優秀賞には、「児童の多様な解釈を許容する学級自治」と「多様な育ちを前提とした学校プラットホームの再構築」と題した論文2編、さらに雑誌賞2編が決定!受賞論文は当社月刊誌に全文掲載!
教育書を刊行する学事出版株式会社(鈴木宣昭 代表取締役社長)は、第23回学事出版教育文化賞の最終選考を実施し、田中 祐輔 氏(筑波大学人文社会系教授)による「共生型国語科教育のための実践研究―教科書コーパスとAI支援によるJSL児童の持続可能な学びのデザイン―」に教育文化賞(最優秀賞)を、他2本の論文に優秀賞、さらに2本の論文に雑誌賞を授与することに決定いたしました。なお、教育文化賞・優秀賞・雑誌賞の各受賞論文は、当社が刊行する月刊誌『月刊高校教育』『月刊生徒指導』『学校事務』に全文掲載予定です。掲載号については当社ウェブサイトにてお知らせいたします。

学事出版教育文化賞は、全国のすぐれた教育実践を発掘・顕彰することを通して、教育関係者の皆さまの新たな取り組みを奨励し、教育の質向上の一助となることを目指して2003年に創設されたものです。今年で23回目を迎える今回は、全国から140本と過去最多の応募がありました。
選考委員による厳正な審査の結果、以下の通り教育文化賞、優秀賞、「学校事務」賞、「月刊生徒指導」賞を授与することに決定いたしました。
第23回学事出版教育文化賞 受賞論文
◆教育文化賞
【タイトル】
共生型国語科教育のための実践研究
―教科書コーパスとAI支援によるJSL児童の持続可能な学びのデザイン―
【受賞者名】
田中 祐輔 氏 (筑波大学人文社会系教授)
【論文概要】
日本語を母語としない子どもたちも分け隔てなく学べる共生型国語科教育の理論と実践モデルの構築を目指して行われた。具体的には、1.教科書コーパスに基づく語彙分析、2.学校現場と連動した協働的実践研究、3.AI技術を活用した持続可能な評価・支援システムの開発に取り組んだ。得られた実践的知見を総合し、児童が国語科を通じて学ぶ力を育み多文化共生社会実現に寄与する教育資源のあり方について考察した。
【受賞コメント】
この度は、栄えある学事出版教育文化賞を賜り、誠にありがとうございます。選考委員の先生方、ならびに学事出版の皆様に心より御礼申し上げます。また、本実践研究にご示教くださった学校関係者・保護者の皆様、そして学びの当事者として多くの示唆を与えてくださった児童の皆様に深く感謝いたします。
本研究は、学校教育の多言語・多文化化への対応を主題とし、子どもたちが「ことば」の壁により学びから取り残される現状への課題意識から出発しました。国語科の学びに必要な言語能力を行為レベルで示すJSLCan-doを開発し、それを基盤とした国語力診断テストを構築することで、学びの当事者の学習状況や必要な支援を可視化し、学校・家庭・地域と共有できる仕組み作りに取り組みました。これからも、すべての子どもが安心して学びに向かい、自身の力と資質を発揮できる教育実現のために、多文化共生社会を支える教育のあり方を探究して参りたいと思います。
◆優秀賞
【タイトル】
児童の多様な解釈を許容する学級自治
―学級通貨と会社活動を通した自己決定と協働の意義―
【受賞者名】
氏家 拓也 氏 (武豊町立緑丘小学校 教諭)
【論文概要】
学級通貨と会社活動を通したごっこ遊び的学級自治の実践を分析し、児童の多様な解釈が自治を豊かにする意義を明らかにする。遊びの中で児童は自由に役割や活動を解釈し、互いの価値観を受け入れる雰囲気が生まれ、「やってみよう」という挑戦意欲や協働を促す好循環が形成された。公立小学校の6年生1学級において観察記録やアンケートを基に教育的価値を考察する。
【受賞コメント】
この度は、身に余る優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。学級には30人近くの子どもたちが在籍し、一人ひとりに異なる個性や考え方があります。本実践では、教師が環境を整え、見通しをもって関わりながら、まず子どもたちに「やってみる場」を保障することを大切にしてきました。そうすることで、その子ならではの特性や持ち味、可能性が数多く見えてきました。個性を許容し、認め合い、高め合いながら、よりよい学級をつくろうと創意工夫を重ねてきた子どもたちの姿が、このような形で評価されたことを大変嬉しく思います。また、本実践は学年全体で共有しながら進めてきたものであり、ともに教育活動に携わった現任校の先生方に心より感謝申し上げます。子どもに任せきるのではなく、可能性を信じて支え続ける伴走者として、今後も学級づくりに向き合っていきたいと考えています。
◆優秀賞
【タイトル】
多様な育ちを前提とした学校プラットホームの再構築
【受賞者名】
新座市立第二中学校(小関 直 校長)
【論文概要】
不登校が急増する中、一斉指導から生じるひずみ、教員の負担増と「先生ガチャ」問題、人間関係調整力の未獲得等に課題があると捉え、現行の学校システムでは限界だと考えた。公立中学校としてその再構築に取り組むため、登校回避につながる感情に着目した実態調査を実施した。その結果を踏まえ、「チームUp担任制」「メンター制」「校内教育支援センター」の導入を図った。学校システムの再構築により不登校は23%減少した。
【受賞コメント】
子育て観が大きく変容する中、コロナ禍で遮断されたコミュニケーションは、生徒から「多様な経験」を奪いました。かつてとは異なる背景を持つ生徒たちに対し、従来の固定担任制は限界を迎えていたのです。「先生ガチャ」という言葉は、相性が全てを左右してしまうシステム不全の象徴に過ぎず、教員個人の力量だけで多様化するニーズに応えることは困難でした。 そこで本校は、チームで生徒を見守る「チームUp担任制」と個に寄り添う「メンター制」を融合した「TUM担任システム」を構築し、併せて校内教育支援センターの機能も強化しました。特定の教員に依存せず、組織全体で「心理的安全性」を担保する挑戦です。 本賞の受賞を励みに、生徒一人一人が学校に「根を張る場所」を見つけられるよう、「学校の新しいプラットフォーム」の創造にチーム一丸となって邁進いたします。
◆「学校事務」賞
【タイトル】
電話交換設備の更新、いえ、学校のコミュニケーションの刷新です
【受賞者名】
岡 利旨久 氏 (香川県立視覚支援学校 事務部長)
【論文概要】
学校の電話交換設備更新は単なる機器交換に留まらず、学校の通信環境全体を考える必要がある。現状分析を通じ、メールを含めたコミュニケーション手段のあり方を見直し、もって、教職員の働き方改革を実現するもの。
◆「月刊生徒指導」賞
【タイトル】
誰もができる生徒指導の体制づくりに向けて
【受賞者名】
濱本 健 氏(広島市立東浄小学校 教諭)
【論文概要】
学校にいれば、誰もが子供たちに関わっていく。問題が起きないことはまずない。問題が起きる前にすること、問題が起きてからすることなどをチーム学校として取り組みを紹介する。学校にいる職員全員が、子供たちの成長を願う実践報告。
◆「月刊高校教育」賞
該当なし
選考委員
秋田喜代美氏(学習院大学文学部教授)
村井正美氏(読売新聞東京本社編集局地方部長)
妹尾昌俊氏(一般社団法人ライフ&ワーク代表理事/OCC教育テック大学院大学教授)
学事出版教育文化賞について
当社の創立40周年を記念して2003年度に創設。全国の様々な教育実践を幅広く募り、優れた実践を顕彰することを通して、教育関係者の新たな取り組みを奨励し、学校教育向上の一助となることを目指している。例年多くの応募があり、外部有識者も含めた選考委員会にて「教育文化賞」、「優秀賞」、「雑誌賞」等を選出。

第23回学事出版教育文化賞表彰式
教育文化賞・優秀賞にはトロフィー授与
第24回学事教育文化賞は、2026年6月頃から募集開始を予定しております。
最新情報は当社ウェブサイトをご覧ください。
https://www.gakuji.co.jp/
会社概要
会社名:学事出版株式会社
代表取締役社長:鈴木宣昭
所在地:東京都千代田区神田神保町1-2-5 和栗ハトヤビル3F
事業内容:教育関連図書・教材の出版
コーポレートサイト:https://www.gakuji.co.jp/
公式X(Twitter):@gakuji_shuppan https://twitter.com/gakuji_shuppan