいたが、その手順を詳しく知ることができた」(工務店)
- 「AI社内浸透のロードマップを具体的に考えることができた」(工務店)
- 「個人利用・法人利用それぞれのシャドーAIのリスクを伺い、本格的に導入を進める必要性を強く感じた」(リフォーム会社)
- 「何も知らないところから数か月であそこまで構築されているとは」(設計事務所・設備工事)
- 「AIを人材育成に活用しようと気づけた」(建材メーカー)
前回、前々回に引き続き、建築AI経営研究会の参加者は100名を超えています。建築業界における「AI経営」は一過性のブームではなく、継続して取り組むべき経営アジェンダとして定着しつつあります。
■ 第回6研究会のご案内:「AI×社長」

第6回 建築AI経営研究会は2026年9月28日(月)に開催。オフライン・オンラインのハイブリッド形式で行われます。
次回・第6回 建築AI経営研究会は2026年9月28日(月)、東京駅前会場(およびオンライン同時配信)で開催します。テーマは「社長AI×部署AI」。ゲスト講師には株式会社ハウスクラフト(三重県)代表取締役の遠藤真二氏を迎えます。
日 時:2026年9月28日(月)13:00~17:30
会 場:オフライン会場@東京駅前
オンライン配信(※ワーク・パネル中心のため会場参加推奨)
内 容:1.経営者向け建築AI経営ノウハウ共有
2.ハウスクラフト代表取締役・遠藤真二氏による特別講演
3.生成AI実践ワークショップ
4.経営者交流会
定 員:会場は先着限定(要申込)
対 象:経営者のみ
参加費:初回参加無料
懇親会:18:00~(実費6,000円程度)
申込先:https://kenchiku-ai.com/260908_study/
人手不足・市場縮小のなかで、AIを使って経営の打ち手を持ちたい経営者のご参加をお待ちしております。また、メディア関係者様の取材も歓迎いたします。
会社紹介

会社名:株式会社LIFEFUND
代表者:代表取締役 白都卓磨
設 立:2000年(2023年に現社名へ変更)
所在地:静岡県浜松市中央区鴨江三丁目70番23号
売上高:27.1億円(2025年実績)
社員数:83名(2026年7月)
事業内容:注文住宅(ARRCH、PG HOUSE)、不動産、相続コンサルティング、AI教育事業ほか
URL:https://lifefund-recruit.com/
「建築業界のAI浸透を推進します」
建築AI経営研究会に関するメディア関係者様の取材をお待ちしております。
株式会社LIFEFUND
https://lifefund-recruit.com/
■場所:〒432-8023 静岡県浜松市鴨江3丁目70番23号
■連絡先:PR担当:石野 pr.lifefund@gmail.com