
展示風景
岡崎京子のコロタイププリント作品と伊藤若冲の木版画作品をあわせた展示が、東京・麻布台ヒルズの集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリーのラウンジスペースにて開催中。これは、2025年に京都アンプリチュードで開催した「and flowers」展を東京に巡回したもので、開催期間は4月28日(火)~6月28日(日)まで。
岡崎京子のイラストをコロタイププリント化

岡崎京子「pink/ ユミちゃん2」(2025・ed.50・和紙にコロタイププリント)
岡崎京子は、マンガの領域を広げた作家のひとりで、『ヘルタースケルター』で第7回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第8回手塚治虫文化賞・マンガ大賞を受賞。1996年、交通事故により執筆が困難となり、作家活動を中断している。

岡崎京子「pink/ ユミちゃん2」部分
今回のプリント作品は、岡崎の了承を得て、集英社マンガアートヘリテージが制作したもの。

岡崎京子「私は貴兄のオモチャなの」(2025・ed.50・和紙にコロタイププリント)
『pink』(マガジンハウス・1989)、『私は貴兄のオモチャなの』(祥伝社・1995)、『うたかたの日々』(宝島社・2003)よりセレクトした4点のイラストレーションを作品化。岩野平三郎製作所(福井)で作られた手漉きの越前和紙を用い、便利堂コロタイプ工房(京都)でプリントした。

岡崎京子「うたかたの日々」(2025・ed.50・和紙にコロタイププリント)
コロタイプ印刷とは、ガラス板を用いて網点ではなくグラデーションにより色の濃淡を表現する印刷技法。これにより、鉛筆のラフなタッチから、ペンによる繊細な描線までを再現し、定着させている。
200年の時を超えて、2人の作品をあわせて展示
これらの岡崎京子作品を、伊藤若冲の「花卉図」と共に展示する。

伊藤若冲「花卉図/牡丹」(木版画)部分
伊藤若冲は、江戸時代に活躍した奇想の画家で、“升目描き”の技法で描かれた「樹花鳥獣図屏風」や超細密な描写の「群鶏図」などで知られている。

伊藤若冲「花卉図/花蓮」(木版画)
「花卉(かき)」とは、観賞用に栽培される植物の総称で、「花卉天井図」は、伊藤若冲が晩年に住んだ京都深草の石峰寺観音堂に天井画として描かれ、現在は信行寺にある。

伊藤若冲「花卉図/小薊」(木版画)
約33cmの円形の中に、多様な花々が描かれている。

伊藤若冲「花卉図/牡丹」(木版画)
若冲が80歳を過ぎて描いたこの絵は、明治年間に芸艸堂(うんそうどう)により彩色木版画『若冲画譜』としてまとめられた。

伊藤若冲「花卉図/向日葵」(木版画)
今回の展示作品は、集英社マンガアートヘリテージの要望により、この板木を用いて、伝統的な浮世絵の技法を用いて制作し、背景色を鮮やかな金で刷ったもの。

伊藤若冲「花卉図」/京都アンプリチュードとのコラボレーションによる竹細工フレーム
あわせて円形のサイズがLPレコードに近いことに着目し、升目描きをイメージしたオリジナルの京唐紙(きょうからかみ)で仕立てたマットボードに収めた。
戦後高度成長期に東京・下北沢の理髪店に生まれ育った岡崎京子と、江戸時代中期に京都・錦小路の青物問屋に生まれ育った伊藤若冲。そして、四角いフレームの中で呼吸するモノクロームの女の子たちと、丸いフレームのなかでくねるカラフルな花々。200年の時を越えて並ぶ、内容もスタイルも異なる作品の組み合わせを楽しんでみては。
■「岡崎京子×伊藤若冲」展示概要
開催期間:4月28日(火)~6月28日(日)
場所:集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー(東京都港区虎ノ門5−8−1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA B1)
営業時間:11:00~20:00
休廊日:公式HPに掲載
公式HP:https://mangaart.jp/ja/venues/smah-tokyo-gallery
(山崎正和)