
大阪市北区豊崎エリアにおいて、大正時代に建築された長屋を再生した古民家宿ブランド「DEN(デン)」が始動。第一号施設となる一棟貸切宿「DEN 梅田 豊崎長屋 吉田邸」にて、趣のある古民家ステイを提供中だ。
昔ながらの長屋文化が残るエリア

「DEN 梅田 豊崎長屋 吉田邸」は、大阪・梅田駅から徒歩圏内という都市部にありながら、昔ながらの路地や長屋文化が色濃く残る豊崎エリアに誕生。
古民家を単に保存するのではなく、宿泊施設として再生・活用することで、次世代へ継承する新たなモデルを提案する。
空き家が抱える課題解決へ

全国各地で空き家問題が深刻化する中、都市部の古民家は特有の課題を抱えている。
相続の発生により土地として売却されるケースが多く、所有者が「残したい」と考えていても、高額な相続税や維持管理の負担から解体や売却を選択せざるを得ない状況が少なくない。
全国古民家再生協会とアステティックスジャパンは、こうした課題に対し、「壊さず、活かす」という考え方を掲げ、古民家を収益性のある宿泊施設として再生することで、建物の保存と事業性を両立させる取り組みを進めるべく、DENプロジェクトを立ち上げた。
所有者からの相談を受けたことが原点
DENの原点となった「豊崎長屋プロジェクト」は、所有者からの「この建物を次世代へ残したい」という相談から始まった。
再開発が進む大阪・梅田エリアに隣接しながらも、古き良き暮らしや地域コミュニティが残る豊崎エリア。その歴史ある長屋群を活用するため、関係者が試行錯誤を重ね、約5年にわたり再生事業を推進してきた。


現在は「茜(AKANE)」「薫(SUMIRE)」「翠(MIDORI)」「天(TEN)」の4棟で構成される宿泊施設として運営されており、国内外の旅行者が地域の日常や文化を体験できる拠点となっている。
地域の活性化や交流を目指す

DENは単なる宿泊施設ではない。宿泊者は地域の飲食店や商店街を訪れ、地域住民との交流を楽しみながら、その土地の歴史や文化に触れることができる。
空き家だった建物が宿として再生されることで、地域への来訪者増加、商店街や飲食店への経済効果、景観や歴史資源の継承、空き家問題の解決といった好循環を生み出す。
これは全国で増加する空き家・古民家活用の新たなモデルケースとして期待されている。

DENプロジェクトは、一棟ごとに異なる歴史や物語を持つ古民家に、「地域名+建物由来」という固有の価値を付与し、全国の古民家宿を一つのブランドとしてつないでいく構想だ。
2023年からはAirbnbとの連携により、日本各地の古民家宿活用プロジェクトを推進し、現在約30棟の仲間が参画している。
今後は2030年までに全国200棟の古民家宿ネットワークの形成を目指し、「残す」を「活かす」へ、「点」を「線」へ、「線」を「面」へ広げることで、日本の古民家が当たり前に受け継がれる社会の実現を目指していく。

プロジェクトの代表者は、「古民家は単なる古い建物ではありません。その地域で営まれてきた暮らしの記憶であり、職人の技術であり、地域の物語そのものです。私たちは古民家を守るだけではなく、活かしながら未来へつなぐ仕組みを全国に広げていきます。2030年200棟という目標の先にあるのは、古民家が地域の誇りとして受け継がれる社会です。」とコメントしている。
空き家問題という日本全国で抱える課題に対する、ひとつに解決策となるかもしれないプロジェクト。今後の動向にも注目したい。
■「DEN 梅田 豊崎長屋 吉田邸」概要
所在地:大阪府大阪市北区豊崎エリア
客室数:4棟(茜・薫・翠・天)
宿泊施設ページ:https://japatra.com/?post_type=stay&p=6165
(鈴木 京)