日本発の業界横断型AMLモデルの社会実装に向け、10月よりモニタリングサービスの提供を開始

実証内容の概念図
株式会社日立製作所(以下、日立)は、金融機関や暗号資産関連事業者など、17社と共同で、暗号資産・ステーブルコイン・NFT(非代替性トークン)などのデジタルアセット取引におけるマネー・ローンダリング対策に向けた、不正検知の早期化と精度向上を目的とした実証実験(以下、本実証)を実施し、このたび実務適用可能性を確認しました。本実証は、デジタルアセット取引における金融犯罪リスクに対し、日立が中心となって関係各社と推進する、日本発の業界横断型アンチ・マネー・ローンダリング(以下、AML)モデルの社会実装に向けた取り組みです。
具体的には、事業者間で疑わしい取引や高リスクなウォレットに関する情報などのリスクシグナルを共有し、各社の初動対応につなげるとともに、ステーブルコインなどのトークンの流通を監視し、資金の動きや関連取引からリスクを把握する仕組みについて検証しました。
今後は本実証で得られた知見を踏まえ、金融機関や暗号資産関連事業者などに向けて、2026年10月より、デジタルアセット取引向けAMLモニタリングサービスの提供開始を予定しています。
本実証は、2025年から継続して取り組んでいるデジタルアセット取引におけるAMLの取り組みの一環で、今回、金融庁「FinTech実証実験ハブ」の支援決定案件として2026年3月から5月に第2回目の実証実験を実施*1したものです。日立は、金融機関向けシステムやデータ分析などで培ってきた知見を生かし、参加企業との連携により本実証を推進してきました。
*1 金融庁からの「FinTech実証実験ハブ」における本件に関する公表内容、および日立からの支援決定時のお知らせについては、以下をご参照ください。
・金融庁公表ページ(2026年7月24日公表):「FinTech実証実験ハブ」支援決定案件の実験結果について:金融庁
・日立2026年3月10日トピックス:「日立のデジタルアセット取引におけるAML高度化の取り組みが、金融庁「FinTech実証実験ハブ」の支援案件に決定」:金融ソリューション
背景
2026年6月のステーブルコインなどに関する改正内閣府令の施行や、国内初となる信託型ステーブルコインの本格的な発行開始など、暗号資産も含めたデジタルアセット取引は、本格的な社会実装のフェーズを迎えています。こうした急速な市場拡大に伴い、詐欺やマネー・ローンダリングなどの金融犯罪のリスクへの対策は業界全体にとって喫緊の課題となっています。デジタルアセット取引は、金融機関、暗号資産交換業者、ステーブルコイン発行体・取扱事業者など複数の主体をまたいで行われるため、各社単独の監視や調査だけでは、リスクの早期把握や実効的な初動対応に限界があります。
そのため日立は各社と連携して、金融機関向けシステム構築やデータ分析基盤、共同利用型プラットフォームの知見を生かし、デジタルアセット市場におけるAMLの効率化と高度化をめざす取り組みを、2025年から開始しました。2025年2月から4月にかけて実施した第1回実証実験では、事業者の枠を超えた業界横断での情報連携の有効性と技術的な実現可能性を確認しました*2。
*2 第1回目の実証実験については、こちらのプレスリリースをご確認ください。
日立とデジタルアセット取引関連事業者など12社が連携し、アンチ・マネー・ローンダリングの実効性向上と共同化に向けた実証実験を開始(2025年2月17日)
本実証について
第2回目となる本実証では、各事業者が保有する顧客の個人属性情報を広く共有するのではなく、ウォレットアドレスや取引情報などのリスクシグナルを活用し、各社単独では把握しにくいリスクを補完する仕組みを検証しました。
1.業界横断でのリスクシグナル連携
疑わしい取引の兆候や高リスクなウォレットに関する情報を事業者間で共有し、各社が自社の顧客情報や取引情報と照合することで、早期の追加確認や初動対応につなげられるかを検証しました。
2.ステーブルコインのトークン流通監視
発行済みステーブルコインなどの流通状況を継続的に監視し、高リスクアドレスとの関係や資金移動の経路を把握することで、疑わしい取引の把握に活用できるかを検証し、発行体・取扱事業者における発行後のトークン流通監視の運用可能性を確認しました。
3.多層的なリスク評価による検知精度の向上
既知の制裁・犯罪関連リストや外部分析サービスによるブロックチェーン分析に加え、詐欺関連アドレス分析、AI・機械学習による取引行動類似度分析などを組み合わせた多層的なリスク評価を実施し、既知の高リスク対象の検知に加え、既知リストだけでは捉えにくいリスクも補完的に把握できることを確認しました。
AMLモニタリングサービスについて
日立は、本実証の成果を踏まえ、2026年10月より、各事業者が導入可能なデジタルアセット取引向けAMLモニタリングサービスの提供開始を予定しています。
本サービスでは、各事業者による判断を支援するリスク情報を提供するものであり、最終的な対応の判断は各事業者が行うものとなります。具体的には、取引後の継続監視を行う「事後モニタリング」、取引前に相手先ウォレットのリスクを評価する「オンライン即時評価」、発行済みトークンの流通状況を監視する「トークンモニタリング」を提供し、各事業者のリスクベース・アプローチなどの対応を支援します。また、市場の拡大や規制変更に応じて継続的に機能や分析モデルを高度化することで、変化する金融犯罪リスクへの対応を支援します。
なお、本サービスの基盤となる「デジタルアセット取引AML共同化構想」は、社会課題解決への高い実効性が評価され、2026年4月の「第三回 日本新規事業大賞」シード部門においてグランプリを受賞しました*3。
*3 2026年6月16日 トピックス: 日立発のAML共同化構想が、「第三回日本新規事業大賞」シード部門グランプリを受賞
今後の展開について
将来的には、金融機関や暗号資産事業者、ステーブルコイン関連事業者などが一体となり、デジタルアセット取引に関する業界横断のリスク情報の連携と調査支援などを担う「AML共同センター」の構想について、関係各社と具体化を進めていきます。
日立はこれに参画し、ブロックチェーンデータや各事業者から得られるリスク情報、犯罪手口や規制動向などのドメインナレッジを組み合わせて分析することで、各社単独では把握しにくい金融犯罪リスクの早期発見やリスク評価の高度化を支援します。また、AML共同センターの運用を通じて得られる知見を継続的にサービスへ反映することで、金融犯罪の巧妙化や規制変更への対応力を高めるとともに、各事業者における調査・運用負荷の低減や専門知識を有する人財不足への対応支援や、金融犯罪対策のさらなる高度化をめざします。
これにより、デジタルアセット関連の金融犯罪に対する業界全体の防御力向上を図り、デジタルアセット取引の健全な発展と、安心・安全な金融インフラの実現に貢献していきます。
商標注記
記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。
関連Webサイト
日立の金融ソリューション
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。
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