早稲田大学「LIME3」×東北大学「ANEMONE」×バイオームが連携構想を発表

ネイチャーフットプリント・環境DNA・自然資本管理プラットフォームを統合し、企業・自治体のネイチャーポジティブの取り組みを支援
株式会社バイオーム(本社:京都府京都市、代表取締役:藤木庄五郎、以下「バイオーム」)は、早稲田大学 理工学術院 創造理工学部の伊坪徳宏教授、東北大学大学院 生命科学研究科の近藤倫生教授と連携し、環境影響評価手法「LIME3」、環境DNA観測ネットワーク「ANEMONE」、そして市民科学による生物多様性データを活用した自然資本管理プラットフォーム「BiomeBoard」を組み合わせた、企業・自治体向けの自然資本マネジメントの新たな枠組みづくりに共同で取り組みます。
本構想は、自然への影響評価、現地の生物多様性の状態を確かめる観測、地域や市民の参加によるデータ形成を相互に接続し、重点的に取り組むべき拠点・地域の把握、保全・再生施策の検討、社内外への説明、開示対応、継続的なモニタリングへとつなげることを目指すものです。これにより、自然資本への対応を一度きりの評価や情報開示にとどめず、事業活動や地域施策の改善に活かし続ける実務へと発展させていきます。あわせて、本構想の実証にご参加いただく企業・自治体等のパイロット参加者の募集を開始します。
背景 ―自然資本対応を、一度きりの把握から継続的な実践へ
近年、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の枠組み公表などを背景に、企業には、気候変動に加えて、自然・生物多様性への「影響」と「依存」を把握し、開示することが求められています。また自治体においても、生物多様性地域戦略の策定・実行、自然共生サイトの活用、地域の保全・再生、開発や土地利用をめぐる合意形成など、地域の自然の状態を継続的に把握し、政策や施策に反映していくことが重要になっています。
しかし、企業や自治体による自然資本への対応は、個別の評価、調査、計画、開示にとどまりやすく、事業活動や地域課題が自然にどのような影響を与えているのか、また現場の生物多様性が実際にどのような状態にあるのかを継続的に把握し、改善につなげていく仕組みづくりは、いまだ発展途上にあります。
その一因は、自然をとらえる情報が、「どれだけ負荷をかけているか」という影響評価の側と、「実際に何が生きているか」という現場観測の側とに分かれ、両者が十分に結びついてこなかったことにあります。本取り組みは、この二つを日本発の技術で橋渡しし、評価、観測、市民参加、施策の検討、開示・説明、継続的なモニタリングを一つの流れとしてつなぐことで、自然資本マネジメントを企業活動や地域運営に根ざした継続的な実践へと発展させることを目指すものです。
それぞれの分野で日本を代表する、3つのテクノロジー
本構想では、評価、観測、統合管理を担う、次の3つのテクノロジーが連携します。
■ 評価:LIME3 (早稲田大学 理工学術院 創造理工学部・伊坪徳宏教授)
LIME3(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling)は、伊坪徳宏教授らが開発してきた、日本発のライフサイクル影響評価(LCIA)手法です。製品・サービスのライフサイクル全体を対象に、環境負荷が最終的に人間健康や生物多様性、社会資産などにもたらす被害までを評価する「被害算定型(エンドポイント型)」を特徴とし、複数の環境影響を比較可能な形で統合的に把握できます。LCAの国際規格に沿った考え方を踏まえ、グローバル化した企業のサプライチェーンにも対応する、事業活動のどこに影響が集中しているかを見極めるための評価軸です。現在は、LIME3を基盤に、生物多様性への影響を捉える「ネイチャーフットプリント」評価手法の開発も進められています。
■ 観測:ANEMONE (東北大学大学院 生命科学研究科・近藤倫生教授)
ANEMONE(All Nippon eDNA Monitoring Network)は、近藤倫生教授が代表を務める、環境DNAを用いた生物多様性観測ネットワークです。水などの環境サンプルに含まれるDNAを分析することで、バケツ一杯ほどの水からでも、その場所に生息する生物種の手がかりを得ることができます。全国の大学・研究機関・行政・市民ボランティアの協力のもと、統一された手法による広域的な観測を継続し、取得・整理されたデータはオープンデータベース「ANEMONE DB」として公開されています。従来の目視調査だけでは把握が難しい生物多様性の状態を、科学的に裏づける観測基盤であり、東北大学ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(NP拠点)においても、自然と社会をつなぐ重要な研究基盤の一つとして位置付けられています。
■ 統合管理:BiomeBoard (株式会社バイオーム)
BiomeBoardは、企業の拠点・調達地・開発地、自治体の対象地域等に関する自然関連情報を整理・可視化し、自然資本・生物多様性に関する評価、意思決定、継続的なモニタリングを支援するプラットフォームです。バイオームが市民科学を通じて蓄積してきた市民参加型の生物多様性データを活用し、LIME3等による影響評価やANEMONE等による観測データを接続することで、重点地点の特定、保全・再生施策の検討、開示・説明、モニタリングに活用できます。社員や地域住民など多様な主体が身近な自然に関わる仕組みを取り込みながら、現場起点のデータを企業・自治体・地域の行動へつなぎます。
評価と観測をつなぎ、自然資本マネジメントを継続的な実務へ
3者による連携では、それぞれが持つ強みを結びつけ、企業の自然資本マネジメントを継続的に支えていくことを目指します。事業活動データからネイチャーフットプリントを推計して影響の大きい領域を絞り込む評価の視点(LIME3)、環境DNAによって現地の生物多様性の状態を確認する観測の視点(ANEMONE)、さらに市民科学データ活用の知見(Biome)を組み合わせ、評価が観測すべき場所を示し、観測が評価の確からしさを裏づける--両者が互いに補い合うことで、「どこで何に取り組むべきか」を見極めることができます。こうした評価と観測を拠点・調達地・地域の単位で重ね合わせ、目標・施策・モニタリングを一体で管理する基盤として、「BiomeBoard」が役割を担います。
得られた知見は、保全・再生の施策やバリューチェーン全体への反映・開示につながり、その結果がふたたび次の取り組みへと活かされます。この循環を繰り返すことで、開示のための一度きりの作業ではなく、事業判断に活かせる継続的なマネジメントへと発展させることができます。
本連携では、研究機関、企業、市民・地域社会がそれぞれの立場から自然に関する情報の形成に関わることも重視します。公開・共有可能な形で蓄積される観測データは、企業の取り組みを支えるだけでなく、地域の自然情報の充実や地域価値の向上にもつながり得ます。いずれも日本で培われてきた技術であり、3者はこれらを組み合わせた実装を積み重ねることで、ネイチャーポジティブの取り組みにおける日本発の標準づくりに貢献していきたいと考えています。
パイロット参加者を募集
3者は、企業・自治体の自然関連課題を起点とした実証を検討しています。導入検討や情報提供、今後のご案内をご希望の場合は、下記の共通お問い合わせ窓口までご連絡ください。
本リリースに関するお問い合わせ先
<取り組み全般に関する共通窓口>
株式会社バイオーム
E-mail:info@biome.co.jp (担当:古賀)