日記が明かす「文明開化」のリアル
株式会社有隣堂(本社:神奈川県横浜市 代表取締役 社長執行役員:松信 健太郎)は、2026年3月10日(火)に新刊『旧家の日記にみる幕末明治―「関口日記」が語る庶民の暮らし』を刊行いたします。
著者は、横浜開港資料館などの館長で近世史・近代史を専門とする西川武臣氏。本書は、現在の横浜市鶴見区生麦の村役人を務めた旧家・関口家が約140年間にわたり綴った「関口日記」を題材に、激動の幕末から明治を生き抜いた人々の実像を浮き彫りにする一冊です。生麦事件や文明開化といった歴史の転換点を、地域を支えた村役人の視点から読み解くことで、教科書にはない緻密な生活史を明らかにします。開国から近代国家へと歩み出す時代の空気感を鮮やかに描き出す、歴史ファン必携の書です。

『旧家の日記にみる幕末明治―「関口日記」が語る庶民の暮らし』
本書の背景
幕末から明治という激動の時代、日本は開国を経て近代国家への道を歩み始めました。その変革の最前線となったのが、外国人居留地(現在の横浜市中区)に隣接し、国際化の影響を強く受けた生麦村(現在の横浜市鶴見区)です。本書は、この地の村役人を務めた旧家・関口家が、江戸時代中期から明治時代後期まで綴り続けた「関口日記」の中からペリー来航(1853年)から帝国議会開設(1890年)までを取り上げ、読み解きます。
日記には、地域の指導者層であった当主の視点から、家政の経営や村役人の公務、日々の金銭出納までが丹念に記されています。1862年にこの地で起きた「生麦事件」は、攘夷運動の高まりの中で日本の近代化と政治変革を加速させる重要な転換点となりました。その生々しい現場調査や、ペリー来航、戊辰戦争といった歴史の荒波を、当事者としていかに生き抜いたか。明治維新により、政治や社会制度が根底から覆る中で、新事業への挑戦や政治活動に奔走した人々の記録は、現代社会の礎が築かれた時代の空気感を鮮やかに伝えてくれます。
【目次】
- 序章 関口家と幕末・明治の社会情勢
- 第I章 日本が国際化する中で
- 第II章 明治維新に向けて
- 第III章 村の文明開化と関口家
- 第IV章 関口三兄弟の起業活動
- 第V章 近代化が進む中で
- 第VI章 政治の時代が始まる中で
- 第VII章 幕末・明治の「関口日記」を読む
本書の特徴
動乱の時代における「生活実態」と「変革の裏側」を読み解く
本書は、約140年間にわたる膨大な「関口日記」の記録を、幕末明治期を対象に著者が緻密に分析・解説した一冊です。単なる事件の羅列ではなく、村役人という地域の指導者層が、日々どのような公務をこなし、いかに家計をやりくりしていたのか。名主や実業家、政治家といった多角的な視点を持つ一家の記録を丁寧に紐解くことで、動乱期を生き抜いた人々のリアルな生活戦略が浮き彫りになります。
「文明開化」の驚くべき実態
近代国家へと至る過程で起きた、生活様式の劇的な変化を詳細に解説しています。戸籍作成に伴う「近代的な名前」への一斉改名や、太陽暦の採用が村の年中行事に与えた影響など、現代の我々からすると驚くべき変革の数々を、具体的なエピソードとともに紹介。西洋酒の購入や新たな交通手段への参入といった、国際化の波が地方の暮らしの細部にまで浸透していく様子は、一級の社会史・文化史の読み物として楽しめます。
書名:『旧家の日記にみる幕末明治―「関口日記」が語る庶民の暮らし』
著者:西川武臣
出版社:有隣堂
定価:1,320円(税込)
体裁:新書判並製・本文208ページ
ISBN:978-4-89660-264-7
発売日:2026年3月10日(火)
取り扱い:有隣堂各店(一部店舗除く)、全国の書店
著者紹介
西川武臣(にしかわ・たけおみ)
1955年愛知県生まれ。明治大学大学院文学研究科史学専攻博士前期課程修了。史学博士。専門は日本近世・近代史。現在、横浜開港資料館・横浜都市発展記念館・横浜ユーラシア文化館館長を務める。
著書に、『江戸内湾の湊と流通』(岩田書院)、『幕末明治の国際市場と日本』(雄山閣出版)、『開国日本と横浜中華街』(共著/大修館書店)、『横浜開港と交通の近代化』(日本経済評論社)、『亞墨理駕船渡来日記』(神奈川新聞社)、『横浜 歴史と文化』(共著/有隣堂)、『浦賀奉行所』(有隣新書)、『ペリー来航』(中公新書)など。
有隣堂の出版物
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